「MOKU」タオルに今治サウナハット…コンテックス社製品の大ヒットには理由がありました! (#3)思いは細部に宿る! 機能性や刺繍のかわいさだけじゃない、「コラボMOKU」の魅力を工場の中でまた一つ見つけました

前々回記事(#1)前回記事(#2)も、ぜひお読みください>

「MOKU」タオルは、サウナ好きには絶対に喜んでもらえる――そう思ったコンテックス株式会社の近藤珠文さんと相馬蔵人さんは、すぐにアクションを。サウナにまつわる刺繍を入れた「サウナMOKU」を作って販売したところ、即日で完売。さらに、東京・国立の銭湯「鳩の湯」さんから「オリジナルの刺繍を入れた『MOKU』タオルを作れないか?」との問い合わせが届いたそうです。

――「鳩の湯」さんからの依頼も含め、「サウナMOKU」には大きな反響が。お2人も手ごたえを感じられたのでは?

近藤さん:「はい、嬉しかったですね。TwitterなどのSNSでも皆さんが話題にしてくれて、さらに『MOKU』を知ってもらえる、『MOKU』の良さに気づいてもらえるようになりました。そんな中で、実際の温浴施設さんから声をかけていただけるなんて…これはありがたい、と」

相馬さん:「実は僕は東京・国立の出身で、鳩の湯さんの近所で育ってるんです。個人的にはそういう意味でも、鳩の湯さんのオーダーは嬉しかったですね(笑)」

鳩の湯ではフロントでの販売(写真上)のほか、サウナ利用者のレンタルタオルとしても大小の「MOKU」タオルを導入されてます!(同下)

――うわ、いい話ですねぇ。そういう偶然、あるんですね!(笑)

近藤:「いい話ですよね(笑)。それで、鳩の湯さんに『やらせてください!』とお返事させていただいて。最初は会社のサイトにメールでお問い合わせをいただいたんですが、すぐにTwitterでもやりとりさせてもらい始めました」

相馬:「そのTwitterで『こんな感じででどうですか?』ってすぐにイメージをお送りしたら、『え? すごい、もう出来ちゃってる!?』みたいな(笑)」

近藤:「Twitter上でも、皆さん“仕事が早い”なんて沸いてくれたりもして(笑)」

――うわ、ノリノリじゃないですか。お2人の当時の心境が容易に想像できます(笑)。

近藤:「はい。実際の店舗の方が評価して声をかけてくださったというのが、本当にうれしくて」

相馬:「サウナ、好きですから(笑)」

――そして、さらに他の施設さんからもコラボの依頼が次々と…。

近藤:「そうですね。徐々に問い合わせが入り始め、“すぐに売り切れた”とか“行列ができた”なんていう話題になったりして。さらにSNSなどでそういう情報が広まったのも大きかったのかな、と」

――ちょうどコロナ禍でもありましたし、お店にとっても話題ができたり盛り上がれたり、売り上げにもなる商品は大きなプラスだったと思います。

近藤:「その思いは、僕らも持っていたので、そういう意味でも少しでもお役に立てているなら本望だなって、さらに嬉しくなりました。なので…メールでお問い合わせや引き合いがきたら、その返答メールで、もうイメージを伝えるみたいなことをしてました(笑)」

――すごい! ちなみに、どのくらいの時間で返信してたんですか?

相馬:「あの頃は…1時間くらいのうちには、イメージを伝えていましたね(笑)」

――そんな初期対応をしてもらったら、施設の皆さんも、さらに前のめりになっちゃいます(笑)!

近藤:「さすがに今はちょっとそのスピード感は難しいですけどね(笑)」

――ですよね。現在では相当な数の施設さんとやり取りされてますもんね。どのくらいから増え始めて、今、いくつの施設さんとコラボされてるんですか?

近藤:「最初に鳩の湯さんとコラボしたのが2020年の11月で、そのあと、少しずつ増えていきました。半年後くらいに30施設さんくらいになったのかな? ちょうどその頃に新宿の東急ハンズさんで『サウナ物産展』というイベントが開催されて、そこに『コラボMOKU』を作っていただいている施設さんがかなり出展ていたんですね。そのあと、一気に増えた感じです。現在100施設さんくらいとコラボしていて、それぞれ別デザインもあるので、パターンでいうと数百っていう単位ですね」

「MOKU」の縁の部分、こうして丁寧に縫製処理をされています。ちなみに、コラボ施設が増えたことで、人員配置が変更になり、それまでになかった「刺繍班」ができたそう

――フワ~ッ! 相馬さん、どうやってデザインは考えられるんですか?

相馬:「それはさまざまです。ロゴを使いたいという施設さんもいらっしゃいますしね。でも、基本として、その施設さんの特徴とか印象的なものをできる限り反映したいと思ってやっています」

近藤:「“コンテックスさんのほうでイメージして、作ってください”って言ってくださる施設さんも多くて。現実すべてに対応は難しいですが、そういったお声がかかるのはすごくそれも嬉しいですよね」

相馬さんのデスクも、生産ラインのすぐそばにありました

相馬:「東京・笹塚の『天空のアジト マルシンスパ』さんは、わりと初期というか、鳩の湯さんのすぐ後くらいにオファーをいただいた施設さんなんですが、送ってもらったロゴを使った案とともに、僕が“天空のサウナ”としてイメージしたデザインをお送りしたら、採用してもらえたんです。あの時はかなり嬉しかったですね(笑)。自信というか手応えを感じました」

その「マルシンスパ」さんのデザインが、こちら!

――本当に施設ごとに違うから…集めたくなる人がいるというのも頷けます。っていうか…コレ、包装用の紙というか帯も、めちゃくちゃいっぱいありますね。

どれ一つ、同じものがない「帯」がズラリ…

近藤:「そうですね。『MOKU』は帯もつけて納品させていただいているんですが、それも施設さんごとに作り分けてます」

――施設さんごと、商品ごとに? 施設数だけでも100を超えてるんですよね?

相馬:「タオルはもちろんですが、帯も含めて、それぞれ可能な限りのオリジナリティを持たせたいな、って。そこは、僕たちのこだわりですね」

近藤:「当初はここまでの拡がりを全く想定していなかったので、施設さんからのご依頼はどんなに忙しくても断ることはしないと二人で決めてこのプロジェクトを進めてきましたが、どんどん増えていくにつれて僕たちは“ブラックバス”みたいになってはいないか…といった葛藤も同時に生まれるようになりました」

――ブラックバスって…あの魚の?

近藤:「なんか、あらゆるところで繁殖して、その場所の個性みたいなものを消してしまう、みたいなことは極力したくないんです。なので、実は、商品が認知されていなかった初期の数か月を除いて絶対に僕らのほうから営業をかけたりはしていないし、これからもしないようにしようとサウナ部内で話し合って決めました。もちろん、サウナ施設さんとお仕事をさせていただくのは嬉しいので、お声がけいただければ、ぜひやらせていただくんですが。商品の構造上、オリジナリティーの出せる範囲がワンポイントの刺繍に限られることを我々自身が一番理解しているので、そういう意味で、帯も含めて、できる限りその施設さんごとの長所やポイントをアピールして差別化できたらな、って」

“ブラックバスにはなりたくない”――この言葉に、胸がキュンとしてしまいました。なんて深い一言、なんて深い「サウナ愛」なんでしょうか…。

失礼ながら、工場内を見せていただかなければ気づきませんでしたが、この「帯」の棚の前で聞いた一言にお2人のモノづくりに対する思い、そしてサウナへの思いが凝縮されている気がしました。

(次回へ続きます)

撮影/佐藤佑一(商品写真はコンテックス株式会社 提供)

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