50年続いたサウナの最終営業日を舞台にした映画「サウネ」。監督・キャストにサウナの魅力を聞くインタビュー特別編! #2 善雄善雄さん 奥村徹也さん part2

公開中の短編映画プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season3』の9作品の一つ、「サウネ」はサウナ好きの松居大悟が監督・脚本を務め、長年続いたサウナの最終営業日に集まった人々の悲喜こもごもを描いた作品です。そんなサウナ映画をSAUNA BROS.が放っておくはずがありません!……ということで、「サウネ」インタビュー特別編を送ります。#1#2はメーンキャストの善雄善雄さん、奥村徹也さんのお二人、#3#4は松居大悟監督、#5#6は清水みさとさんから、撮影エピソードやご自身のサウナライフについて、たっぷりお届けします。

©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

◆地方公演に行くと、その土地ごとの「サウナ」を楽しんでいます

——実際にサウナ好きなお二人のサウナ歴、サウナへ行くペースはどのくらいですか?

奥村 「マンガ サ道」の1巻が出たのと同時に入り始めたのでそれと同じぐらいですかね。今は月に2回ぐらいです。昔は週2回ぐらい行っていたんですけど、最近忙しくてあまり行けていないです。

善雄 旅公演で地方へ行っている時だと毎日行ったりするんですけど。普段は行けたり、行けなかったりみたいな感じです。まあ、でも少なくても月に1回ぐらいは、なんとか時間を作って行きます。サウナに行くのは、毒抜きの意味が強いかもしれないですね。ストレスが溜まった時に行くと、やっぱり頭の中が軽くなる感じがするので。

奥村 昔はよくサウナの休憩所で仕事をしていたので、“サウナ=仕事場”だったんですけど、今はただただ、憩いの場、休める場所です。何もしなくていい場所ですし。日常生活では常に何かしなきゃと追われてしまうので、何もしない、90分とか2時間は貴重です。

――初めて「サウナって良いな」と思った瞬間は?

奥村 笹塚のマルシンスパで、外気浴中に富士山が見えた時かな。本当に天気のいい時だけ見えるんです。あれは、気持ちよかったですね。

善雄 僕は何年か前、舞台の稽古で富山に行った時の地元のスーパー銭湯での体験ですね。ロウリュサービスを受けて、初めて「これか!」と「ととのう」感覚を知ったんですよ。富山のきれいな空気と、ロウリュで一気に上げてもらった体温と、寒い時期の富山の刺すような寒さ。それが全部、ちょうどガチッとはまったなという感じがしました。立山連峰って富士山とはまた違う山並みが広がっているので、是非機会があれば行ってみてください。

©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

――松居監督や劇団の方とも一緒にサウナを楽しむことも?

奥村 僕と(熱波師役の)本折最強さとしさんが、劇団ヨーロッパ企画の方たちにサウナを勧められて、僕らが松居さんに薦めて、そしたら松居さんが(サウナに)はまったっていう流れがあるんです。多分、京都に行った時だから5〜6年前かな。

善雄 その前は、松居はハマってなかったんだっけ?

奥村 最強さんが劇団の中にサウナを広めた感じですよ。

善雄 昔から公演の後に銭湯へ行くことはありました。でも、サウナは入らず風呂だけ入ってみたいな感じだったので、サウナはここ数年ですね。コロナ禍で行けない時期もかなりありましたが。

奥村 公演で先日も北九州に行ったので、松居さんとも3人でサウナへ行きました。「近くにいいサウナがあるぞ!」となると毎日のようにみんなで出かけます。

善雄 この間はサウナの後に用事があって、もうそんなに時間がないのに松居が一人だけ3セット目に入っていきました。1セットも30分はかかるから、あいつ、集合時間に間に合わせる気ないなって(笑)。僕が出口に向かうところで松居がサウナに消えていって、衝撃的でしたね。その前もそうか。1時間コースで、パッと切り上げようって言ったら、あと5分という時にもう1セット目に入っていった。松居は劇団だとマイペースにやっていますね、だいぶ。まあ、他の仕事だとそうはいかないでしょうからね。

――「善雄流」「奥村流」サウナの楽しみ方は?

善雄 「流儀」まではいかないんですけど、サウナに入る分数は決めないです。無理したらととのえなくなっちゃう気がするので。その日の体調や疲れ具合で変わってしまうし。別に5分で出ても体が温まっていれば大丈夫だし。逆に12分を超えたとしても、今日はまだ行けそうだと思ったら行く。ちゃんと体の声を聞いて、体に忠実にするようにしています。

奥村 僕は限界までいきますね。本当にこれ以上はダメだなってところまで行きます。平日で雨が降っている時など、人の少ない時間帯の静かなサウナが好きです。なるべく誰も来ない時間帯に行って、サウナの中で立っています。サウナ室に一人の時は直立不動しています。仁王立ちです。サウナは冬がいいですね。ちゃんと水が冷たいから。

善雄 札幌で行ったサウナ「ニコーリフレ」が、めちゃくちゃすごかったんですよ。外が氷点下みたいな状態だから、水風呂に入らなくて外気浴でもいけるし、水風呂も本当に氷点下なんじゃないかというぐらい、冷たかった。本場フィンランドは北欧だからこれぐらいの気温の中で入っているのかなと想像したりして、結構楽しかったですね。気温が低いのでびっくりするぐらいととのうのが早かったのが印象に残っています。

奥村 あー、確かに。

善雄 あと、北九州の公演のときに「小倉サウナ TOTONOI」というサウナ施設に3人で行きました。僕、コロナ禍でロウリュサービスがなくなってしまって、寂しいなって思っていたんですよ。セルフロウリュができるところで、久しぶりに浴びたら、やっぱりすごくいいなと思いましたね。どこからか、野良の熱波師が現れてくれて……。お店の人じゃないんですよ。黙々とサウナストーンに水をかけて、ずっと空気をかき回してくれました。

奥村 松居さんも熱波師やりましたよね。

善雄 松居も真似したけど、タオルがちょっとびしゃびしゃで、みんなに水がかかって迷惑だった(笑)。素人ができるもんじゃないなと思いました。

奥村 今、公演のために京都にいるんですけど、京都のサウナもいいですね。何気ないサウナと外の雰囲気が相まって。京都の銭湯、気持ちいいです。銭湯帰りに歩く街並みもすごくいいんですよ。

善雄 「白山湯」ね。

奥村 銭湯料金だけで、めちゃくちゃいいサウナがついているので。京都の銭湯、レベル高いなと思いました。昔ながらの銭湯という趣もあるんですけど、粋な計らいというか、露天風呂に松の木を植えていたりして、目でも楽しめる工夫がある。雰囲気の良さに驚きました。

札幌でサウナに向かっている松居監督と劇団員たち(2020年撮影)

――映画のタイトル『サウネ』は松居監督の造語とのこと。善雄さん演じる主人公は、女性スタッフに恋していて邪な気持ちがあるから、「サウナ」ではなく、『サウネ』。奥村さん演じる初心者サウナ―は、「サウナ」にはまだまだ遠い「サウノ」。というやりとりが行われていますが、お2人の“サウナ純度”を表すなら?

善雄 僕は純粋に1人で楽しんでいるので、サウナの後に小さい「ツ」をつけて、「サウナッ」。はしゃいでいる感じかな。

奥村 う~ん難しい。サウナに何を求めに行っているかと言ったら本当に休息なんです。スマホとかパソコンから離れている1時間ぐらいの時間はゆっくりする感じだから、伸ばし棒で「サウナ~」かなあ…。あ、これじゃただのサウナーみたいになっちゃうね(笑)。

――最後にSAUNA BROS.WEB読者に向けて、メッセージをお願いします。

奥村 松居さんは、今やっている舞台もそうですけど、最近はこれまでと違う作品に挑戦しているので、「サウネ」にも新しい魅力があるのではないかなと思っています。サウナが大好きな人が作った作品なので、「サウナ愛」はあると思う。嘘偽りなく、サウナ好きの集まる作品ということで細かいところまで是非見ていただければと思います。

善雄 「サウネ」はサウナ好きの方々が集まってできた作品です。それぞれがサウナに入るリアリティーはすごくあるとは思います。サウナ好きの人には、「サウナにはこういう人いるよな」、サウナ知らない人には「こういう世界が広がっているんだな」と、そんな楽しみ方をしていただけると思います。脇の俳優さんたちが豪華なので。磯村さんのととのった体などを是非、ご覧ください。

次回は松居監督へのインタビューです。お楽しみに!

善雄善雄(Zenyu Yoshio)
1985年9月30日生まれ。富山県出身。
高校入学とともに演劇を始め、2004年桜美林大学文学部総合文化学科入学。在学中に劇団 「ザ・プレイボーイズ」を旗揚げ、10年間の活動の後、2015年に同劇団を解散。2019年復活。2017年に「堀善雄」から「善雄善雄(よしおぜんゆう)」に改名。役者だけでなく、#家で出来る演劇「ぶれる境界」、「歌浴曲ウォーズ」など舞台の脚本を手掛けるほか、[WEBサイト]永遠のオトナ童貞のための文科系マガジン「チェリー」にて「卒業をさせておくれよ」を連載中。

奥村徹也(Tetsuya Okumura)
1989年7月13日生まれ。岐阜県出身。
2008年、早稲田大学演劇倶楽部にて演劇を始める。卒業後、サラリーマン生活を経て2014 年「劇団献身」を旗揚げ。主宰と脚本・演出を務める。映画「アルプススタンドのはしの方」(脚本)やドラマ「生ドラ!東京は24時」[フジテレビ系](監督・脚本)など、役者だけでなく、監督や脚本家としても活躍している。

劇団ゴジゲン
2008年、慶應義塾大学演劇サークル“創像工房 in front of.”内で結成。主宰の松居大悟が全ての作・演出を手がける。メンバーの出身地は、福岡・島根・沖縄・北海道・岐阜・富山となぜか地方に偏っている。「くれなずめ」「朱春」「かえりにち」など造語がタイトルになることが多く、近年は、曖昧で見落としがちな感覚や時間を、コメディタッチで描いている。2008年より年2~3回の上演を精力的に行っていたが、2011年「極めてやわらかい道」の後、3年間の活動休止。2014年「ごきげんさマイポレンド」より活動再開。2017年に初の3都市公演「くれなずめ」で2000人以上を動員。全国を視野に入れて、下北沢を中心に活動中。 「ゴジゲンのゴジtube」というYouTubeチャンネルも毎週更新中

文/奥澤しのぶ

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