友野一希「スケートときどきサウナ」⑰念願のThe Sauna

世界を舞台に活躍するトップフィギュアスケーターにして、大のサウナ好き。そんな友野一希選手にさまざまなお話をうかがう当連載。

今回は2023年末に訪れた憧れの施設「The Sauna」(長野県上水内郡信濃町)での素敵な1日のお話を。「1年のよかったことも悪かったことも全部昇華できた」、「至福の時間を過ごせました!」と語る友野選手。年明けには「国民スポーツ大会」(1月30日、北海道・苫小牧)での逆転優勝といううれしいニュースが飛び込んできましたが、もしかしてこれも“The Sauna効果”だったのかもしれません。

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目次

3年越しの念願が叶ってあの聖地へ!

――ついに、サウナ施設からのリスペクトも多くサウナの聖地と誉れ高い「The Sauna」へ行かれたとか。

「ハイ、全日本選手権(『第92回全日本フィギュアスケート選手権大会』2023年12月20日~24日、 長野県長野市)の後に行きました。ちょうどドラマ『サ道2023SP』が放送された日に行ったんですけど、あの3人(ナカタ/原田泰造さん、偶然さん/三宅弘城さん、イケメン蒸し男/磯村勇斗さん)と同じ2号棟(カクシ)と新しくできた5号棟(ヴィ―ジ)に入ることができてうれしかったですね~。ずっと見ていたドラマとシンクロしていて感動しました」

――いかがでしたか? 念願だった「The Sauna」の感想は。

「いや~、もうよかった……(ためて、ためて)としか。とにかく、至福の時間を過ごせました。実は3年くらい前にも全日本選手権の後に行こうと企んでいたんですけど、急きょダメになって。その時も一緒に行こうと言っていた本田太一くんが今回、全部予約してくれたことで実現して。3年越しのリベンジをさせてくれた太一には感謝です」

――写真を拝見すると雪が。しかも快晴! ロケーションも最高でしたね。

「そうなんです! スケーター10人で車に乗って行ったんですけど、『The Sauna』のある野尻湖に近づくにつれて、どんどん雪が増えていって。近づくにつれ、曇っていた空が明るくなってきて“俺たちのために晴れてくれただろう?”ってくらい雲一つない最高の天気で。いい大人たちが道中から大ハシャギしていましたね(笑)」

――晴れ男だったりします?

「いや……僕、結構行きたい施設が閉まってたりすることが多いので。トラブルがないことの方が少ないんで(笑)、珍しい1日でした。で、いざ施設の前に着いて。

積もった雪が反射してまぶしい中に『The Sauna』の看板が見えて。“ついに来た…”って感激しました。すでに焚火を前にととのっているお客さんを見て、めっちゃテンションが上がりました」

――野尻湖沿いの森の中、駐車場に車をとめて、階段の上に管理棟が。あそこからテンションが上がります。

「スタッフの方々もみなさん親切で。『ずいぶん大人数ですね?』と聞かれたので『すみません、試合が終わってきたので……』って答えると『じゃあ、ゆっくりしていってくださいね!』と、細かいところから丁寧に教えてくださって。スタッフのみなさん全員がこの施設を好きなんだな~ということが着いたそばから伝わってきました」

――入ったのは2号棟(カクシ)と5号棟(ヴィ―ジ)。

「10人いたので別れて入って。時々交替して。僕はジャンケンで2号棟になったんですけど、結果よかったな~と思いました。丸太を組んだ外観はもちろん、上と下で温度が変わる2階建ての作り、絶妙な暗さ、木やすすの香り、薪ストーブ、高めの座面……すべてが最高、僕の好みでした。“もうこれ、フィンランドやん!”って。いや、フィンランドへ行ったことはないですけどね(笑)」

The Saunaでサウナの本質を知る

――「The Sauna」のコンセプトは「ぜんぶ、自然。」。日本でも数少ない薪焚きのサウナに天然の水風呂、森林の外気浴で思う存分“ととのう”ことができます。

「存分に、ととのいました~。フィンランドの人たちのように貸し切りのサウナで友達とワイワイ雑談するのも好きですけど、今回は3年越しの念願だったこともあって、集中してサウナに入って。ロウリュして、外気浴をして。サウナ自体の素材感や風、水、季節ごとの気温……自然に触れて、それと一体になってこそのサウナなんだなーと改めて。あと、寒いから入るんだ、あのフィンランドの気候と環境だからサウナに入るんだなという本質を、日本にいながらにして体験できたこともいい経験になりました。同時に“都会でそれに近いものが味わえる『神戸サウナ』(※前回)めっちゃすげえ!”とも思いました」

――雪以外に自然の中ならではの体験はありました?

「途中スタッフさんがめちゃくちゃデカい氷柱を持ってきてくれて、氷柱ロウリュをしたんですけど、これは忘れられないです。溶けていく様を見ながらサウナに入るなんて、あの場所、あの季節でしかできないと思いますし、やっぱロウリュあってこそのサウナなんだな~とも思いましたね」

――氷柱はそんなに大きかったんですか?

「永遠に溶けないだろうってくらいデカくて(笑)。水風呂入って外気浴してもまだ残ってるくらい。最近流行りのアイスロウリュの大自然版と言いますか。あれはホント、ヤバイ。熱さもヤバかった。そのぶん天然の水風呂が気持ちいいんですけど、とにかく素晴らしい体験ばかりさせていただきました。いらないものが何もなかった。不必要なものが何もないのがすごいなと思いました」

――2023年12月発売のSAUNA BROS.vol.7では5号棟のヴィ―ジを紹介。そちらはどうでしたか?

「こちらもよかったです。新しい棟であるぶん、岩風呂のような水風呂とか2号棟とはまた違う特徴があって。『サ道2023SP』でも3人がととのっていたテラスで僕らも外気浴をして。またサウナに入っては雪にダイブして(笑)。貸し切りだったので、みんなで雑談しながら口々に『ホント来てよかったね~』って。『来年もがんばろうね』って話をしました」

――そんな最高の「The Sauna」。雑誌やWEB、SNSなどいろんな媒体で紹介されていますが、友野さんが見つけた、僕目線のポイントがあれば。

「初めて行きましたし、2つか入っていないんで何なんですけど、お茶がめっちゃ旨いです! これも自然とあの環境、今の気候のなせるわざだと思うのですが、熱々のお茶を本当に美味くいただきました。冬場に行かれる方はぜひ、『The Sauna』でお茶を(笑)」

――ともあれ、最高の体験ができてよかったです。

「幸せを噛みしめながら、1年のよかったことも悪かったことも全部『The Sauna』で昇華できました。全日本は結果的には6位と残念な結果に終わったんですけど、内容は決して悪くない……点数だけ見れば、フリーは自己ベストを更新できたので、最高の気分でサウナに入ることができました。今年はさらにいい結果を出して、再び『The Sauna』に戻って来られたらいいなと思います。次は泊まりかな~」

【友野一希(ともの・かずき)】
’98年5月15日生まれ。大阪府出身。4歳よりスケートを始め、ジュニア時代から表現力の豊かさには高い評価が。見ていて楽しくなるその演技で“氷上のエンターテイナー”“浪速のエンターテイナー”と称されることも。2022-23シーズンは、全日本選手権で3位。世界選手権6位。今シーズンもさらなる高みを目指す。シリーズ第4戦中国杯第4位。1月に行われた「国民スポーツ大会」ではショート・フリー合計252.63点で逆転優勝を飾った。上野芝スケートクラブ所属。

取材・文/橋本達典
写真は友野さん提供です

お話に出てきた施設(出てきた順)

The Sauna

■住所: 長野県上水内郡信濃町野尻379-2 ゲストハウスLAMP野尻湖内
■営業時間:水曜〜月曜=前8:30〜11:30、後0:15〜3:15、後4:00〜7:00。※事前予約制、3時間貸切制
■定休日:火曜
■料金:平日=35,000円、休日=38,000円
The Sauna公式HP

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