心身ともにリフレッシュしたり、コンディショニングに活用したり。サウナを愛するアスリートはたくさんいらっしゃいますが、プロ野球・千葉ロッテマリーンズもガチなサウナ好きが数多く所属するチーム。そんな同球団の愛好家選手たちに、さまざまなお話を伺っている当連載。
今月は、つい先日（第1戦＝3月6日、第2戦＝同7日）の、ヨーロッパ代表との「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ」で日本代表（＝侍ジャパン）に招集された種市篤暉投手を、1月に続いて直撃！
種市投手も登板した第2戦での、6投手の継投による「完全試合」達成という快挙。テレビやスマホでの中継画面に釘付けになっていた方も多いのでは？
3月29日のペナントレース開幕を前に、一気に“野球シーズン到来！”の気分を盛り上げてくれましたよね。
最近のサウナライフはもちろんのこと、あの日のマウンドやダグアウトでの知られざる（？）エピソード。そして開幕直前の現在の心境、近況など今月もディープにいろいろ聞いてみました!!
＜当連載の過去記事はこちらから。また、種市投手の前回記事（#16）はこちらから。未読の方は、ぜひ併せてお読みください＞
’24年シーズン開幕直前！「侍ジャパン」で磨きをかけた4日間
――今月もよろしくお願いします！ チームにはいつ戻られたんですか？
「よろしくお願いします！ 昨日……3月9日に合流しました。いやぁ、前回（の取材）から、あまり日が経ってないですけど、また僕で良かったんですか？」
――いやいや。私たちも種市さんにうかがいたいことは常にたくさんあるので。今回はサウナの話ももちろんなんですが、まずは侍ジャパンでの活躍について。代表のユニフォームは久しぶりですよね。
「そうですね。U-23のチームでの招集はありましたけど、（年齢）無制限のトップチームに呼んでいただいたのは初めてなので、いい緊張感の数日間でした」
――選出されたときは、どんなお気持ちだったんですか？
「日の丸のユニフォームは本当にすごく光栄なことですし、今回はロッテからは僕一人で、チームを代表することにもなるので。それに恥じないピッチングをしないといけないなと思いました。
ただ、気負い過ぎるみたいなことはなくて。練習の合間もそのほかの時間でも、情報交換ってほどではないですけど、みんなと野球やピッチングのことも含めて会話したりして。満遍なくいろんな選手と話せて、勉強にもなることも多くて……いい経験になりました」
――期間としてはそれほど長くはなかったかと思うんですが、密度は濃かった。
「そうですね。4日間かな？ 試合の日を入れて。初日は集合して泊まっただけなので、正味でいえば3日間。でも、たしかに濃密ではありましたね」
――チームからはお一人でしたが、前回、お話をうかがったときに「自分はコミュ障な方だ」とおっしゃっていましたが。
「あはは。知り合いじたいは少なかったですけど、そういう変な緊張みたいなのは全然なかったですよ（笑）。それに今回は大学生の選手もいましたけど、年上の選手も年下の選手もみんな……チーム全員がフレンドリーでしたし。僕もみんなも年下の選手をいじったり、その逆もあったりもして（笑）」
――種市さんも、（年下の選手にも）いじられた？
「もう、バンバンいじられました（笑）」
――いいですね（笑）。でも、雰囲気がいいのは見ていてすごく伝わりました。そう言えば、ピッチャー陣の中には同郷（＝青森出身）の松山晋也投手（中日ドラゴンズ）がいらっしゃったりもして。
「そうなんですよ。実は、キャッチボールの相手は3日間ずっと松山でした。すごいボールを投げるんですよ。皆さんも試合で見たとは思いますけど。
そんなこともあって、松山とはかなりコミュニケーションが多かったかな。いじられも含めて（笑）」
――2人で会話すると、故郷の言葉が出ちゃったりとかするんですか？ 「へば！」とか、「せばだば」とか。可愛い言葉、ありますよね。
「いやいや（笑）。逆に、『もう、方言は出なくなったよね〜』って言い合ってました。ただ、イントネーションがお互いちょっとアヤしくなったときはありましたけど（笑）」
史上初、侍ジャパン「完全試合リレー」の舞台裏！
――それにしても、種市さんが試合を締めくくった「第2戦」は……シビれました。
「ありがとうございます。僕もシビれました（笑）」
――第1戦も継投で完封リレーでしたが、第2戦はさらに「パーフェクト」継続状態で出番が回ってきたじゃないですか。種市さん目線で見たら……。
「ホント、それなんですよね。もう、なんとか……なんとか抑えられてよかったです。正直、ホッとしました（笑）」
――試合中、ベンチの中はどんな感じだったんですか？
「5回くらいから『ランナー出してないな』とか『完全やん』。6回終わっても『まだ継続中じゃん』『うぉー』みたいな感じになってきて。で、僕の前に投げた隅田（知一郎）投手（※埼玉西武ライオンズ）も結局、見事に打ち取り続けて。『ウワっ、マジか!?』って（笑）」
――そしていよいよ8回のマウンドへ。
「これ、ちょっとやらかせないぞっていう……。もうね、正直、それ以降は僕もあんまり記憶ないんすよ。試合の最後の方は記憶なくしてます（笑）」
――はい（笑）。
「いつもは一つずつアウトカウントを重ねるごとに、やっぱり少しずつ安心するんです。ほっとするというか。よし、ツーアウトだ、じゃあイニング最後は少し思いっきり投げるかとか、考えたりするんですけど……。
あの日はもう、ワンアウトツーアウトとったとしても、そのあとも『これ、集中しないとランナー出す、出ちゃうぞ』って思いながら投げ続けてたんで」
――あの〜、一ファンとして、素人目線ではあるんですが、種市さんが抑え的な役割っていうのは想像していなくて。先発ではないかもしれないけど、第2先発とか、早い回で投げられると思い込んでいたんです。
「そこも……僕自身も招集された頃はそう思っていました（笑）」
――ではあの日、登板順が最後になるというのは……？
「前々日かな？ 井端（弘和）監督と吉見（一起）さん（※投手コーチ）に言われて。『えっ、なんで俺なんだろう？』って感じでした（笑）。
でも、実は別プランも聞いていて。
大学生の選手（先発と2番手で登板）含め、序盤の投手が緊張などでコントロールがつかなくなったりしたら、そのときは僕が3イニングくらい行くかも、と」
――なるほどですね。でも、全員それぞれ素晴らしかったから、種市さんがクローザー役に。「やっぱりプランAだ」みたいな。
「そんな感じです」
――はい。でも2イニングめの、9回の最初のバッターで、めっちゃドキっとしました！ ライト線ギリギリのファール。
「あれはもう。俺も『終わった』って思いました。打たれた瞬間、完全にヒットだって思ったんで」
――テレビの前も、球場全体も大いにザワついて、どよめいて。打球を見届けて「フゥ〜ッ」ってなりました。ラインから数センチ……「種市さんの10ミリ」って感じでしたよね。
「10ミリよりは、もうちょっとあったかもしれないですけどね。でも、いいですね『種市の10ミリ』ってワード。これからは、それ名乗らせてもらおうかな（笑）。
でも冗談はさておき、本当にあの瞬間はビビったし、心からホッとしました。『助かった〜』って（笑）」
――結果、9回は3者連続三振で締めて。あらためて日本の投手力が誇らしかった一夜でした。
