
街頭インタビューが好きな筆者が、発売中の「SAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOS」で担当した37人のサウナ好きインタビュー企画。思いのほか難航する取材に苦悶したお話の後編をお届けします。
※前編「37人のサウナ好きに会った話。「SNAP×SNAP」ウラ話①」と合わせてお楽しみください
困ったときは素直に人を頼ろう
どんな仕事であろうと、人が動けば、そのぶん経費がかさみます。ひとりよりふたり、ふたりより3人。しかし、「湯乃泉 草加健康センター」に通ううち、気付かされたことがあります。それは、中年男性である筆者が声をかけると、男性はOKしてくれることが多いものの、女性には100%断られるということ。平日がダメなら土曜日に、と作戦を変えたところで曜日に関係なく、ことごとく振られてしまいます。
ではどうしたらいいのか? 取材チーム(その時点ではチームではなく筆者ひとりでしたが)の人数を増やそう。それしかない! というわりと当たり前の結論に至ったので、さっそく同僚に声をかけることにしました。ここで問われるのは人選。誰でもいいってわけじゃありません。自分と同じようなおじさんを増やしたところで何も解決しないだろうと思った筆者は、SAUNA BROS.編集部の女性に協力を依頼しました。ありがたいことにふたつ返事で快諾してくれた彼女。持つべきは素敵な同僚です。
というわけで3月上旬の平日、2人体制となった取材チームは再び草加健康センターに向かうのでした。
たかが37、されど37
そこからの取材チームのインタビュー大作戦は、これまでの劣勢が一変。これまで筆者ではぜんぜんダメだった、女性のサウナ好きがひとり、またひとりとインタビューに協力してくれるようになりました。もちろん、お声がけしているのは同僚女性。きっと同性ならではの安心感があるんでしょうね。女性同士でサウナ話に花を咲かせる隣で、筆者はカメラを構えつつ、やった! 女性に話が聞ける! と内心小躍りしていました。
そうして取材を進めていくうちに、やがてなんとなく役割分担が生まれ、筆者は男性に、同僚は女性プラス若い男性にお声がけするようになっていきました。面白いのが、筆者が声をかけて断られた若者男子に、同僚が声をかけるとOKしてくれた、なんてことも。そういうのって悔しいと言うよりも、人のリアルを感じて面白いんですよね。そりゃおっさんとしゃべるより、ニコニコしている同僚女性としゃべるほうが若者男子は気分がいいでしょうし。我ながらいい人選だったということで。
そうしていくうちに、回答済みのアンケート用紙の束がだんだん厚くなっていくのを感じます。よし! このペースでどんどんいこう! と思う一方、目標の「37人」ってけっこうな人数なんですよね……。単純に「37」という数字自体は大きな数ではないですが、それが「37人」に取材するとなると、俄然大きな数字に見えてきます。撮らせていただいたお写真と回答がずれないよう、回答用紙に通し番号を振りながら、10人め! 15人め達成! なんて喜んでも、一方でまだ半分いってないのか、と少し不安になってみたり。
そんな弱気を跳ね飛ばすにはどうしたらいいのか? そう、ごはんを食べればいいのです。
サウナ好きのおすすめメニューでパワーチャージ!
いまさら説明するまでもないかもしれませんが、草加健康健康センターおよび同グループ(湯乃泉グループ)の東名厚木健康センターはともに、サウナや浴場が素晴らしいことはもちろん、食事が美味しいことでも知られています。
じつは筆者が草加健康センターという場所を知ったのもその食事メニューがきっかけでした。あれは編集部に入る前のこと。サウナに詳しくなかった筆者は、たまたま見ていた「人生最高レストラン」(TBS系)という番組で、俳優の玉山鉄二さんが人生最高の一品として草加健康センターの「百年醤油特製ラーメン」を挙げているのを見て、その存在を知りました。

こちらがその百年醤油特製ラーメン。サウナで汗をかいた体に、この深い色合いの醤油スープが染み渡ります。見た目にはすごく濃そうですが、食べると案外あっさりしていて、洗面器いっぱい食べられそう。そんな味でした。それにしても玉山さんのチョイス、絶妙ですよね。人生は大喜利だと思っている界隈に属するひとりとして、人生最高の一品にサウナ施設のラーメンを挙げる秀逸さにしてやられたと思いました。そしてこの取材中も、ばったり玉山さんに会えたりしないかしらと勝手に期待していました。
では話を戻して、この日はチャーハンや餃子(隠し味は合わせ味噌らしいです)、コロッケにカツカレーを注文。いずれもインタビューに協力してくださった方がオススメしていたメニューです。




にしても、こうして並べてみると、見事にすべて茶色い食べ物なのがいいですね。図らずも茶色は美味しいということを証明する結果となりました。もちろんどれも美味しかったのですが、個人的にはコロッケがよかったです。ふだん、どこへ行ってもわざわざコロッケを注文することはないのですが、こちらは中がトロトロで、コロッケなのに飲めそうな一品なんです! 飲めるコロッケ? 何を言っているのかわからないかもしれませんが、本当に飲めそうなので、未食の方はぜひコロッケを注文してみてください。
長かった戦いよ、さらば!
腹ごしらえを済ませ、いよいよインタビュー取材も終盤です。平日の午後はいったん人の流れも落ち着き、まったりした時間が流れています。そんななかでわざわざ立ち止まり、取材に協力してくれたみなさんには感謝しかありません。
お話を聞かせてくれた人のなかで印象に乗っている方のひとりが、サウナや温浴施設の絵を描くのが好き、とおっしゃっていた女性。その日も持ち歩いているというスケッチブックを見せてくださいました。

こちらは草加健康センターの女湯の水風呂だそうです。筆者は実際に見たことはないですが、情景がありありと浮かんでくるようです。水彩絵の具なのかコピックなのか、柔らかい色合いが素敵です。雰囲気を語らせると、イラストは写真より雄弁かもしれません。
結局たくさんのお客さんにお声がけし、体感的には4、5人にひとり立ち止まってくださる感じで延べ15時間ほどかけて、37人のサウナ好きにお話を伺うことができました。37人め、最後にお話を聞いたのがたまたま10代の男性だったこともあってか、サウナの未来は明るいと勝手に思い込むことができたこの「SNAP × SNAP」。詳細は発売中の「SAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOS」でお読みいただけますので、ぜひお手に取ってごらんください!


湯乃泉 草加健康センター
■住所:埼玉県草加市北谷2-23-23
■営業時間:10:00~翌8:00、先行入館パックは8:30から(入浴時間:10:00~25:30、土日祝前日は翌朝7:30まで。男性のみサウナ・水風呂限定で1:30~7:30)、朝風呂=5:00~7:30
■料金:[平日]=大人1,100円、リクライニングシート指定付(館内着・タオルセット付)2,100円[土日祝日]=大人1,300円、リクライニングシート指定付(館内着・タオルセット付)2,300円
詳しくは公式HP(https://yunoizumi.com/souka/)でご確認ください

「SAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOS」
■定価:1,137円
■発行:東京二ュ―ス通信社