吉祥寺「MONSTER」潜入④ “新たなサウナ”に込める思い

2023年12月25日に、東京・吉祥寺にオープンした「MONSTER WORK & SAUNA」(以下、「MONSTER」と表記)。

100人以上が同時に入室できて、眼前に鎮座する巨大なメーンストーブが発する熱は、5段のベンチのどこに座ってもアツアツに体を包み込む……いろいろな意味でまさにモンスター級のサウナ室に、まるでプールか洞窟の中の湖か! と思わせるほどの、こちらもモンスターな水風呂。従来のサウナ施設にはなかった、新たな“発想”を、いくつも私たちに見せてくれる施設です。

SAUNA BROS.WEBでは、これまで3回にわたり、その特徴やスペックや革新的なチャレンジをリポートしてきました。
1回目は「サウナ室の圧巻のスケールとスペック」、2回目は「水風呂に仕掛けられた世界初の機能」について、そして3回目はオープン直前にそれらをすべて体感しての感想をそれぞれ綴りました(※ただし、後述の文中にも記しますが、これらの記事で紹介した中に、オープン後、すでにアップデートされた箇所も多くあります)>

4回目となる今回は、この「MONSTER」の“仕掛け人”=運営する「株式会社メッセプロパティー」(以下、メッセと表記)のキーパーソン2人へのインタビューをお届けします。

結論から言いますと、短時間ではありますが、非常に興味深いお話を聞くことができました。

この、かなりトガった革新的なサウナ施設には、実績に基づく“確信”と、ある思いが込められていました。2024年に仕掛ける、次なる一手……新たなサウナづくりのプロジェクトについても伺っています!

目次

サウナづくりは“居場所を提供したい”という理念から

まずインタビューに入る前に、整理しておきたいことがあります。

メッセはもともとパチンコなどのレジャー産業を基幹事業としてきた会社。そして(吉祥寺の隣駅である)西荻窪駅前に、2021年12月にオープンしたサウナ施設「ROOFTOP」と付帯するワークスペース「LifeWork cafe」を運営しています。つまり、「MONSTER」は「ROOFTOP」に続く、同社のサウナ施設の、姉妹店といえる存在でもあります。

今回、「ROOFTOP」や「MONSTER」を含めた同社の新規事業のエリア長でマーケティングなども担当される島村勝雄さんと、施設の新規建築・設備管理を担当される井上貴史さんにお時間をいただくことができました。


――この「MONSTER」、そして西荻窪の「ROOFTOP」など、御社でサウナ事業を始められた経緯をまず教えていただけますか?

「もともとメッセでは、“居場所を提供する”ということを事業の目標として掲げています。人は誰しも、自分の居場所が必要ですから。もちろん、パチンコ店もそのひとつです。ただ近年、コロナ禍などもあって、人と対面する機会が減ったり、リモートワークなども増える中で、新しい居場所が世の中的に求められているのではないか、という発想が根底にあります。

そんな“居場所”を、あらためて思い浮かべたときに……公園やキャンプ場、温浴施設など、いろいろなプランが上がってきました。そうした中で、西荻窪駅前に保有しているビルの空きフロアをあらためて眺めて“ここでサウナをやってみたらどうかな?”となったんです。それが『ROOFTOP』の始まりでした」(島村さん)

「もうひとつ、大前提として、私たちも含め、社内にサウナ好きが多かったということも理由のひとつではあります(笑)。とは言え、会社としては未経験の分野だったので、『ROOFTOP』立ち上げの際は、ゼロからのチャレンジ。本当にいろいろなことがありました。サウナ室の施工をお願いするパートナーを探すにも、知り合いは全くいませんでしたし、どこに何を発注すればいいのかも分からない。そんな状況からのスタートだったので」(井上さん)

※西荻窪「ROOFTOP」外観

現代のデジタル社会だからこそ、サウナは必要とされている

――当時、西荻窪駅の周辺にはサウナ施設がありませんでした。そして、今回「MONSTER」をつくられた吉祥寺も状況は同様。そうした背景もあったのでしょうか?

「おっしゃる通り、JR中央線沿線の駅で、西荻窪や吉祥寺は“サウナ不毛の地”でもありました。私たちはそこに“場所”を持っていましたし、それも駅チカ、街ナカという好条件ですから。ますます、“やらない手はないじゃないか”と(笑)」(島村さん)

――「ROOFTOP」は、階下でパチンコ店を営業されているビルの3階、4階ですが、この「MONSTER」は、もともと何の場所だったんですか?

「他社が運営するパチンコ店でしたが、閉業した際に私たちが引き取ったんです。ただ、同じようにパチンコ店にするつもりはあまりなく、1年以上、スケルトンのままで何に使うかを考えていた物件でした」(島村さん)

――先ほどの「今の時代にあった、新しい“居場所”づくりを模索していた」というお話につながるんですね。

「そうですね。“居場所”づくりは、ある意味では社会貢献にもつながりますが、もちろんビジネスとしても成立させないといけない。そう考えたとき、サウナは事業としても、十分に成立するし将来性もあると思いました。現代のデジタル社会にあって、脳を休ませたり、“マッサージ”のように回復させてくれる効果を持つサウナは、今や確かなニーズがあります。自分にとって大切なものだと気づいてしまった人が一定数いる……そんな場所だと考えています」(島村さん)

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