フィンランド式公衆サウナへの熱き思い!「サウナヘヴン草加」②

2023年12月25日に、埼玉県草加市にグランドオープンした「サウナヘヴン草加」。

大きなサウナ室の中には、3段のベンチが配された“タワー式”の座面があったり、“寝サウナ”が可能な一角があったり、はたまた7段式の階段=ステップが座面になったコーナーがあったりと、一つの室内にさまざまな『異なるアツさ』と『気持ちいい蒸気』が味わえる空間が存在しています。自分の好きな場所を選べる贅沢がとてもたまりません。

水風呂や外気浴・内気浴ができる休憩スポットも、使いやすさも体感もとても快適。開業直後からサウナ好きたちの注目と人気を集め続けている施設です。
(※前回記事で、サウナ室、水風呂、休憩スペースなどの詳細について、たくさんの写真とともに紹介しています。←未読の方はぜひあわせてお読みください!)

これは断言できることですが……この手の『気持ち良くて快適なサウナ』というのは、例外なく、つくった人たちも“ガチ”なサウナ好きです。

この「サウナヘヴン草加」も、きっとかなり(・・・)な人たちがつくった施設のはず。ぜひお話をいろいろうかがってみたい……ということで、店長さんへのインタビューを敢行しました。

目次

“特等席”の片隅にひっそり記されているのは……サウナへの熱き思い

フロントで私たちを迎えてくれたこの方が「サウナヘヴン草加」の店長、岡見知彦さんです。

――サウナ室の気持ち良さ……構造や設計はもちろん、室内の香りだったり水風呂や外気浴に至るまで、すべてがとても快適で。きっとスタッフの方々も相当なサウナ好きだろうなと思わされてしまう施設ですね。

「ありがとうございます。私もオーナーも、たしかにサウナは本当に好きですね。利用していただける皆さんにも心から気持ち良くなっていただきたいので、自分たちの知っていることや好きなサウナのことを思い出して、できるだけ盛り込み、落とし込むように頑張っています」

――まずはなんと言っても、これまで見たことのないようなサウナ室。熱源がロウリュのできるikiストーブと、ロウリュをしないけれど湿度を常時生み出しているZIELストーブの2台体制だったり、それを囲むベンチも、タワー型のコーナーもあれば、寝サウナもできるちょっとした個室のような空間があったり。さらには7段式の階段に座面も設けた一角があったり。
きっと、いろいろな施設をめぐられて、研究もされてきたんだろうな、と。

「研究とまで言えるかは分からないですけど(笑)、理想とするものをなんとか具現化出来ないかと、懸命に頭をひねったのは事実です。

座面のレイアウトなども、もちろん最初に図面はつくっていただいたんですけど、それ自体、数え切れないほど修正を重ねましたし……。さらに言えば、せっかくそんなに頑張ったっていうのに、実際の作業工程に入ってから何度も形状は変わりました(笑)。こうした方がいいんじゃないかとか、ここはこうした方がきっともっと良くなるよね、とか。そういう意味では、こだわりはめちゃくちゃ詰まってますね」

――座る場所によって、好きな“アツさのタイプ”みたいなものを選べることも嬉しいですし、また、訪れるたびにちょっとずつ変わっている部分があったり、“遊び心”みたいなものを見つける楽しさもあります。

「やはり、お客さんがいろいろな感想も言ってくださるので、それをヒントにアップデートしている部分はもちろんありますね」

――そういえば、今日、あの7段のステップ式ベンチの最上段に数日前にはなかった文字を見つけました。「SAUNA IS JOURNEY」っていう。

「あ、気づかれましたか(笑)。まさに、ついこの間、書いてみたんですけどね。あの席に自分も座ってみて“ここに、ちょっと書いてみようかな”って、思いつきで。ホントにちょっとした出来心で書いたので、すぐに消すかもしれないですし、書いてある言葉が変わるかもしれないですけど(笑)」

サウナの魅力は「旅情」を感じること。

――いやいや。「SAUNA IS JOURNEY」って……すごくいい言葉だなって思いました。

「書いたのは僕ですが、オーナーとも意気投合している部分ではあるので、きっと(オーナーも)同じ思いだとは思います」

――岡見さんはどのような経験から、その思いというか、その境地に?

「う〜ん……。日本語ではうまく表現できない部分もあるんですけど、いろんな意味で『JOURNEY』だなって思うんです、サウナに入ることって。それこそ“旅情”みたいなものも感じたり、あとは毎日の中でちょっとだけ非日常というか、日常から離れることができる時間を感じたり。その感じが好きで、僕自身はサウナを好きになったんだと思うんですよね」

――そもそも、サウナと出会ったのはいつ頃だったんですか?

「高校生くらいの時ですね。だから20数年前くらいになると思います。僕は高校生の頃から、実はバンドをやっていまして」

――はい。

「僕は当時、高校1年生だったんですけど、一緒に組んでいたメンバーが、みんな10歳くらい年長の社会人だったんです。その人たちにライブが終わったあとに連れて行ってもらったのがサウナに出会ったきっかけです」

――そうなんですね。ちなみにどんな音楽(ジャンル)で、岡見さんは何を担当されてたんですか?

「それ聞いちゃいますか? ハードコアバンドで(照)、自分はギターをやったりしてました。

僕は茨城の守谷市出身なんですが、さっき言ったように大人とやっていたバンドなんで、ライブをやる拠点としては隣町の柏だったり、東京の新宿、渋谷とか横浜、千葉なんかに出かけたりしていて。

だから行く温浴施設も、サウナも銭湯も、そうしたライブ先の街の施設だったんですね。振り返ってみると、船橋の『ジートピア』だったり、横浜では『スカイスパ』(スカイスパYOKOHAMA)にも行ったなぁ、って」

――なんだかエモいですね。高校生……多感な年頃から、そんなところに。

「いま考えると、たしかにいずれもレジェンド施設ですよね。いい経験させてもらっていましたね(笑)」

――はい、そう思います。早熟です!(笑)

誰かと同じ時間、同じ感覚を共有する喜び

「インディーズでアルバムをつくって、車でツアーしたりもして。いろんな街で打ち上げのあとに行くサウナは、ライブと同じくらい楽しみでした。

その後、そのバンドはなくなるんですけど、ソロで音楽活動は続けていて、もっと全国を回ったりもするようになって。

時には九州なんかも行ったりして。鹿児島では次の街へ向かう長距離バスを待つのに便利な『ニューニシノ』に泊まったりしてました(笑)」

――すごい!(笑)

「ですよね(笑)。まぁ、そういうリアルな意味でも、サウナには旅情を感じるんですよね。個人的には。と同時に、その時々の自分から、一瞬だけ『ふっ』と離れる感覚みたいなものがとっても心地よくって」

――先ほどおっしゃった、「非日常への旅」みたいな感覚ですか?

「そうですね。それで、楽しかったときの記憶ももちろん多いんですが、振り返ってみると『疲れたな』とか、傷ついたときに行ったサウナのことがより強く印象に残っているというか。本当に“癒してもらった”とか“回復させてもらったな”みたいな思い出も多くて。

だから、ちょっと大げさに言うと『救われて、また一歩を踏み出せる場所』みたいな存在でもあるんですよ。僕にとってのサウナって」

――サウナはたしかにそういう空間ですよね。入っているうちに、体ももちろんリフレッシュできるんだけど、心というか頭の中もいつの間にかリセットされるというか。気分転換ができて、モヤモヤしたものなんかもクリアになったり。

「そう。シンプルに『よっしゃ。次もがんばるか』っていう気になれるじゃないですか。日常と地続きではあるけど、少しスペシャルな、大切な場所というか。

それともう一つ、これも言葉ではうまく言えないんですけど『誰かと一緒の空間にいる』っていうのも、サウナのすごく好きなところなんですよね。知り合いでも見ず知らずの人であっても、同じ空間で同じように気持ち良くなれている、あの感じが」

――その感じも、なんとなく分かります。

「銭湯なんかもそうだと思うんですけどね。いつの間にかオープンマインドになって、サウナ室に出入りする時とか、隣に座る時に、目が合ったら会釈したりとか、話しかけてもらったりとか。ああいう雰囲気もなんだかホッとするというか、好きなんですよね。

そんな感じで、気づけば『あ〜、俺、やっぱりサウナ好きだな』って。それで現在に至るんですけど……」

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