さまざまな形態のサウナ施設の中でも、「ご近所にあって」「料金もお手頃」など、私たちの暮らしに身近な存在といえるのが「銭湯サウナ」。この特集シリーズ「GO! 1010-37!!」(ゴー! 銭湯サウナ!!)では、そんな銭湯サウナの魅力を深堀りして、月2回(=原則として毎月26日と10日)のペースで更新していきたいと思っています(毎月1軒の、主に東京の人気の施設を訪ねるかたちで、ピースフルポイントを紹介させていただきます)。

さて、本日=10月10日はご存じのとおり「銭湯の日」です。そんな日にお送りするのは、前回記事(#1)に引き続き、人気銭湯がひしめく東東京エリアから、台東区三ノ輪の「三ノ輪 改栄湯」さんを訪問させていただいたクローズアップ記事。若き店主、翁 洋平(おきな ようへい ※写真上)さんにお話をうかがいながら、ワクワク&心があったかくなる(←銭湯だけに!)、同店の挑戦の“後編”をお送りします!

◆老舗銭湯の若き後継者。大改装を決めたときの覚悟と思い

いまは使われていませんが……煙突が見えてくるとノスタルジックな気分になりますね♪

東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から徒歩数分。「三ノ輪 改栄湯」さん(以下=改栄湯)は1950年(昭和25年)創業の老舗の銭湯。住所は台東区(“上野”や“浅草”などが属しています)ですが、荒川区(こちらは“南千住”などが属しています)との区境にほど近い場所にあります。そうなんです、ここは東東京でも“屈指の下町度”(!?)を誇るエリア。

創業した曽祖父から数えて4代目にあたる翁さんですが、「とくに『後を継げ』と言われることもなく自由に育った」こともあり、大学を卒業したあと、いったんは就職。

「小さい頃から、本当に後を継ごうなんて思っていなかったんです。でも、あるとき…僕が20歳を過ぎた頃だったと思うんですが、ずっと働いてくれていた従業員の方が、高齢になったこともあって引退されたんですね。もう設備もだいぶ老朽化していたし、父から“そのうちに廃業かな”と言われて。その頃から、それまではまったく想像もしていなかったけど、少しずつ考え始めるようになったんです。『それなりに歴史のある銭湯なのに、なくしてしまっていいのか』って」

ご家族やさまざまな知人・友人ともいろいろ相談したと言う翁さん。「やるとなるとそれなりの覚悟が要るので、決心するまで相当悩みました。その分、時間もかかってしまった」と笑いますが、ついに同店を継ぐことを決断。2020年の11月に大改装を断行します。

「単純に“家業が廃業したら寂しい”というような気持ちももちろんあったんですが、常連のお客さんたちを見ているうちに、“やっぱりなくしたらいけないぞ”という思いが強くなりまして。というのも、このあたりは本当に古くからの下町で、今や高齢の一人暮らしの方も多いんですよね。そういう方が自分の家でお風呂を沸かして、入り終わったらご自分で掃除して……なんて考えたら、『いや、これは続けないといけないんじゃないか』『よし、やってみよう』って」

「やるからには、皆さんに長く愛される銭湯に」との思いで、徹底的に改装することを決意。「下町のラグジュアリー銭湯」というコンセプトのもと、さまざまなリニューアルのプラン、グランドデザインが固まっていったそうです。

木目調の壁や天井に清潔感あふれる色合いのタイル。浴室に足を踏み入れた途端、ちょっとした非日常感も味わえます

「とにかく、来ていただいた方にくつろいでもらえる場所にしたかったんで、“心地よさ”、“快適さ”にこだわって、炭酸泉やシルキーバスなど導入する設備を決めていきました。サウナもその一つです。当時、サウナが若い人たちに注目され始めていたというのもあって、それまでの常連さん以外の方たちにも『また来よう』って思ってもらえるものになればって。

炭酸泉もシルキーバスも、ジェットなどさまざまなアクション風呂も……一度入ったらなかなか出られません!!

かなり時間をかけていろんな方に相談したり、自分でもめちゃくちゃ調べたり考えて決めていきました。ただ、見ての通り、どんなに頑張ってもスーパー銭湯さんのような広さがあるわけでもなく、やれることはどうしても限界があるんですが(笑)。でも、そんななかで“できる限りのことをやろう”って決めたんです」