周囲(半径)約7キロにわたって建物が存在せず、また、カルデラ地形の“すり鉢の底”に位置しているから、ここはいわば外界から隔てられた「天然の箱庭」のようなロケーション。耳に届くのは風や木々のざわめき、鳥の声、せせらぎの音。目に入るのは山の濃い緑と平原に生い茂る若草の明るい緑、そして空。夜はまったく外光の影響を受けないので、満点の星が自分の身体のすぐ上に広がり、まさしく降ってくるかのよう……。

本当にこの地に来ると、街の喧騒や日常の雑事から自分を完全に遮断してくれます。純粋に「サウナ」としても素晴らしく、心をただただゆるめてくれる場所としても最高の施設――「SAUNA BROS.vol.4」でも取材・掲載させてもらった「星降る山荘 七時雨山荘」。その魅力をあらためてWEB記事でも紹介させてください!

◆風と水に囲まれた、緑の中の赤い屋根

岩手の県庁所在地、盛岡市の中心部から車で約1時間ほど。「新日本百名山」や「東北百名山」にも数えられる七時雨山の山あいを走っていくと突然に視界が開けます。カルデラの高原をそのまましばらく進むと、遠くに赤い屋根が。はい、あれが七時雨山荘です。実に心躍る瞬間!

見えてきました!
シンプルな看板にグッときます。「歓迎」の文字にも思わずほっこり

舗装された道から砂利道に入り、ゆっくり建物のほうに近づいていくと、きれいなせせらぎが! のちほどあらためてご紹介しますが、この七時雨山荘のサウナ「イーハトーヴ」で味わえる2種の水風呂のひとつに、この水がそのまま使われています。実は、この水はすぐそばの山から湧きだしているもの。手を浸してみるとほどよく冷たく、清くて……心の高まりが加速して、思わず動画を撮っていました!

少し山に入ったところにこんな標示がありました。そうか、この水が北上川の源流なんですね♪

◆古民家をリノベーションして、最高のサウナ小屋に

木造ならではのぬくもり、優しさがたまりません

この七時雨山荘は、現オーナー・立花龍太さんの祖父が昭和40年(1965)に開業した宿泊施設。冬は屋根をゆうに超えるほどの積雪地帯のため、毎年11月末から4月末は山道が封鎖されるそう。営業は春から秋の7ヵ月間ですが、登山客や、豊かな自然を愛でる人々に愛されてきたそうです。

年季と味わいに満ちたこの母屋というか宿泊棟では、近くで湧き出ている冷鉱泉を温めた温泉も楽しめるのですが、サウナ好きである立花さんが2019年からテントサウナの設置もスタート。以来、サウナ好きの間で「七時雨山荘」の名は知られ始めるようになってきました。

そうした中で立花さんは次なるチャレンジを始めます。それは常設の「サウナ小屋」を併設すること。最初はログハウスのような小屋を新築することもイメージしたりしていたそうですが、ふと気づいたのが母屋から離れのように建っている「BBQ小屋」の存在。

“七時雨”というのは、「1日に時雨が七回も降る」ほどに天気が変わりやすいことから付いた地名なんだそうで、そんなこの土地でも山荘の利用者が天候を気にせずBBQを楽しめるようにと、40年ほど前にここに移築してきた古民家がありました。それをサウナにリノベーションしてみようと思い立ったそうです。

これがその小屋。約40年前の移築時に、すでに築40~50年ほど経っていたそう。
とにかく味わいがすごい!