<連載>友野一希「スケートときどきサウナ」ー第7回ー/ボクは、とんだバカヤロウでした……

世界を舞台に活躍するトップフィギュアスケーターにして、大のサウナ好きでもある友野一希選手にさまざまなお話をうかがう当連載。
 
現在は3月に行われる世界選手権に向けての練習、調整の日々です。

そのスケーティング同様、ついつい引き込まれてしまう友野さんのコメントや胸の内を、今月もどうぞお楽しみください!
過去の友野さんの連載を未読の方はぜひあわせてお読みください<#1><#2><#3><#4><#5><#6>
※記事中の写真はすべて友野さんが撮影したものです!!

目次

初めて訪れたのに“帰ってきた”感じがするサウナ

――前回、雪の中、神戸サウナ&スパ(以下、神戸サウナ)に泊まったお話をお聞きしましたが、その後、どこか新しいサウナへ行きましたか?

「いつも神戸サウナの話になってしまって申し訳ないです(笑)。神戸サウナに泊まって、最高の体験をして、サウナモチベーションがあがって、新しいサウナへ行きました。『神戸クアハウス』です」

――神戸クアハウス(以下、クアハウス)いいですねぇ。

「いやーホントに……なんというか、あんなにいい施設を見逃していたなんて、僕は本当にバカヤロウでしたね(笑)。施設に入ったときにもう確信したんですよね『あ、ここ、好きだ』って。施設の、あの空気感と、スタッフの方の接客の温かさとか、すごくよかったです。年月は経っていますがスタッフの方も含めて、施設から感じる『安心感』がすごい施設だなって。神戸サウナや大垣サウナとかもそうなんですけど、僕はやっぱり、歴史はあるけれどもおもてなしがすごかったりする施設は好きなんですよね。『クアハウス』は初めて行ったのに、温かさを感じて『帰ってきた』って感じになったんです」

あの名店の“水風呂”を知ってしまいました

――素朴だけど温かみがありますよね。

「そうなんですよね。それと、やっぱり、水風呂がよかったですね。六甲山の天然水のかけ流しということですごく有名だったので、いいんだろうなと思ってはいたんです。外には飲み水ように水をくめる場所とかもあるんですよ。それが水風呂になっているっていうだけでテンションがあがっちゃいますね。そして浴場の扉をあけた瞬間の、あの景色に見え方がすごく好きでした。サウナではなくて、水風呂が目の前にあって、水が流れ出てて……広々としていて温泉もある。配置もいいんですよね。サウナも熱々で、水風呂を楽しむためのサウナっていう感じで。

水はサラサラしていて、透き通っていて、自分の体に水が当たっているというよりは、水と一緒になっているというか、水に包まれている感じなんです。毛穴ひとつひとつからきめ細かく水が入って来る感じ。水温は天然水そのままの温度なので18℃~20℃くらい、季節によって違うのかなと思うんですが、冷たさは感じるんだけど、嫌な感じが一切ないのでずっと入っていられるんです。独特の良さがあるんです。3セット目が終わっても『水風呂だけ入りたいな』って思うくらい、気持ちがいい水風呂でした。

それと、びっくりしたのが、サウナの後って、いつもは髪の毛がバシバシになるんですけど、クアハウスへ行ったときは、ヘアオイルとかつけなくても乾かしたあと、髪の毛がサラッサラになったんです。水風呂で、頭から水をかぶったりしていたからだと思うんです。『えっこんなに変わるんや』ってそれが1番驚きました。やっぱり水質が本当にいいんだなって感じました」

――クアハウスの水風呂を知ってしまったんですね(笑)

「はい、知ってしまいました(笑)。しかも、クアハウスの目の前にあるラーメン屋さんがおいしいって有名だったので、寄って帰りました。このラーメンもめちゃくちゃおいしくて、最高でしたね。サウナへ行って、最高の水風呂に入って、中華そばも食べて、神戸はどこまで僕を楽しませてくれるんだろうって(笑)。さらに神戸が大好きになりましたし、もう何よりクアハウスにへ行っていなかった自分を恨みましたね。今度から、神戸へ行ったら『神戸サウナ』へ行くか『クアハウス』へ行くか迷うことになりますね。駅から右へ行くか、左へ行くか(笑)」

勝ち取った世界選手権への切符。目標は総合メダル。
「でも、もっと大きな目標があるんです」

――いよいよ世界選手権ですね。

「そうですね。もう直前で調整の段階なのですが、1月、2月あたりは時間があったので、技ひとつひとつのレベルアップを中心に行っていました。自分のやり直したいところをどんどん練習して、本来自分のやりたい練習っていうのも楽しく練習できる時間があったのがよかったです」

――本来やりたい練習というのは?

「プログラムは、例えばジャンプとかステップとかを入れて組み立てていて、試合前になるとその調整みたいな感じになるんですが、組み立てるパーツを分解して、ひとつひとつさらに強化して、また戻して、別のパーツを取り出して……という練習です。サウナで例えていうと、プログラムは『サウナは10分、水風呂は1分、外気浴は10分で入ってください』と決められている感じで、でも『今日はちょっとサウナを長くしてみよう』とか『今日は外気浴とばそう』とか、自分で組み立てつつ練習できる感じです。『どれだけ高く飛べるかジャンプの練習をしてみよう』とか、『スピンやステップを重点的に練習しよう』とか。とにかくただただスケートが上手くなりたいから練習しているっていう状態でした」

――今シーズンのプログラムで、これは挑戦だったな、ということはありますか?

「今まではいろんなジャンルに挑戦して、自分の技や表現の幅を広げることをしていたのですが、今回は『自分らしさ』とか『自分らしい演技』で勝負しようって決めました。そして、友野一希というスケーターの魅力が詰まったプログラムが出来上がりました。でも、実は自分らしさってすごく難しいんです。ショートも、フリーも、友野一希らしさが詰まった今シーズンのプログラム。その最後が世界選手権になります。どちらも本当に僕のいいところがたくさん詰まっているので、それが出せたらと思っています」

――改めて世界選手権の目標を伺ってもいいですか?

「はい。僕は2回、世界選手権に代打という形で、出させていただいていて、1回目のときはフリーでスモールメダルを獲得して総合5位。前回の世界選手権ではショートでスモールメダルを獲得して総合6位でした。総合5位、6位とショートとフリーでそれぞれスモールメダルを獲得しているので、となると、やっぱり次に目指すものは大きなメダル、総合でのメダルですね。本当に大きな目標にはなるんですが、やっぱりそこに向けてがんばることが、自分の中で成長につながるんじゃないかなって思うので。

大きなメダルを取ることは、世界選手権の目標にはなるんですけど、それが僕の中の最大の目標かというと少し違うところもあるんです。どれだけスケーターとして成長できるか、トップスケーターにふさわしい選手になれるか、ただただ自分をレベルアップして一流を目指したいというのが僕の中での今シーズンのテーマでした。もちろん、結果として見えてしまう目標もあってよくて、それとまた違う面で、つねに成長し続けたいというのが僕の1番の目標です」

お話には出ていないですが「カプセル&スパ グランドサウナ心斎橋」に初めて訪れたときの友野さん。いい表情です!

【友野一希(ともの・かずき)】
1998年5月15日生まれ。大阪府出身。
4歳よりスケートをはじめ、ジュニア時代から表現力の豊かさには高い評価が。見ていて楽しくなるその演技で“氷上のエンターテイナー”“ナニワのエンターテイナー”と称されることも。2021-22年シーズンには、四大陸選手権で2位、世界選手権で6位。今シーズンも更なる高みを目指す。世界選手権は3月23日~26日に開催(さいたまスーパーアリーナ)。

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