<連載>外気浴(かぜ)をもとめて~欧州サウナ紀行~ #4 スイス・チューリッヒ編

Ciao! ミラノ在住の木村です。

根っからのサウナっ子で日本では毎日のようにサウナに通っていた私が、今度はイタリア国内や欧州各地のサウナと外気浴(かぜ)を求めて、月に1度欧州のサウナリポートをお届けしております。

今回はイタリアに隣接するスイスへ行ってまいりましたので、その模様をリポートしたいと思います。(前回のレポート #3フィンランド・ロヴァニエミ編はこちらから)

目次

アルプスを越えてスイスへ

私の住んでいるミラノはイタリア北部にあるため、アルプス山脈を挟んで北に接するスイスに近く、ミラノ中央駅から電車に乗って1時間ほどで国境となります。今回の目的地、スイス中央部のチューリッヒまでは、ミラノから直行列車で約3時間半の道のりです。

平日でも大行列! 60年の歴史を誇る「Seebad Enge」を訪問

訪れたのは、チューリッヒ湖のほとりに構える「Seebad Enge(ゼ―バートエンゲ)」。チューリッヒ中央駅からは徒歩30分程度の距離にあり、近くまで路面電車でも行くことができますが、道中の街並みも楽しそうだったので歩いて施設まで向かうことに。

Seebad Engeの外観

【Seebad Enge】公式サイト

こちら、夏期(5月中旬〜9月中旬)はレストランやバーのほか、コンサートやパーティーレンタル等、さまざまなイベントが催される湖畔の人気イベントスペースなのですが、冬期(9月中旬〜5月中旬)になるとサウナを運営しています。元々は市営浴場で1960年代に建てられた歴史ある同施設。1999年に民営化し、さらに2000年にサウナ施設が追加され、現在のスタイルになったとのこと。

到着すると、平日昼間にもかかわらず施設の外まで行列が。どうやらかなりの人気店のようです。列に並ぶ地元の方に何分くらい待つのかを聞いてみると「前に入っている人たち次第だよ」との回答。待ち時間が読めなかったので、先にチューリッヒの市内観光をし、夜に再度出直すことにしました。

20時頃に再訪してみると列は無くなっており、すんなりと入店。29スイスフラン(約4,000円)で3時間滞在可能のシステムです。

個人的に感じた、「Seebad Enge」の特長は3つ。

山々に囲まれた湖へダイブが可能

なんといっても、チューリッヒ湖へのダイブが可能であること。下の写真のようにデッキ部分が湖の上にあり、そのまま飛び込むことができます(泳ぎに不安のある方向けにプールも用意されていますのでご安心を)。

サウナ浴後に、雄大な山々に囲まれたチューリッヒ湖で泳ぐ体験は、他の土地ではなかなか味わえませんのでオススメです。そして湖で泳いだあとはデッキに用意された焚き火を囲み、現地民との交流も可能。

サウナ好きを満足させるホスピタリティー

シャワースペース、温度・湿度が管理されたサウナ室、セルフロウリュ可能、などサウナ好きが満足できる設備であることはもちろん、施設のホスピタリティーもうれしいポイントです。特にフルーツ入りウォーターが飲み放題である点は、物価の高いスイスではありがたい限り。

また、こちらの施設の特記事項としてサウナ室では水着着用不可であること。サウナ室は全部で3室あるのですが、平日は男女共用2室、女子1室。日曜は3室とも男女共用。月曜は全て女子専用となっておりますので、共用に抵抗のある方でも無理なく使用できる心遣いがうれしいところ。

そして、施設内は写真撮影厳禁が徹底されており、携帯電話を操作している人も皆無。こうしたところもサウナに癒しを求めて訪れる人たちに人気のポイントなのかもしれません。私個人としてもサウナに行く理由の1つがデジタルデトックスだったりするので、とても心地の良い施設でした。

多言語が耳に入ってくるユニークな環境 

そして最後に、これは個人的におもしろいなぁと思ったポイントなのですが、サウナ室で聞こえてくる言語の種類が多いこと。スイスという国が多言語国家なので当たり前なのかもしれませんが、主にチューリッヒ周辺の主要言語であるスイスードイツ語(ドイツ語のスイス方言)に加え、英語やロシア語などいろんな会話が聞こえてきて、他の施設ではなかなか経験できないユニークなものでした。ぜひそんなローカルな体験も楽しんでみてください。

あとがき

訪れるまでスイスにサウナのイメージが無かったのですが、よくよく考えてみたら雄大な山々と湖で有名な国とサウナが合わないわけがありません。特に自然の中で外気浴を楽しむには最高のロケーションのサウナを見つけることができました。

ちなみに「Seebad Enge」のポスターも注目ポイント。可愛らしい動物キャラクター達のイラストを使って施設の案内図が書かれています。調べてみると、この画を描いたのはDoris Lecherさんと言って、幼少期をチューリッヒで過ごしたこの土地にゆかりのある絵本作家さんなのだとか。こうやって、その土地出身のアーティストとサウナ施設との融合もおもしろいなぁと感じながらアルプスを越えてイタリアへの帰路につきました。

【木村 光留(きむら・みつる)】
ミラノ工科大学の戦略デザイン修士課程で学ぶ大学院生。14年働いたCS放送局を退職して渡欧。サウナが好きすぎてサウナ番組を作ったこともあり。お気に入りは、出身地・静岡県にある「サウナしきじ」。(twitter:@buraraorange)

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