日本プロ野球界きってのサウナ愛好家・千葉ロッテマリーンズの石川歩投手に、サウナにまつわるあれこれを聞く当連載。オフに入った現在も、来季に向けてトレーニングに励みつつサウナで英気を養っている……そんな姿を追いかけさせていただいています。
今月も新たな施設を開拓されたようで、そのお話を聞き始めたら、なんとマリーンズの他の選手も連れていかれたようで。さすがです、石川さん! 今回も、他では見られない貴重な写真も満載でお届けします!
(未読の方は、#1、#2、#3、#4、#5も、ぜひあわせてお読みください!)
富士山の麓で、忘れていた気持ちを思い出した!?
――オフに入られて淡々とトレーニングを続けられている日々ですね。
「そうですね。トレーニングから上がってサウナに行ったり。朝、サウナに行って体をほぐしてからトレーニングしたり。もちろん、夕方~夜にゆっくり入ることもありますし」
――サウナは、体のメンテナンスというか、調整でもありますもんね。
「まぁ、そうとも言えますが、単純に好きだからというのもあります(笑)。トレーニングというか練習は毎日やりつつ、サウナは“3勤1休”とか“4勤1休”ペースですかね」
――中3日、中4日で行かない日がある、って感じですか。絶妙に登板過多になり過ぎない感じ(笑)で、充実していますね。
「そうですね。楽しくやっています(笑)。あとは、シーズン中は行かれないようなところに行けるのも、今(オフ)ならではなので、そういうことも。前回ちょっとお話しした千葉・木更津の『つぼや』さんとか。先日は富士山のそばにある『サーマルクライムスタジオ富士』(「Thermal Crimb Studio FUJI サウナ倶楽部」)へ行ってきました」
――いいですね! 我々も以前、ある番組に密着取材した際に訪問したことがあります。あの施設は「会員制」と聞いていますが。
「はい。でも『最初の利用時はビジター会員登録をしてください』みたいな感じで、その時点では年会費がかからないんです。お試し利用、みたいなもので。もし行ってみて、気に入ったら本登録すればいいようなので、とりあえず行ってみようと(笑)」
――どこが気になっていたんですか? ポイントとして。
「ネットでまず写真をチェックしますよね(笑)。そうしたらサウナ室もいろんな種類があるし、それぞれすごく良さげだし。水風呂の感じもいいなって思って。それと“ソムリエ”みたいな人が考えた独自の入り方みたいなのも面白そうだなと思って」
――はい。サウナ室のあとに水風呂を挟まずに次のサウナ室に向かう、みたいな。
「そうなんですよ。それが……結構よかったんです(笑)。最初に温度も湿度も結構しっかり高い、タワー型のサウナ室に入るんですが、これがかなりアツくて。ここを出たら水風呂を挟まずにちょっとだけ外でゆっくりして、次は少し小ぶりなセルフロウリュのできるサウナ室へ行くんです。天井とか壁の形状とかも面白いんですが、ここもじっくりあたたまるサウナ室でした」
――はい。
「そのあとに、今度はスチームサウナへ行くんです」
――そこでも水風呂は挟まない?
「そうなんです。面白そうとは思いつつ、『実際はどうなんだろう?』とも思ってたんですが、これがかなり良くて。水風呂に入らないから、体の深部体温っていうんですかね? それがすごく上がってる感じがするんです。新しい感覚で『コレいいかもな』って思いました。
まぁ、ちょっとクセになる感じもあって。実際、そのあと家の近くのサウナでも、サウナ室のあと水風呂に入らずに外気浴をちょっとだけして、サウナ室にまた戻る、みたいなことをやってます」
――実践! 相当、気に入ってますね(笑)。
「いや、やってみてもいいと思いますよ。寒い時期にはけっこう悪くないですし、あとはなんか……忘れていた感覚を思い出した気もしました」
――忘れていた感覚?
「なんていうか、我慢することでさらに上に行ける……みたいな感覚(笑)。ありませんか?」
――分かります。ありますね、たしかに。
「そうです。けっこう最近は、割と“もうちょっと行けるかな”っていうタイミングでも水風呂へ行っちゃったりしていたんで(笑)。昔の“限界まで行ってやるぜ”みたく入っていた頃を思い出しました(笑)」
――(笑)。耐えて、鍛えて、たどり着くみたいな……ある種、スポ根というか、やや体育会的な(笑)。
「はい。『甘えていたな』ってちょっと反省しました(笑)。でも、冗談はさておき、相当気持ち良くて。で、スチームサウナも水風呂に入らないままなので、かなり体もぽかぽかしてくるんですね。
いい感じになった時に15~16℃くらいの水をかけてくれるんです。それがかなり最高で。実際の温度よりもはるかに冷たく感じて、思わず声が出ました(笑)」
さらに続く新体感。チームのガチ勢と再訪も!!
――でも、まださらに続くんですよね。
「そうですね。建物の外へ行くと、すごく立派なケロサウナ(※)があるんですよ。そこに入って、ストーブに水をかけて湿度を上げるロウリュをしたあとにタオルで熱波をかけてくれるんですが、これも相当にアツくて」
(※ケロとは、「木の宝石」と呼ばれるほど貴重なパイン材。北極圏で育った樹齢数百年の古木で立ち枯れたものをそう呼ぶ。断熱性などに優れ、フィンランドではサウナ室に最も適したものとされている)
――はい。そのあともまだ続くんですよね。希望する人は最後にもう1回、タワーサウナへ行ったりすると聞きました。
「そうなんですが、僕らはもう、そのケロサウナでのロウリュと熱波を受けた後に水風呂に入って、そこで外気浴をして締めました(笑)。そこまででも本当に気持ち良くって。これ、さらにやってもいいけど、今日はここまでの方がいいかな、という判断で(笑)」
――満足された、と。
「そうですね。で、本会員になって、数日後にまた行きました(笑)。箱根でチームの納会ゴルフがあったので、その帰りに、行ける選手と一緒に」
――あ、こちらの写真ですね。ええっと。
「東條(大樹)と種市(篤暉)、(佐々木)千隼と本前(郁也)。ピッチャー陣でけっこう集まりました。みんな喜んでいましたね(笑)」
――おお! これまでこの連載で名前を挙げていただいた、マリーンズサウナ部(仮)の豪華メンバーですね。野手がいらっしゃらないですが。
「山口(航輝)とかも声はかけたんですが、なんか取材とかもあって時間が合わなくて。今回はあきらめますって(笑)」
――本前さん、種市さんも楽しそうな笑顔ですね。
「本前も最近になってすごくサウナ好きになったみたいだし、種市は相当、いろんなサウナに行ってるはずですよ。いくつか会員制のサウナに入会してると思いますし、そもそもサウナ付きの物件を探していたくらいですから(笑)」
――ガチっすね(笑)。石川さんも家にサウナが欲しいとおっしゃっていましたが。
「欲しいですね。夜、奥さんに『サウナに行ってくる』って言って出かけるのは、やっぱりちょっとだけ言いづらい日もあって(笑)。もちろん『いいよ』とは言ってくれるんだけど、それがちょっと続くと……(苦笑)。家にあれば何ごともなく、お互いに余計な気も遣わずにすむじゃないですか」
――そこは多くの人が悩んでますよね。石川さんもその気まずさとは……。
「そうですね。無縁ではないです、ぜんぜん(笑)」
遠征先のサウナの記憶。関西編その②
――さて、毎回、遠征先のお好きなサウナや思い出を聞いていますが、前回に続き関西エリアについてです。オリックス・バファローズは京セラドームでの試合もありますが、神戸(ほっともっとフィールド神戸)でのゲームもありますね。
「ありますね。あそこで僕は1回しか投げたことがないですが、キレイで好きな球場ですね」
――内野も芝生が張られていて、マウンドからホームに土の一本道が続いていて。
「気持ちいいですよ、投げていても。ただホームランが出やすいんですよね。そこが唯一嫌いなところです(笑)」
――いわゆるヒッターズ・パークなんですね? で、そんな神戸にもお好きなサウナがあったりは?
「やっぱり『神戸サウナ&スパ』ですね。今年リニューアルしたと聞いていて、その前にしか行ってないですが。サウナ室も熱いし、水風呂もめっちゃ冷たくて、外気浴できるところも広くて。すごいいいなぁっていう記憶があります」
――あのめちゃくちゃ冷たい水風呂の前にあるサウナ小屋が、この夏リニューアルされました。
「そうなんですね。あれもケロサウナですよね、たしか」
――はい。それが完全に新しくなって、パワーアップしました。
「行きたいですね。セルフロウリュもできて、以前も気持ち良くなってた気がします。神戸はほかにも『クアハウス』(「神戸クアハウス」)とかに行きたいんですが……久しく神戸に行けてない気がする。今季は行く機会があるといいですね」
――関西も、いろいろ名施設が本当に多いですからね。
「そう思います。京都の『ルーマプラザ』も良かったですね。夜だったので屋上には行かれなかったんですが、サウナ室とかも少しクラシックなスタイルで。今度は昼間に行って、屋上で外気浴をきちんとしてみたいです。あと京都は銭湯も有名なところがいっぱいあるじゃないですか。どこも水風呂がいいって聞くので、行ってみたいです」
――なるほど。遠征先で、とくにコロナ以前は、皆さんで誘い合ってご飯に行ったりサウナに行ったりよくされていたと思うんですが、関西でもそうでしたか?
「そうですね。あっ、ハーマン(フランク・ハーマン)と一緒に大阪の『アムザ』(サウナ&カプセル アムザ)に行ったこともありますよ。『連れて行ってくれ』って言われて(笑)」
――ハーマン! 「連れて行ってくれ」って言ってくるんですか。かわいい!
「練習中に、ニコニコ寄って来て『Today Sauna?』みたく聞いてくるんです。で、行くときは『Yes!OK,Sauna!』『Sure!』みたく答えたりして。逆にこっちから『今日も行くけど、どうする?』みたく聞いたりもしてましたね(笑)」
――うわぁ~、いいですね、そのやり取り。ハーマン、また戻って来たりしませんかね。
「今はメジャーのどこかの球団のフロントにいるって聞きましたね。ブルージェイズの編成とかかな。ハーマンは千葉でも自発的にいろんなところへ行ってましたよ」
新監督とともに臨む23年シーズンの抱負&「SAUNA BROS.」の特報!?も
――今月も楽しいお話をいろいろとありがとうございます。さて、今年の連載も今回で一区切りなので、来季への意気込みをおうかがいできますか?
「来季は年間を通じてローテを守りたいですね。今季も少し離脱してしまったので。で、優勝に向けてチームに貢献したいです」
――昨年まで投手コーチだった吉井(理人)新監督になります。
「そうですね。コーチのときもピッチング理論もわかりやすく指導してもらいましたし、今季もピッチングコーディネーターとして、投手陣全体を見てもらってましたから……。野球観も含めていろいろ共有できていると思うので、ぜんぜん不安はないです。一緒に上を目指していきたいと思います」
――ありがとうございます。さて、実は数日後に、また取材でお会いさせていただきます。
「あ、そうですよね。今度は雑誌のほうですよね(「SAUNA BROS.vol.5」※12月20日発売)。ずっと行きたかった千葉の『Sea Sauna Shack』に東條と岡(大海)と、3人でお邪魔します。よろしくお願いします!」
――こちらこそよろしくお願いします。また最高の笑顔を見られるかと思うと……石川さんも楽しみですか(笑)?
「いやぁ、マジで楽しみです(笑)」
石川 歩(いしかわ・あゆむ)
1988年4月11日生まれ。富山県出身。右投右打。滑川高から中部大、東京ガスを経て、2013年ドラフト1位で千葉ロッテに入団。2014年に新人王。2016年に最優秀防御率のタイトルを獲得。ストレート、シンカー、カーブ、スライダー、フォーク等多彩な球種と精緻な制球力を武器に活躍。