<INTERVIEW>“新設したサウナ小屋、そして今後の「The Sauna」でやりたいこと…” LAMP野尻湖 支配人、野田クラクションべべーさん

◆新たなチャレンジ…「トレーラー」は想像以上の手応えが!

――新設の3号棟も4号棟も最高だったんですが……敷地内に他の構造物も増えてますね。

「トレーラーハウスとか、モバイルのトレーラーサウナですよね。あれも新たな試みで始めたものなんです。『The Sauna』はサウナ施設ですが、もともとここはご存じの通り『LAMP野尻湖』という、国立公園の中で40年以上続いているゲストハウスなんですね。

サウナを楽しんでもらうこともそうだけど、そもそもこの素晴らしい自然に、もっとたくさんの皆さんに触れていただきたいと思っていて。宿泊できるゲストハウスの“離れ”のような存在として、あのトレーラーハウスを作りました。

大きく窓をとっていることもあって、母屋よりもさらに自然に包まれているかのように過ごしてもらえますし。実際に評判も良いというか、皆さんにも喜んでいただいて、我ながらいいモノを作ったなと(笑)。……まぁ、僕らもいいビジネスをしていかなきゃいけないんで。皆さんに来ていただかないと1円にもならないワケですから(笑)。

で、トレーラーハウスに宿泊する方には、あのトレーラーサウナにも入っていただこうと。あれも小さいですが、しっかり熱くて、かなり気持ちいいですよ」

トレーラーサウナは、すぐ横に水風呂も完備!

――先ほど、清掃をされている横から、ちょっとだけ拝見しました。

「ストーブもきちんとしたものを入れてますし、もちろんロウリュもできます。ほかの小屋サウナと少し毛色は違うけど、やっぱりサウナなんで手を抜かずに作ってます。水風呂用にコルメやネリャと同じ井戸水をあそこまで引っ張って、蛇口で出せるようにして」

――外見こそ近未来的な感じもあるけど、しっかり「The Sauna」の雰囲気とクオリティーにはマッチ。トレーラーもいいというか楽しいですね。

「そうなんです。最初はどうなんだろうなぁって不安も少しありましたけどね。まぁ、例のごとく『面白いから、とりあえずやってみよう』と(笑)。

やってみて実感したんですが……トレーラー型のスタイルって、法律的には“仮設の建物”扱いなので、小屋を建てるよりも実務的に設置しやすいんです。もちろんしっかりしたものを作ってますが、いわゆる“建ぺい率”とか何だっていうところの届け出や申請の手間がラクなんですよ。さっきも言いましたが、ここは国立公園なので、尚更そういう事務的なことはかなり厳密にやらなくてはいけないことだったんで。そういう意味でも、今回作ってみて、新しい可能性があるなって手ごたえを僕らもかなり感じていて」

――そうなんですね。いや、ぜんぜんいいじゃないですか。

「はい(笑)。さらに言うと、トレーラーサウナは引っ張って動かせますからね。たとえば湖のすぐそばまで持っていって、湖畔でサウナを楽しんでもらうなんてこともできちゃうワケで、メリットが大きいんです。

まぁ、そうやって引き続きいろんなことにトライしつつ、国立公園の中で何ができるか、そして何をこれからすべきかというのを模索している最中なんです」

――なるほど。今ほかにもアイデアが?

「いろいろ考えてますよ! でもまぁ、徐々に順番にやっていくっていう感じです。もちろん余裕ができたら新しいものを作りたいとか、サウナをより大きくしていきたいっていう気持ちもあるけど…。いまのところは、現状で出ている課題を解決したり、『質』みたいな部分を深めていくことに取り組んでます」

<次ページ→:「あのスーパー仕事人、島耕作ですら未体験のコトをやっています(笑)」>


◆「自然の循環」との共生…あらためて今、力を入れていること

――質の進化というか深化っていうと、利用者の満足度みたいなことですか?

「もちろんそれは常に意識してますが、いま改めて力を入れているのは、『施設』を作るだけではなく『環境』作りもしていこうというチャレンジ。具体的なアクションとして『自然との共生』というか『循環』っていう部分に取り組んでいます。まぁ、さっきからお話ししていることともすべてつながるんですけどね。

小さなことからになっちゃうんですが、たとえば……やっぱりこういうところなので、夏になるといろんな“お友達”が山や森から結構やって来るんですよ。マイマイガという蛾とかね。やっぱりどうしても駆除しなくちゃいけないんだけど、それらをいつかは薬剤に頼らずに、自然のかたちでできないかなと思っていて。いま巣箱を設置して、鳥たちをここに呼ぼうとしてるんです。ムクドリとか」

そう聞いて見上げると、樹上のあちこちに! ムクドリが棲む日が待ち遠しい!!(筆者撮影)

――それはまさしく自然の循環ですね。

「調べてみたら、けっこう奥が深いんですよね。ムクドリって結構でかいんですけど、巣箱のサイズとかもいろいろ考えたほうがいいらしくて(笑)。ただまぁ……言うは易しだけど、1年とか2年で来てくれるかもしれないし、来ないかもしれない。でも、今やり始めようって」

――はい。

「ほかにも、生ゴミがレストランで出るんですけど、その生ゴミをコンポストして出来た肥料で野菜……キュウリなんかを作って。そのキュウリを夏場はキンキンに冷やして食べてもらうとか。あとはドリンクで手作りのレモンスカッシュを出しているんですが、そのときに出た“ヘタ”をアロマとして蒸留して、ロウリュの時に使ってもらうとか」

――それ、ストーンにジュワ~ッとしたら、めちゃくちゃ良さそうです。

「まさにレモンスカッシュですよ。実際にそういうアロマ水を出すとお客さんも喜んで使ってくれます。そうやって、捨てようと思ってたものを使って、作ったもので喜んでもらったり、また新たな素材になって……みたいなのは、すごいなんか楽しいですね。そういう環境じたいを見つめ直したり作ったりしていきたい、っていうのを今いろいろやってます。地道にコツコツと、だけど(笑)」

サステイナブルでもあります!(筆者撮影)

――サウナや人も「自然のサイクル」の中の一つのパーツに。

「そうなるといいな、って。だから薪なんかも、今は燃焼効率の面などもあって実現できていないんですが、ゆくゆくはすべてをこの近辺の間伐材を使ってできるようになればいいな、とか。できることからクリアしていきたいと思って、いろいろやり繰りしたりしてます。

なんかね……中間管理職なんですよ。『自然』と『人間社会』や『サウナ』との間の。それと経営的な『数字や成長』、『面白いこと』みたいなものの間でも奮闘してます(笑)。でも、『自然』や『森』との間の管理職なんて、あのスーパービジネスマン、島耕作ですら未体験の領域ですからね(笑)。頭を悩ませつつも、楽しみながらやってます」

<次ページ→:フィンランドのサウナ関係者による「The Sauna」の評価は……>

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