ほかにも細かな心配りが“隠れミッキー”のように……!(とくに女湯!!)
浴室全体や脱衣室を見回すと、さらにたくさん“うれしいホスピタリティ”が目に留まります。
・シャンプーやボディソープなど、アメニティがとても良質なもの。
⇒翁さんの前職(ホテルに勤務されていたそうです)時代の伝手を生かし、高級ホテルで利用されているものを独自に取り寄せ、使用しているそう。
・前述のように柔らかな井戸水を軟水化装置を通して「トロットロ」の軟水にしたうえで、女湯側には髪や肌にやさしいマイクロバブルのシャワーへッドを導入!
・浴室スペース的に休憩用のイスを広くは並べられない女湯ですが、状況を緩和したい。
⇒通行や動線を邪魔しないよう、小さな洗い椅子を点在させる。
・浴室から脱衣場に上がったところに、さりげなく吸水性の良い珪藻土のマットを設置。
・女湯には男湯よりも良いドライヤーとヘアアイロンをスタンバイ(男湯側も十分なものです!! 念のため)。
はい。もうまさに「隠れミッキーを探す」みたいな感じで、いろんな発見があるんですよね。見つけるたびに、その心遣いに、ついキュンとしてしまいます。
「とくに女湯はやはり浴室全体の広さだったり、男性のサウナ利用客数との差もあって、今夏の改装ではまだ手付かずではあるんですが、そんな中で少しでも、満足度を上げられたらと思って。できる限りのことをこれからもやっていきたいと思ってます。
また、以前に定休日を利用して男湯側も女性に開放する『レディースDAY』も実施したんですけど、女性のサウナ利用者にとても喜んでいただけました。僕らが不慣れなところもあったんで、そのあたりをさらに改善・ブラッシュアップさせたうえで、また近いうちに実施できたらなとも思っています」
“来るたびに進化している”、そんな銭湯サウナに!
いやぁ、本当にささやかな心配り(←すみません、褒め言葉というか、リスペクトの言葉です……!!)の積み重ねなんですが、見れば見るほど、行けば行くほど嬉しくなる。そんな銭湯サウナなんです。
「そう言っていただけると、本当にありがたいです(照)。実際にお帰り際に“いろいろ回ってるけど、ここは本当に気持ち良かった”とか“知り合いに薦められて来てみたけど、またすぐに来ますね!”なんて言ってもらえると本当にやって良かったなって。一番うれしい瞬間ですね。
さまざまなことにこれからも気を遣って、やれること、良くできることを見つけていきたいと思います。来るたびにちょっとずつ進化している、そんな銭湯として皆さんをこれからもお待ちしたいと思います」
銭湯サウナにこれからも通いたい、そう思う我々「SAUNA BROS.」編集部ですが、この日の取材でもうひとつ、翁さんから聞いた、ちょっぴり切ないけどほっこりもするエピソードを紹介させてください。
前回記事や、今回の記事でも記した通り、今春に男湯のサウナ室を再度新装して遠赤外線ストーブを大きなものに入れ替えた改栄湯さん。少し小ぶりの、それまで使っていたストーブはどうされたんですか? と尋ねたところ、こんな答えが。
「まだ1年半くらいしか経っておらず、十分に使えるものだったので“もったいないな”とも思っていたんですが、ちょうど他の銭湯さんで欲しがっていらっしゃる方がいたのでお譲りしました。
銭湯って、組合などもあって横のつながりというか助け合いみたいな部分も大きいんです。うちでも、近くの銭湯さんでもう使わなくなったものや、残念ながら廃業された銭湯さんのものを受け継いでいるものもあります。貴重品ボックスは浅草にあった『蛇骨湯』さんのものですし、女湯の脱衣所にある籐製のベビーベッドもそう。
困っていることがあれば話を聞いてもらえたり、知恵を貸していただけたりも。改栄湯のそばにも有名な銭湯サウナはたくさんありますし、これからもいろんな方々に教わったり協力していただきながら、少しでも銭湯好き、サウナ好きの皆さんに喜んでもらえたらと思うんですよね」
なんという、ピースフルな言葉。いやぁ……、ありがとうございます。
冒頭にも記しましたが、本日=10月10日は「銭湯の日」。受け継がれていく素晴らしさやあたたかさ、心意気みたいなものを……微力ながらこれからもリポートできればと思っています!
【三ノ輪 改栄湯】
■住所:東京都台東区三ノ輪2ー10ー15
■営業時間:月~木=後2:00~深0:00、土日=後0:00~深0:00
■定休日:金曜日
■料金:入浴料500円+サウナ料金(男性=600円/女性=400円)
※入浴料は小学生(6歳以上12歳未満)=200円、未就学児(6歳未満)=100円
撮影/長谷繁郎