新しいものや人と出会えたり、何かを発信するようなサウナに!
――さて。もう1軒、やはりヘルシンキで訪ねたある施設でも大きく刺激を受けられたそうですね。
「はい。旅のいちばん最後で訪れた『ウーシ・サウナ』という施設もとても印象に残りました。“ウーシ”というのはフィンランド語で“新しい”という意味なんですが、その名の通り、2018年にオープンした新しい施設です。
サウナも気持ちよかったんですけど、同じ建物の中にレストランやバーもあって。サウナに入ったあとにそこで食事やお酒を片手に会話を楽しむこともできるんです。
全体的におしゃれで、若い世代がカジュアルに集まる施設。サウナに入らないまま、普通にバーで店員さんと笑顔で談笑している人なんかもちらほらいたりして。いわゆる“居場所”みたいな感じを受けたんですよね」
――サウナ=公衆浴場であると同時に、「コミュニケーションの場」みたいな場所としての色合いも濃い施設ということでしょうか。
「そうですね。知り合いと過ごせる場であることはもちろん、きっとみんな、そこで新しい出会いも果たしてるんだろうなって思いました。
実は……ちょうど僕たちが訪問したときに、フィンランドパンクのレジェンドアーティストたちを追った写真の個展を開催していたんです」
「僕は個人的にパンクも音楽じたいも大好きなので、めちゃめちゃ嬉しかったし楽しかったんですが、いや、ちょっと待てよ、と。日本だとそういう個展をパブリックな場所……それも温浴施設でやるなんてことはあまりないし、そもそも思いつきもしないじゃないですか」
――たしかに、そうですね。
「でも、それが成立していたんです。その『ウーシ・サウナ』が、もともとアーティスティックなことに関わっている人がオーナーだということもあるんですが……サウナが何かを発信する場所だったり、何かに出会える場所になっていることが、かなり衝撃的で。いい意味で。
そのとき思ったんです。帰国後に自分たちが手がけるサウナ施設も、保養施設=疲れを癒す施設ではあるんだけど、新しいモノや人との出会いが生まれる場所になれたらいいな、って」
――サウナが好きで、何か表現活動をしている人って実は少なくないですよね。
「そうなんですよね。だからそういう人が描いた絵や作品を飾ったり、写真を撮っている人がいたら、規模は大きくはないかもしれないけど個展をやってみたり。あるいはトークイベントを行ってもいいかもしれない。
そういう、これまであまり日本では例がないし、大型施設にはできないようなことを……いろんな人との繋がりの中で生み出し、この草加から発信していくようなこともできたらいいなと思ったんです」
草加をサウナで面白く! 今後、「SAUNAHEAVEN草加」が目指すもの
――なるほど。これまでうかがってきたことをちょっとまとめると……快適な蒸気浴にとって大切な換気の仕組みなど「機能としてのサウナに重要なもの」(※前回記事参照)だったり、「お互いを尊重する=“OMA RAUHAの精神」だったり、「文化的な場所としてのチャレンジ」だったり。フィンランドの公衆サウナで見つけたものって、本当に多岐にわたり、たくさんあったのではないですか。
「そう思います。いろんな可能性がさらに広がったと思いますし、何より自分たちにとっても、ますます楽しくなっていますから。
そもそも一緒にやっているオーナーが『草加でサウナをつくりたい』と考えたのも、地元で何か面白いことをやりたい。草加を楽しいことで盛り上げたいという思いがあったからなんですが、その思いとも方向性は合致していますし」
――そうですよね。あ、そうだ。オープンされた際に、草加駅の改札に「草加をサウナの街へ」という広告を掲出されましたよね。「草加健康センター」とタッグを組むかたちで。
――西口側の柱の広告が「草加健康センター」で……。
――東口側の柱に「サウナヘヴン草加」の広告。
この2枚が並んでいるのを見て、実は私、ちょっと狂喜しました(笑)。いったい、何が始まるんだろう……と。
きっと私のほかにも、そういうサウナ好きはたくさんいたはずです。
「あの広告は、ウチのオープン時に『草加健康センター』さんに打診してみたら、『ぜひ一緒にやりましょう』とご快諾いただいて。まずはこの店(サウナヘヴン草加)をしっかりと皆さんに愛される施設にするのが先なので、実は具体的なことはあまり進められていないのですが。でも、面白いことができたらいいなぁといろいろ考えているところです」
――どんな期待をしていいでしょうか?(笑)
「ゆくゆくはイベントなども行いたいなぁとか、とにかくサウナが好きな皆さんが喜んでくれることをしたいなぁ、とかですね。いや、すみません(笑)。今もまだ、いろいろ考えている最中です。
チケットなどをふるさと納税の返礼品にする、みたいなことも含めて、行政=草加市や観光組合とか商工会議所の方などとも、今後さらに連携がとれたらなぁ、とは思っているんですが……。
まぁ、ただ、あの広告は明確な意思表示ですので(笑)! いろいろとチャレンジできたらと思っています!!」
こだわりと、愛情と、やりたいことがギューッと詰まった「サウナヘヴン草加」。草加という街も含め、今後も目が離せない施設です。
サウナヘヴン草加
(男性専用施設 ※不定期でレディースデーあり)
住所:埼玉県草加市高砂1-10-45-1F
営業時間:年中無休/平日=後3:00〜11:00 土日祝=前9:00〜後11:00(※翌日が平日の際は後9:00まで。最終入館は閉店時間の1時間前まで)
料金:1.5時間=1,400円 2時間=1,500円(※それぞれ以降は30分延長ごとに+500円)/※平割 1時間=1,000円 (※平日、後3〜4時入場受付限定)、アサウナ割 1.5時間=1,200円(※土日祝、前9〜10時入場受付限定)などあり。
※レディースデー営業時は2時間=1,400円 2.5時間=1,500円になります。
※その他の情報は公式Instagram(@sauna__heaven)、公式X(@saunaheaven)と公式HPをご確認ください
撮影/長谷繁郎(一部写真は編集部撮影)