はるか昭和の時代から、何十年もの間ずっとサウナ好きをあたため続けてきた、心地よくて、安らげて、そのたたずまいや味わいがたまらないサウナ施設を取材させていただいている「ノスタルジックサウナ写真集」。

日本各地に点在する各施設への訪問・撮影を行うなかで、あらためて感じたそれぞれの“グッ”ときてしまうポイントを挙げさせていただく短期集中企画。
6回目は鹿児島市の「ニューニシノサウナ&天然温泉」さんです。

お読みいただいたあと、もしよろしければ皆さんからも「こんなところが好き」「ココがたまらない」という声をぜひお聞かせ願えればと思っています。よろしくお願いします!

(このページで便宜上何点か掲載している写真は、編集部員がスマホで撮ったものです。念のため。写真集では、プロによる思わず息をのんでしまうものを、あますことなく掲載します!)

・大正初期に旅館として創業。昭和48年に改築された現在の建物とサウナも……およそ半世紀の歴史が!

南九州最大の繁華街で鹿児島の文化・経済の中心地、天文館にある「ホテル ニューニシノ」さん。今回の写真集で取材させていただいている施設さんは、どちらも昭和に創業されたところばかりなのですが、ニューニシノさんは歴史をたどるとちょっとズバ抜けた存在。大正前期(大正4~5年ごろ)に、現社長さんの曾祖母が、県内の知覧地方の方が鹿児島中心部に用事で訪れた際に宿泊するための宿として開業されたそうです。

現在の「ホテル ニューニシノ」になったのは昭和48年(1973)。先代の社長(現社長のお父様)は、家業を継がれる前は英国航空にご勤務。職業柄もあり世界のあちこちに旅をされていたそうです。同年に旅館をリニューアルするにあたり、大浴場に2つのサウナ室が造られました。現社長いわく「フィンランドにもきっと行っていたでしょうし、おそらくサウナの心地よさをどこかで知って、提供したいと考えたんだと思います」。

そんなお話を聞きながら建物の前に立つと、あらためて味わいが増してきます。看板に描かれた紳士のイラストも、どこかユーモアを漂わせながらジェントルで品があって。2階から4階にかけて設けられた大きな窓も、コーナーに丸みがあって、ミッドセンチュリーなモダンさ。

建物に足を踏み入れても、そこかしこから感じる風情に心が落ち着きます。きれいに清掃されたカーペット。天井から感じる趣き。どこか安らいだ気持ちになりつつも、その一方で今から入るサウナ室のことを考えると、ちょっと心躍る。この不思議な感覚、なんかいいんですよねぇ……。

・そしてサウナフロアへ。清潔さ、心地よさに加え、ある“感慨”に包まれてしまいました

4階にある浴室フロアも、フロア全体とても清潔ですが、懐かしい雰囲気に満ちています。まずは、昔の建物(失礼!)ならではの、絶妙な天井の低さ。実にいい! 浴後の休憩用の、布張りのリクライニングシートも足を置くオットマンも、その生地の手触りの良さと風合いが本当にノスタルジック。マッサージルームとの間にあるガラス窓に貼られたステンドグラス調のフィルムも、あちこちに吊るされた館内表示もたまらない味わい。年季の入ったロッカーが並ぶ脱衣場の一角には「電話」と記された表示板を見つけました。あぁ、かつてはここに呼び出し電話がかかってきてたんだろうな……と往時に思いを馳せてしまいます。

浴室ももちろん心地よい空間。温泉をかけ湯できるのですが、そのお湯を溜める水槽から天井に伸びる円柱に大きな石が貼られていて。足元のタイルも壁もきれいに磨かれ拭き上げられていますが、それらすべての年季の入り方がやはりとても懐かしい味わいで、本当に心を落ち着かせてくれます。

温泉の浴槽も水風呂も、ゆったりと体を伸ばせる絶妙な深さとサイズ感。浸かりながら聞こえる、浴室内に響く桶を置く音や水音も……心身ともに実にのびやかにリラックスできます。

2つあるサウナ室のうち、一方は「備長炭温泉蒸気サウナ」。その名の通り、壁に備長炭が張られた暗い室内では、こちらの地下から湧く温泉の蒸気をこれでもかと浴びることができます。日本では古来から蒸気浴を楽しんできたと言われていますが、そうした日本の蒸気浴の歴史を感じたりして。こちら、一度は体験してみたいサウナ室の一つです。

もうひとつの「フィンランドサウナ」も圧巻のサウナ室。入室してすぐに目に飛び込んでくる、ストーブがまったく見えないほど積まれたサウナストーン。その周囲のレンガも、天井や壁に貼られたケロ材も、長い歳月を感じさせるとても美しい色みに仕上がっています。味わいというか、クラシカルな雰囲気に満ちているのですが、その重厚さを少し軽くしてくれるのがサウナベンチの下から届く緑色の間接照明の光。

実はこのグリーンの光は、昭和48年にこのサウナ室を造って以降も、各地のサウナ施設を訪ね歩いた先代社長が、今はなき「サウナ東京ドーム」(旧:後楽園サウナ)で見て、導入されたものだそうです。日本のサウナ史にその名を刻む名施設の名残りをこちらで感じることができるとは。それとともに、常に訪問客に最高の体験をしてもらいたいと思い続けてきたニューニシノさんの変わらぬ姿勢、伝統のようなものを痛感して、またしてもグッときてしまうのでした。

・「サ右の銘」は「一期一会」まさに……。100年の歴史はダテじゃない!

先代社長のエピソードも含め、さまざまなお話を現社長と専務(社長の弟さんです)にうかがいながら取材をアテンドしていただきました。本当にいいお話がたくさん聞けたので、また別の機会でもじっくりと記せたらと思います。

あ、でも、ひとつだけ書かせてください。社長に「大事にしていることは何ですか?」とうかがったところ、少し考えながら「出会いですね」と答えていただきました。

「ホテルの仕事でも、サウナの仕事でも、いろんな方に来ていただきます。すべての方とのそうした出会い……まさに『一期一会』を大切にしていきたいと思っているんです」

訪れた人すべてに、常に快適な空間を提供するために、全スタッフとともに一瞬一瞬心をこめて日々を重ねていく……社長の言葉で、大正初年の創業以来、一世紀にわたり、ニューニシノさんが愛される理由があらためて分かる気がしたのでした。

またしてもざっくりになってはしまいましたが、そんな「ニューニシノサウナ&天然温泉」さんに長時間お邪魔して、じっくりと撮影を行わせていただきました。ここまでに記したような、目に入るものはもちろん、ボイラー室や普段は上がれない屋上などにも足を踏み入れさせていただいたり。自分たちで言うのもなんですが、たまらない写真がたくさん撮れたと思っています。

もし皆さんも「このカットがあれば見てみたい」「掲載してほしいのはこういうところ」などのご意見があれば、お聞かせいただけたらと思います。この記事に関するTwitterのつぶやきなどへのリツイート、インスタグラムのコメント欄や引用ストーリーズなど、ぜひお待ちしてます!

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さて、この「ノスタルジックサウナ写真集」プロジェクトでは、クラウドファンディングも実施しています。この記事や、こちらのクラウドファンディングのページを読んでいただいてご興味やご共感をいただけた方は、ぜひ応援のほど、よろしくお願いいたします!

 

<次回は長崎県佐世保市の「サウナサン」さんについて記してみたいと思います>