友野一希「スケートときどきサウナ」第13回/文化浴泉を初体験

世界を舞台に活躍するトップフィギュアスケーターにして、大のサウナ好きでもある友野一希選手にさまざまなお話をうかがう当連載。
今回は、アイスショーでもたびたび訪れる東京の銭湯系サウナと街ブラ……からの、大好きなラーメンのお話をお届けします。
さらに、連載も1年を迎え、SAUNA BROS.でやってみたい今後の野望(?)などもお聞きしました。
(過去記事を未読の方は、以下の各リンクから、ぜひあわせてお読みください。<#1> <#2> <#3> <#4> <#5> <#6> <#7> <#8>  <#9>  <#10> <#11> <#12>)

目次

中目黒~池尻、満喫の1日で思った“トウキョー”ならではのよさ

――今回は、前回行ったサウナのお話をお聞きしたいなと。最近どこかへ行かれました?

「東京の銭湯系サウナへ行きました。『文化浴泉』へ行ったんですけど、いやーめっちゃよかったですね!」

――おっ、ついに「文化浴泉」デビューですね!

「ハイ。あとデビューといえば、『(スパ&カプセル)ニューウイング』と『ラクーア(Spa LaQua)』へも行きました!」

友野さん撮影

――ずいぶん新規開拓しましたね。

「年始の連載で、今年で25歳になるので“25カ所の新しい施設に行きます”って言ったんです。最初は『25カ所って大変かな……』と思っていたんですけど、アイスショー『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』の関係で、ずっと関東にいたんですね。それで、いろいろ開拓できました」

――全部お聞きしたいですが、過去に「サウナ好きだけど、銭湯も大好き」、「地元の銭湯なんて、ほぼ毎日通っているくらい」とおっしゃっていましたので、まずは「文化浴泉」のお話をお聞きできますか?(ちなみに「文化浴泉』は、2023年3月にリニューアルオープン。東京は目黒区、田園都市線の池尻大橋駅から歩くこと5分、駅東口を抜けた商店街沿いにある地元住民の憩いの場です)

「後輩くんが中目黒の近くに住んでいるので遊びに行って、そこから池尻へ行きました。まずは『めぐ二郎(ラーメン二郎 目黒店)』へ行って、目黒川沿いを散歩して。中目黒にあるめっちゃデッカい、『スターバックス リザーブ ロースタリー』でお茶して、『文化浴泉』に。目黒~中目黒を満喫しましたね」

――友野さん、ラーメン好きですからね、中目黒へ行くからには「めぐ二郎」を外せなかったんですね。

「そうですね。二郎系が大好きでいろんなお店へ行っていますけど、『めぐ二郎』は二郎初心者にも最適なバランスで、みんなに優しいラーメン。お気に入りの二郎のひとつなので、せっかくだから行っておこうと。

僕の中でおいしいラーメン屋さんは、銭湯と同じく、行く先々の街の中で必要不可欠なものと言いますか、外せないものです」

――行列はできていませんでしたか?

「後輩くんは『まあ、地元の人は鍋を持っていくから別に並ばなくても……』とか言っていましたけど(笑)、その日は奇跡的にすぐ入れました。“いつか言ってみたい、そんなセリフ!”とか思いつつ、うらやましかったですね。目黒店は“鍋二郎”というサービスがあって、お鍋を持って行くとテイクアウトができるんです(目黒店、仙川店、上野毛店ほか)。銭湯もラーメン屋さんも地元の人たちにとってはあって当たり前のもので、その街に馴染んでる。そんな街が僕は好きだし、住むならこういう街がいいなと思いました」

――で、散歩して、お茶を飲んで。

「『めぐ二郎』から『文化浴泉』は30分ほど歩くのですが、二郎を消化するにはちょうどいい距離でした(笑)。散歩中も思ったのは、東京ってすごく都会的なところと昔ながらの下町みたいなところが近い距離にあるな~って。何もかもが1カ所にギュッとしていて、それがあちこちにあるのが東京だなと思いました。散歩するのがめちゃ楽しい!」

――ホント、東京ならではですよね。23区内に限るとは思いますが、各駅で商店街があってそこにはおいしい食べ物屋さんがあって、アパレルのショップなんかもあれば、もちろん銭湯もある。

「その駅ひとつで事足りるってすごいなと思います。『孤独のグルメ』に出てくるみたいに、住宅街を歩いていて突然おいしいお店があるとか、めっちゃい感じの古着屋さんがあるとか、よその都市ではほとんどないですからね。代官山にしてもすごくおしゃれな街並みだし、目黒川沿いにはいい感じのショップとか並んでいるのに、すぐ近くには『文化浴泉』の商店街があって。そこがおもしろいし、楽しいとろだし、関西にはあまりない風景だな~と改めて感じました」

この銭湯もはや死角なし! 「文化浴泉」の近くに住みたい!!

――いかがでしたか? 初の「文化浴泉」の感想は。

「僕の好みにジャストフィットしたと言いますか、東京の銭湯系サウナならではの熱さ、冷たさが本当に、よかった! サウナ室内もおしゃれでキレイで、木の香りもいい感じで。オートロウリュも僕が行った時は15分毎にあって。しかも『えっ、まだ!?』いうくらいずっと水が出っぱなしなんです。シャーって出て、ハイ終わりじゃないんですよ」

――(笑)、あれ? 壊れた……って心配になるくらい吹き出てきますよね。

「そうそう、そうです! それで、室内の激熱が保たれている。で、あんな激熱なのに、おしゃれジャズがBGMでかかっているという。おしゃれなのに暴力性もあるところが、たまらなかったです(笑)。あと水風呂も行った時は15℃で、強めのバイブラもあり。チラー(循環水冷却装置)も一新されたそうで、一気に身体を冷やしてくれて。そして“ととのいスペース”がまたいいんですよ! 椅子がズラ~っと列で並んでいて。みんな前を向いているから誰とも目が合わない。日本人が一番好きな感じというか、めちゃくちゃ落ち着きました」

――映画の試写室のような雰囲気で。

「そんな感じです。外気浴に勝るとも劣らない心地いい空間でしたね~(しみじみと)。『文化浴泉』のすべてが僕に刺さりました。これだけのクオリティーなのに、銭湯だから当たり前ですけど、値段も安くて。おまけにきれいで立地もよくて、街の雰囲気もいい。もはや死角なしです! 地元にあんなんあったら毎日行くのにな~って。それくらい衝撃を受けましたし、感動しました。本気で中目黒~池尻大橋あたりに住みたいなって思いました」

――都内では『文化浴泉』をはじめ、いわゆる“デザイナーズ銭湯”と呼ばれる施設が増えました。

「僕は勝手に“東京モダン系銭湯”って呼んでいるいんですけど(笑)、東京、うらやましいな~って思います、ハイ。関西は、あんまないんですよね。『延羽の湯(天然温泉 延羽の湯 本店羽曳野および鶴橋店)』とか、スーパー銭湯系でリニューアルしたところはあるんですけど、銭湯はまだ少ないんで」

――老朽化によって次々と銭湯が消えていく中、昔ながらのよさはそのままにリノベーションして、友野さんのような若いお客さんも増えていって。またその土地で愛されて。

「住宅街を抜けたら、ポンと銭湯が出現する、あの感じも好きです。ちゃんとその町の雰囲気に馴染んでいるのも東京らしい。『文化浴泉』のほか『堀田湯』(足立区西新井)、『黄金湯』(墨田区太平)にも行ったんですけど、それぞれにそれぞれのよさがあったので、近いうちに東京モダン系銭湯を制覇したいですね」

――「東京モダン系銭湯」の呼び名、ぜひ流行らせましょうよ!

「(笑)、いいですね~。古いものに新しいものを取り入れる。“モダン”っていうところがポイントかなと思います。ぜひぜひ流行ってほしいです」

SAUNA BROS.とのコラボグッズ⁉ 本職フィギュアスケートの話も

――今回は、連載も1年を超えたということで新企画も考えていこうかなと思っているのですが、たとえばグッズを作るなら、どんなものがいいですか?

「僕の、ですか?」

――SAUNA BROS.でもいろんなサウナグッズを取り扱っていますから、コラボでも。

「じゃあ……ルームウエアがいいです。僕、サウナを出た後をめっちゃ大事にしてるから。もちろん、サウナハットもマットも作ってみたいですけど、サウナに特化したものって、おうちでの使いようがあまりなかったりもするので。シャツと半パンとの上下とか。近所のコンビニとか行けるような」

――今、着てらっしゃるのも、サウべニアのセットアップですね。

「これ、めっちゃ気持ちいいんですよ! 部屋ではこれしか着てないくらい(笑)。サウナ上がりでもべたつくことなく着れるのもいいです。タオル地が好きなので、生地にもこだわりたいですし、サウナとの行き来にも着れるよう、シルエットもスマートにしたい。いろいろ浮かんできますね~」

――さすが洋服好きです!

「でも、リラックスできるのが一番ですし、こだわりすぎて高くなっても何なので、そのへんも調整して、いいバランスのところで着地できれば」

――あと、話が前後しましたが、スケートのお話も。 

「オフはアイスショーをやって、アメリカに行って振り付けをして、またショーで披露して……という繰り返しでした。オフと言いながらも、怒とうの数カ月ではあったんですけど(笑)。昨年以上にアイスショーに出させていただく機会が増えて。それとともに全国のサウナにもたくさん行くことができたので、サウナもスケートも大変充実した今オフでした!

先月末にドイツで大会があったのですが、そのときはホテルにサウナがあったので少し入る機会がありました」

――サウナもスケートも……って、オフの時期は「サウナときどきスケート」な気がしないでもないですが(笑)、まあ、貴重なオフですからね。

「(笑)、オフ中はそうなりますね。次はここでショーをやるとなったら、何より先にその土地のサウナから調べますし。次においしいご飯やさんを調べて……。もちろん、ショーは真剣にやりますけど、サウナが一番にきちゃうのは否定しないです(笑)」

――でも、趣味が仕事へのモチベーションになるというのはステキなことだと思います。

「ありがとうございます。今回のオフ期間では、関東の銭湯、サウナに4~5カ所行けましたし。ほか地方も行けて、SAUNA BROS.さんの取材で『The Hive』、『スパ・アルプス』にも行かせてもらって。それを今シーズンのチカラにしたいです」

――連載でもよく登場する『神戸サウナ(神戸サウナ&スパ)』は当然としまして、関東でホーム的な施設と言うと、どこなんですか?

「それはもう、『スカイスパYOKOHAMA』です! 関東でホームと言えば、ココしかないです。新横浜の駅を降りると、ホッとしますからね。今では『あー、帰って来た~!』くらい思います(笑)。いつか『神戸サウナ』と『スカイスパ』への愛を語り尽くす企画もやってみたいな~」

――シーズンを終えたら、たとえば西と東が誇る両サウナ施設の代表と友野さんで対談をするとか、何にせよ外へ飛び出したいですね。

「それをモチベーションに今年のシーズンもがんばります!」

【友野一希(ともの・かずき)】
1998年5月15日生まれ。大阪府出身。4歳よりスケートを始め、ジュニア時代から表現力の豊かさには高い評価が。見ていて楽しくなるその演技で“氷上のエンターテイナー”“浪速のエンターテイナー”と称されることも。2022-23シーズンは、全日本選手権で3位。世界選手権6位。2023-24シーズンに入り、9月にドイツで行われたネーベルホルン杯で2位。今シーズンもさらなる高みを目指す。

お話に出てきた施設(出てきた順)

文化浴泉

■住所:東京都目黒区東山3-6-8
■営業時間:月曜・火曜・木曜・金曜=後2:00~深1:00、土曜・日曜=前10:00~深12:00、定休=水曜
■料金:大人520円+サウナ500円(貸し大タオル付き)

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