<コラム>楽しすぎるサ旅vol.1 富山・氷見&越中八尾編

SAUNA BROS.vol.6で友野一希さんが訪れた「富山」。誌面では紹介しきれなかった富山サ旅の楽しさを掘り下げて紹介します。氷見にある「民宿あおまさ」のサウナの魅力、ローカル鉄道「氷見線」が走る絶景の「雨晴海岸」。友野さんが絶賛した「越中八尾」の街並み……富山にはまだまだ魅力がたくさんありました。

目次

富山在住のサウナ愛好家に絶賛される「民宿あおまさ」

富山駅から車で、富山高岡バイパス、国道160号を進むこと40分。車窓から見える木々の濃い緑と、青い空のコントラストが美しく輝き、これから向かうサウナへの期待感もあいまって、わくわくが止まらない……。

氷見警察署前の交差点を右折し、海の方へ。漁火ロードを左に曲がるとほどなく見えてくるのが「民宿あおまさ」です。

看板を見つけて「あった~!」「海の真ん前だー!」と取材クルーを載せた車内は大興奮。

出迎えてくれたのは若女将の辻井栄美子さん。NHK富山放送局や金沢放送局、富山テレビでのアナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとして活躍しています。

「若旦那を呼んできますね」

そう言って奥に行くと、若旦那こと栄美子さんの夫・隆雄さんを呼んできてくださいました。

先代から引き継いだ若夫婦が民宿を営んでいるとは聞いていましたが、歴史ある構えの民宿から現れた若夫婦の登場に、「これは絶対なにかあるぞ!」とわくわく感が一層増してしまいました。

そしてその期待を裏切らない、すばらしいロケーションのサウナをこのあと体験するのでした……。

海を眺めながら入る「サウナルーム」

サバーン(波の音)、ぴぃー(鳥の鳴き声)、潮風が心地よく吹き抜ける、富山湾。

「サンダルをどうぞ」と案内され、浴室の内トビラから外に出ると、目の前は海。その海に対面するように、今年4月にオープンしたサウナ室があります。洗練された見た目、秘密基地のようで、「サウナ室」よりも「サウナルーム」と呼ぶほうがしっくりきました。

サウナルームには、少しかがまないと入れません。これはサウナ好きの若旦那・隆雄さんのこだわりのひとつ。

「人の出入りでサウナ室内の温度の変化が少ないように、特別にお願いしてドアは小さくしてもらいました。ほかにも、景色が見えやすいように、横幅をひろくしてもらったり、せっかくサウナ室を置くなら納得がいくものにしたいと思って……」

隆雄さんこだわりはサウナ室に使われている木材にも。

「僕も、栄美子も地元出身なので地元のものを取り入れたいと思い、『ひみ杉(ひみ里山杉)』を使ったサウナにしよう、というのは早い段階で決めていました。ひみ杉業者さんからサウナ業者さんを教わってサウナ室づくりが始まりました」

海に面したこのサウナルーム、誕生のいきさつは「隆雄さんのサウナ好きが高じたため」という。

「このサウナ室や水風呂のあるデッキはもともとあおまさの駐車場で、サウナ好きが集まってここでテントサウナをしたことがありました。それで気付いてしまったんです『あぁ、すごくぜいたくな時間を過ごしているな。この場所、サウナ室を置くのに最高なのではないか』って(笑)。目の前の海が水風呂になり、海沿いはだいたいいつもいい風があるので、椅子に座れば外気浴もばっちり。そんなときに『あおまさ』を栄美子と継いでいくことになり、これはサウナ室を置けるチ
ャンスだ、と(笑)」

中に入り、座るともう圧巻。富山湾の水平線が一望できます。前面がほぼ全面、透明ガラスなので、外にいるのにサウナに入っているような、サウナに入っているのに外にいるような、どうにかなってしまいそうな開放感サウナ。

よく「開放感あるサウナ室」などのフレーズを見かけますが、そういう施設で開放感があるのは、サウナ室ではなくて、露天の水風呂だったり、外気浴だったり、あとは自然のなかのテントサウナだったり……というもの。でもここの開放感は「サウナルームの中で」なのです。ほかではなかなか体験することができません。

サウナ室のテレビでヒーリング動画が流れていたり、波の映像や鳥の鳴き声のヒーリングミュージックがかかっているところがありますが「民宿あおまさ」のサウナルームはヒーリングがリアル景色&リアル波の音&リアル海鳥の鳴き声。ぼーっと、ただぼーっとするだけで自動的にヒーリング状態になれます。

ときおり、散歩をしているご近所の方が通ることもあるのですが、目が合って会釈したりして、それもなんか良かったりします。

朝日が反射するサウナルーム

「いちばんこだわったのが、この全面のガラスです。やっぱりこの景色を見てサウナに入りたいと思って。日の出を見ながら入るサウナ、最高ですよ。天気がいい日は向こうに、そびえ立つ立山連峰がきれいに見えて、壮大です」

サウナルームから望む日の出

「海」「ヒノキ水風呂」そして「冷やし温泉」がたまらない

水風呂はもちろん目の前の富山湾! ゆらゆら波にゆられて……気持ちいい。ときどき勢いのある波がきて、ちゃぷんと海水が顔にかかって、しょっぱい、なんてことも海ならではな体験です。

でも、実は私、海が得意ではなく、海でのクールダウンに内心ドキドキしてしまうタイプ。きっと、私以外にもいると思うんです、海は好きだけど、入るのはちょっと怖い、と感じる方。そんな人にありがたい、ヒノキ水風呂も用意されていました。もちろん、海に入ってからの水風呂もアリ。やさしく肌触りのいい水で、浴槽の深さ、サイズがちょうどいいんです。

さらに、水風呂のとなりには、温泉を冷ました「冷やし温泉」の浴槽が。サウナの後に入っても良き、海のあとに入るも良き、な冷やし温泉。いろいろ試した取材クルーのイチオシが「水風呂から冷やし温泉へのハシゴ」でした。「気持ちいい」という表現では足りない、ふわふわと体が無くなってしまうような感覚に。

さらに、このヒノキの浴槽もちょうどいいサイズで、両足を投げだしながら目の前の海を眺めれば「インフィニティ―風呂」に。優雅な、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

「冷やし温泉」からみた朝日

星降る外気浴

外気浴には、コールマンのインフィニティチェアーが用意されています。頬をなでる風が気持ちがいいのはもちろん、耳から入る波音、遠くで遊ぶ子供たちの声、否応無しに多幸感に包まれてしまいます。

私のオススメは夜のサウナ。空には、東京の夜空とは比べものにならないほどのたくさんの星々が輝いています。まるで降ってきそうな富山の星々を眺めながらの外気浴は、これまで体験したことがない翔ぶ体験でした。

外気浴エリアの足元は、砂利と飛び石で和風に。近未来な見た目のサウナルームと、和テイストの砂利……アンバランスなはずなのに、マッチしていました。この玉石は、裸足で踏んでも痛く感じにくい物を選んでいるのだとか。確かに裸足であるきたくなりますよね。その時に痛くないように、こまかなところまで気配りがなされているのでした。

切り盛りするのは、元刑事とアナウンサーの若夫婦

「民宿あおまさ」は、栄美子さんの祖父の代が始めた旅館。今年で50年目を迎えます。隆雄さんと栄美子さんが後を継いだのが2022年10月。それまで、隆雄さんは「刑事さん」だったといいます。刑事から民宿の若旦那への転身、思い切った決断ですが、ワケを伺うと……。

「もともと『あおまさ』は好きでしたし、栄美子と話して、なくなってしまうのは残念だよね、だったら自分たちが継ごうって思い転身を決めました。でも1番の理由は奥さんとずっと一緒におれるからなんですけどね(笑)」

栄美子さんも
「2人で継ぐことを決めて、何か新しいことをしようと考えたときに、隆雄さんの好きなことをした方がいいと思ったんです。隆雄さんはサウナが好きなので、隆雄さんが入りたいサウナ室を作ったらいいんじゃないかって」と話してくださいました。
お互いを思い合う、ほんとに素敵なご夫婦なのです。

継ぐことになって料理の勉強を始めたという隆雄さん。
以前、お邪魔したときは、試作中というタコライス(といっても具材は氷見のお魚)をいただきました。

隆雄さんが「毎日料理の修業中です」と頭をかきながら話していたのが印象的でしたが、8月に再び訪れたときにびっくり。

お料理はすべて隆雄さんが調理。それも、繊細でどれもこれもとてもおいしい! 食べきれないくらい品数も多く、夕食も朝食も大満足でした。
「氷見のものは、もともと新鮮でおいしいから、切るだけ、焼くだけ、煮るだけでいいんですよ」
と若夫婦は謙遜しておっしゃっていましたが、いやいや、隆雄さんの日々の努力を感じます。

夕食の一部。このあと、氷見の食材を使った天ぷら、焼き魚、氷見うどん……とまだまだお料理がでてきます!

若い世代が新しい発想で、歴史を繋いでいく、その一環をサウナが担っていることが、サウナ好きとしてうれしいと感じる、そんなサウナでした。

1日2部制(150分)のサウナ利用でもたっぷりと楽しめますが、宿泊者のみが味わえる早朝の日の出サウナと、夜の星降るサウナがおすすめです。

民宿あおまさ
■住所:富山県氷見市窪3203-1
■電話:0766-91-5157
■料金:1泊2食16,500円から、素泊まり8,800円から/チェックイン後4:00、チェックアウト前10:00
■サウナのみ利用:150分貸切2人8,800円、3人目以降1人2,200円。2部予約制①前10:30~後1:00 ②後1:30~後4:00 ※宿泊者はいつでもサウナ利用可能

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