「外気浴(かぜ)をもとめて」#12 ドイツ・バーデン=バーデン編

外気浴(かぜ)をもとめて~欧州サウナ紀行~

Guten Tag(グーテン・ターク)! ドイツ在住の木村です。

根っからのサウナっ子で日本では毎日のようにサウナに通っていた私が、欧州各地のサウナと外気浴(かぜ)を求めて、月に1度欧州のサウナリポートをお届けしております。今回はドイツのバーデン=バーデンへ行ってまいりましたので、その模様をリポートしたいと思います。(前回の #11 ドイツ・ミュンヘン編はこちらから)

ヨーロッパに来てからよく耳にしていた温泉地の名前が、ハンガリーのブダペストとこちらバーデン=バーデン。ようやくチャンスがやってきましたので、満を持しての訪問です。

目次

ドイツ屈指の温泉保養地、バーデン=バーデン

シュヴァルツヴァルト(黒い森)の北部に位置するバーデン=バーデン。古代ローマ時代から温泉地として知られ、あのブラームスといったクラシックの巨匠達も愛したドイツの名湯。深さ1,200〜1,800メートルから湧き出す透明な源泉は、1日80万リットルにおよび、匂いや沈殿物が特にないミネラル濃度が高いのが特徴です。また、ヨーロッパの大温泉保養都市群の1つとして2021年には世界遺産にも認定されています。

温泉の他にも、自然豊かな山あいの町にはおしゃれなレストランやカフェ、カジノ(文豪ドストエフスキーもお気に入り)があり、国外はもちろんドイツ人にとっても人気の旅行先なのだとか。ちなみに“バーデン”とはドイツ語で“入浴”という意味なので、“入浴=入浴”という意味の町。ここまで全面に温泉を推す地名に期待が高まります。

バーデン=バーデンといったら「Friedrichsbad」(フリードリヒ浴場)

さて、まず向かったのはフリードリヒ浴場(※)。バーデン=バーデン駅からバスに乗り換えて20分ほどで到着。バーデン=バーデンといったらまず名前が出てくる温泉施設がこちらで、1877年のオープン以来、多くの人をとりこにしてきたルネッサンス様式の建築が特徴的です。

歴史を感じさせる見事な外観

入場料は35ユーロ(約5,670円 ※2023年11月現在)で、滞在時間の制限はありません。今回は予約なしでスムーズに入場できましたが、時間帯によって、また大人数の場合など少し待つこともあるそうなので、訪問の際は少し時間に余裕があったほうが良さそうです。

※詳細は公式サイト(https://www.carasana.de/en/friedrichsbad0/)をご確認ください

こちらの施設、145年の伝統を誇る以下17ステップに分かれた入浴方法が有名なのだそう。

  1. Thermal water Shower(まずは、温泉シャワーで体を洗い流す)
    ※目安3分
  2. Warm-air bath,54℃(54℃の室内にて、木製の寝椅子で休憩)
    ※目安15分
  3. Hot-air bath,68℃(68℃の室内にて、休憩)
    ※目安5分
  4. Thermal water Shower(温泉シャワーでじっとりとかいた汗を洗い流す)
    ※目安1分
  5. Soap & brush massage room(石鹸でマッサージ *追加メニュー)
    ※目安10分
  6. Thermal water Shower(※5をした場合のみ)
    ※目安1分
  7. Thermal steam bath,45℃(温泉蒸気浴①)
    ※目安10分
  8. Thermal steam bath,48℃(少し熱めの温泉蒸気浴②)
    ※目安5分
  9. Thermal bath,36℃(温泉入浴)
    ※目安10分
  10. Thermal bubble bath,34℃(ジャグジー温泉入浴)
    ※目安15分
  11. Cupola hall with thermal exercise bath,28℃(ドーム型プールで泳ぐ)
    ※目安5分
  12. Thermal water shower(温泉シャワーで全身をマッサージするとともに洗い流す)
    ※目安3分
  13. Cold water bath,18℃(冷水の風呂で体を引き締める)
  14. Drying room(タオルで体を拭き、ドライヤーを使って髪を乾かす)
    ※目安4分
  15. Cream application(特別に開発された保湿クリームを体に塗る)
    ※目安8分
  16. Relaxation room(暖かい毛布に包まれ、ベッドの上で目を閉じ、物思いにふける)
    ※目安30分
  17. Reading room(ハーブティーを飲みながら、読書をしてリラックス)
    ※目安30分

以上のステップを順番に回っていきます。個人的に面白いなぁと思ったのが、まず2と3のステップ。岩盤浴なような感覚で、体を温めながらじっとりと汗をかくことができます。また、7と8のステップも特筆ポイント。視界のくっきりしたスチームサウナで汗をかくイメージなのですが、温泉の蒸気を使用したスチームサウナの入浴経験があまりなかったので不思議な体験でした。

そしてハイライトはなんといっても11のドーム型プール。温泉のあとに入る冷たすぎない温度のプールがとても快適です。歴史ある建築内装を眺めながら、いつまでも浮いてられそうな感覚になる心地よさ。かつての文豪や音楽家もきっとここで新しいアイディアを考えていたのかもしれないと思うと、また不思議な気持ちとなります。

数々の文豪や音楽家が愛したであろうプール
いつまでも浮いていられそうな感覚になります

〆のリラクゼーションルームでは、ベッドが20台ほど円の形となるように並べられており、仮眠も可能。施設側の推奨滞在時間は3時間とのことですが、それでは足りないほどの満足度でした。

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