体も心も温まる「大喜湯 昭和店」。釧路市民に愛される理由に迫る

北海道の人気観光地としても有名な釧路に、昔から地域に愛される続けている銭湯サウナ「大喜湯」があります。源泉100%の天然温泉と男女それぞれ2種類のサウナが楽しめる……もはや銭湯離れした魅力が詰まった施設を3回に分けて(#1#2)ご紹介します。3回目となる今回は「大喜湯 昭和店」の支配人、工藤貴大さんに大喜湯のこれまでの軌跡、今後の展望などを伺いました。

目次

〇〇会社を創業したことがきっかけに!?

ーーまずは、大喜湯の創業時のことをお伺いさせてください。

「2002年に祖父が”スーパー銭湯”として大喜湯を創業しました。2018年には2店舗目になる春採店もオープンしました。今現在も祖母が社長として在籍していて、僕は昭和店、僕の母が春採店の支配人という体制で運営しています」

ーー2店舗も運営されているとは、地域から愛されている証拠ですね。

「本当にありがたいことです。創業当時は日帰りのスーパー銭湯というのがまだ珍しかったようで、すごく流行ってたみたいですよ。その後、2018年に経営形態を変えて、今は銭湯になりました」

ーースーパー銭湯のクオリティーのまま、銭湯に変わったということですか?

「そうですね。とくに設備等は変わらず、純粋に入っていただきやすい価格になりました(笑)」

ーー銭湯価格で充実している施設。もとはスーパー銭湯だったと聞くと納得です。ちなみに、お祖父様が温浴施設に興味を持ったきっかけは何かあったのでしょうか?

「実は、大喜湯ができる前は、祖父が釧路市内の設備系会社を創業していました。それも水道や井戸周りの設備会社なので、その知識を活かして温浴施設に手を広げたことがきっかけです」

ーーたしかに、銭湯や温泉を作る上で知識が豊富そうな分野ですね。

「まさに水回りの修繕などが得意なので、今もメンテナンスを自前でやっています。日々のメンテナンスは結構大変なので、そのバックアップがなかったらと考えたら…….どこかのタイミングで潰れていたかもしれないと思うくらいです(笑)」

サウナと天然温泉がある「街の銭湯」

ーー銭湯に来て源泉100%の天然温泉が入れるのは、皆さん喜ばれるのではないでしょうか?

「大喜湯の天然温泉は塩化物泉と呼ばれる、日本で1番ポピュラーな泉質です。釧路の市街地がなかなか源泉が出ない地域のようで、市内で入れる銭湯は大喜湯ともう1カ所くらいだと思います」

ーーポピュラーとはいえ、この周辺では貴重な源泉なんですね。

「海が近い地域に出やすいと言われているそうです。大喜湯のすぐ裏に源泉を掘って組み上げていて、少し離れた場所にある春採店にはタンクローリーで運んでいます」

ーー銭湯へと形態を変更した2018年頃は、現在に続くサウナブームの直前ですよね。当時、すでにサウナはついていたのでしょうか?

「まさか、こんなサウナブームが来ることなんて想像もしていませんでした。2018年時点では遠赤外線のサウナ室はありましたね。そこから、 2020年にはフィンランド式サウナを増設しました」

ーー男性サウナにある「海上コンテナサウナ」も、そのタイミングでできたんですね!

「まずは、女性側にあったミストサウナ室をF式サウナ室に改装。次に、男性サウナ室に取り掛かったのですが……思うように場所がとれなくて……。どうしようかと考えていたところ、祖父のアイデアで元々あった海上コンテナをサウナに改装することになりました」

ーー最初に海上コンテナの活用を促したのがお祖父様だったとは!

「そうなんです(笑)。当初はセルフロウリュができるように、ガスと電気を使ったハイブリット式サウナにしようと思っていました。それである程度、構想も詰まってきていたんです。でも、祖父が『やっぱり違うことをしたい』と。急に路線変更しましたね(笑)。今は89歳。年齢を感じさせないアイデアマンな祖父です」

ーーそうして温泉の他にもサウナが売りになった大喜湯ですが、客層の変化はありましたか?

「やはりサウナブームの後押しもあって、サウナ好きな若い層のお客様が増えました。普段は地元の方が全体の8〜9割を占めます。たまに駐車場を見てみると、遠くからいらしていただいてるナンバープレートも見かけるのはうれしいですね。春採店は宿泊もできるので、ぜひ観光ついでにゆっくり休んでいただければと思います」

2024年春、新たなサウナ増設に挑戦!

ーー工藤さんは物心ついた頃から大喜湯を継ぐことを意識されていたんでしょうか?

「大学の時に東京へ行きました。そこから、同じく釧路出身の同級生とIT系の会社を起業しました。いろいろあり、会社の拠点を釧路に移そうとなったタイミングがあって。2015年に釧路に戻ってきて、大喜湯の運営にも関わることになりました」

ーー大喜湯で働く上で心がけていることはありますか?

「もう20年以上やっている銭湯なので、もちろん常連さんを大事にしなきゃいけないとは常に思っています。一方で、どんどん新しいことに挑戦もしていかなければという意識はあります。それもバランスが大事かなと」

ーー2024年4月には2階に新しいサウナ施設を作る予定なんですよね?

「男性浴場からダイレクトにつながっている2階スペースに新しいサウナ室を2つ増築、それと屋上を外気浴スペースに改装しています。追加料金制で男性利用のみですが、ゆくゆくはレディースデイなど設けていきたいと思っています」

ーーますます進化していくんですね。ズバリ、今後の目標は?

「釧路観光×サウナの起爆剤になればとも思っています。目指すは西の湯らっくす、北の大喜湯じゃないですかね(笑)」

「大喜湯 昭和店」の支配人の工藤貴大さん。
釧路は本当にいいところなので、ぜひ遊びにきてください! あ、もちろん大喜湯にも(笑)

撮影中、外を覗くとオープンを待ったお客様がずらりと並んでいました。「今日は雪も降っているし、少し早めにオープンしようかな」「寒いから、受付周りの暖房の温度をあげていこうか」などスタッフさんの会話が耳に。会話のあと、オープンの15分前には開店。天然温泉、サウナ、休憩所と魅力満載なのはもちろんなのですが、常にお客様を思って行動している様子に心がほっと温まります。愛されるには理由があるんだなぁと痛感。釧路へ行った際はぜひ、体も心も温めに「大喜湯」へ行ってみてはどうでしょうか。

大喜湯 昭和店
■住所:釧路市昭和中央5-11-8
■営業時間:年中無休/[平日]後0:00〜11:00、[土・日・祝日]前6:00〜深0:00
■料金:大人(12歳以上)=490円、中人(6~12歳未満)=150円、小人(6歳未満)=80円
※そのほか詳細は公式HPをご確認ください。

シェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次