SAUNA BROS.vol7の「京都銭湯サウナ特集」でもご紹介した京都・南区の「旭湯」さん。本誌では紹介しきれなかった魅力を2回に分けてお伝えする後編です。(前回の旭湯の記事はコチラから)
さて、今回「旭湯」さんをご紹介する上で、はじめにお伝えしたいのが、「旭湯」さんはお風呂が男女入れ替わり制になっているということです。前回、ご紹介したサウナ室や水風呂については、男女ともに広さやスペックは同じで、ほとんど差はないのですが、「旭湯」さんは、それ以外の部分……例えば露天風呂や浴槽、タイル絵などはまったく異なります。異なるんですが、毎日、男女入れ替わり制なので、両方とも楽しめる機会があるわけです! 京都の銭湯で入れ替わり制になっているところはかなりめずらしいです。
日替わりで入れる「ヒノキ風呂」と「岩風呂」
というわけでそれぞれ異なる箇所を比べながら見ていきましょう! 前回、サウナや水風呂(水質)についてご紹介しましたので、水風呂からの流れ、外気浴スペースの設けられた露天風呂エリアです。
片方はヒノキ風呂、もう片方は岩風呂の露天風呂で両方とも四方を竹垣に囲まれ、石灯籠が置かれています。そして上の写真のように、外気浴用の椅子が露天脇に用意されていて、趣ある露天の雰囲気を感じながら休憩ができます。この「竹垣で囲っている」のが風情があって良いんですよね。京都らしさと言いますか。空が見えるのもより気持ちよさを感じるポイントです。また、雨の日には、石灯籠と一緒に水に濡れ、屋根の瓦から水が滴っているのをぼんやり眺めるのもいいものです。
ヒノキ露天と岩露天、それぞれ表情が異なります。特に夜はライトアップされ、まったく雰囲気が変わります。それを日替わりで両方楽しむことができるなんて、うれしいかぎりです!
「京都タワー」と「五重塔」のタイル絵
実は、前回から早くご紹介したいと思っていた「旭湯」さんの魅力……筆者的に一番好きなところと言っても良いポイントをご紹介しましょう。
それはタイル絵です。「旭湯」さんのはひと味違うんです。
筆者は(関東生まれだからか)「銭湯のタイル絵=富士山」のイメージが強く、日本全国それが当たり前として捉えていたんですね。なので、タイル絵に特に変化を求めていない……というか期待して銭湯に行くようなことはありませんでした。そんな中、京都へ転居し「旭湯」さんの浴室で「京都タワー」と「五重塔」が描かれたタイル絵を見た時は、心動かされました……。
「あぁ、京都にきたんだなぁ」と。
「旭湯」さんのある南区を代表する東寺の「京都タワー」と「五重塔」のタイル絵。これを見た時、実物を見たときより「京都に来たんだな」と実感したんですよね。見慣れた光景での変化。違和感から来るものかもしれませんがすごく旅情心を揺さぶられました。
「旅行に出たり、転勤で京都を離れたお客さんが帰ってきて、このタイル絵を見ると『あぁ帰ってきた』って思ってくれるそうなんですよ」
と顔をほころばせながら話す2代目の洲治さん。常連さんにとっても大切な地元の心象風景のひとつになっているんでしょうね。お店の景色が、常連客の故郷の一部になっている……長年続く街の銭湯の心温まるエピソードです。筆者の「五重塔と京都タワー」タイル絵への思い入れから、少々熱くなり過ぎましたが、もう片方の浴室のタイル絵は「親子のお風呂の風景」です。
かわいらしいテイストで描かれたタイル絵で、お子さん連れで来られる方が多い「旭湯」さんらしい光景でもありますね。
「お客さんで『男湯は今日はどっちのタイル絵?』って聞いてくるお客さんもいるんですよ」と2代目・洲治さん。
筆者をはじめ「旭湯」さんのタイル絵に心を掴まれているファンは多そうです!