「外気浴(かぜ)をもとめて」#14オーストリア・ザルツブルク編

外気浴(かぜ)をもとめて~欧州サウナ紀行~

Ciao! イタリア在住の木村です。ドイツから再びイタリアに生活の場を移しました。

根っからのサウナっ子で日本では毎日のようにサウナに通っていた私が、欧州各地のサウナと外気浴(かぜ)を求めて、月に1度欧州のサウナリポートをお届けしております。

今回は、オーストリア・ザルツブルク近郊のサウナをご紹介したいと思います。久々にドイツ国外のサウナです。(前回の #13 ドイツ・ケルン編はこちらから)

目次

“モーツァルトの町”世界遺産ザルツブルク

ザルツブルクはドイツと国境を接する都市で、モーツァルトが生まれた土地としても有名。ミュンヘンから電車一本(2時間ほど)でアクセス可能(しかも月額49ユーロのドイツ鉄道チケットで行ける、ドイツ在住者にはお得な行き先)です。私が訪れた12月は、ちょうどクリスマスマーケットの開催時期で、世界遺産にも登録されている旧市街の雰囲気が最高に素晴らしい場所でした。

さて、リサーチしていると、そんなザルツブルクの郊外に何やら面白そうなサウナを発見! さっそく行ってまいりました。

“温泉保養地”ガスタイン渓谷

目的地はザルツブルクから南へ電車で約1時間30分ほどにあるガスタイン渓谷。古くから皇族や王侯貴族などが数多く訪れるヨーロッパ有数の温泉リゾート地です。また、ガスタイン渓谷は、ラドン温泉(※)発祥の地でもあり、世界中から治療と保養のために多くの人が訪れているそう。

そして、今回私が訪れたのは、ガスタイン渓谷の中でも高級ホテルが立ち並ぶバート・ガスタインエリアにある「FELSEN THERME BADGASTEIN」(フェルゼンテルメ)さん。海抜1,100mにあるBad Gastein駅から徒歩0分という好立地のサウナ施設です。

※ラドン温泉とは、浴槽内へ安全な一定の濃度に保たれたラドンガスが含まれる温泉のこと

駅から徒歩0分! 好立地のエントランス

フェルゼンテルメは、サウナのほかに、温泉やマッサージ、フィットネスジムが併設された複合施設。サウナ利用の場合は、3時間で31€(約5,000円 ※2024年1月現在)。サウナエリアは16歳以上から入場可となっております。

詳細は公式HP(https://www.felsentherme.com/en/)から。

1968年にオープンしたオーストリアで最初の公共スパで、8種類のサウナとスチームバスがあるのが特徴的。なんといってもこちらの特徴はそのロケーションと景色の素晴らしさです。サウナからオーストリアの山々が真近に見え、雄大な自然の中でのサウナ入浴を楽しむことができます。

野外サウナから見える雄大な景色。スキー場も見えます

いくつか代表的なサウナをご紹介したいと思います。

PANORAMA SAUNA (最大95℃)

PANORAMA SAUNAの内部
夏季はまた違った景色が楽しめます

大きなガラス張りの窓から、ガスタイン渓谷の山々の素晴らしい眺めを楽しむことができます。壮大な雪山を見ながらのサウナは不思議な感覚に。ずっと眺めていられます。

ZIRBEN SAUNA (最大90℃)

1時間に1度アウフグースが行われるサウナ。そのほか、スチームバスや12℃の水風呂、山を見ながら浸かれる32℃のプールなど、充実の内容です。

フェルゼンテルメのアウフグース

そして、特筆すべきはこちらの施設のアウフグースです。サウナマスターのパフォーマンスそのものは正統派ですが、質がとても良いのです。ロウリュに使用するアロマを、全40種類のアロマボトルの中から、サウナマスターがその回ごとに、気候や参加者の性別、年齢層などを確認して決めているのだそう。まるでDJのような立ち振る舞いでした。また、アウフグースの際の説明もドイツ語と英語、イタリア語やフランス語を駆使し、各国から集まる参加者が皆楽しめる空間を演出。ヨーロッパに来て以降、アウフグースの説明はいつもドイツ語だったので、英語で説明を受けるのが新鮮でした。

次回オーストリアを訪れる機会があれば確実に訪れたい施設、体験したいアウフグースです。中でも、個人的に印象に残ったのがバジルのアロマ。なんでも、担当したサウナマスターは元シェフらしく、アロマの香りの選び方にもオリジナリティーが溢れている気がしました。

ちなみに、ドイツと同様にオーストリアもFKK文化がありますので、サウナエリアはヌードエリアとなります。FKK(エフカーカー)とはドイツ語の「Freikörperkultur」の略で、Frei(自由な)、Körper(身体)、Kultur(文化)を指します。すなわち裸体主義(英語のヌーディズム)を意味します。ドイツに半年弱住んだだけの私にはまだまだ理解が追いつかないところがあるのですが、大自然の中にあるサウナを体験すると、なんだか少しだけその概念がわかったような気がしました。

あとがき

オーストリア・ザルツブルクといえばレッドブル(本社がザルツブルク郊外)。ということで、サウナで一汗かいたあとはもちろん1本。格別の美味しさでした。

フェルゼンテルメ併設のレストランで購入可能です

【木村 光留(きむら・みつる)】
ミラノ工科大学の戦略デザイン修士課程で学ぶ大学院生。14年働いたCS放送局を退職して渡欧。サウナが好きすぎてサウナ番組を作ったこともあり。(twitter: @buraraorange)

シェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次