吉祥寺「MONSTER」潜入④ “新たなサウナ”に込める思い

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“サウナの本質”と、施設ごとの“テーマ”にこだわりたい

――そうした、さまざまな思いや新たな価値観が結実しての新規参入ということもあってでしょうか。「ROOFTOP」も「MONSTER」も、従来の“常識”にとらわれていない、どこか“新しい”サウナ施設という印象があります。

「先ほど、“社内にサウナ好きが多い”と言いましたが、やるからには、もちろん自分たちも良いと思えるサウナにしたかったんです。だから、初めてサウナづくりに挑戦した『ROOFTOP』でも、サウナの本質の部分には徹底的にこだわりました。

サウナ室の熱さや湿度も、施工してくださったパートナーさんと、とことんまで打ち合わせしましたし、特に、サウナとしての動線には徹底的にこだわりました。サウナでしっかりと汗をかき、水風呂に入って、屋上で外気浴をする。その行程を最短のシンプルな流れにするために、何度も何度も設計図を引き直しました。

その一方で、大胆にカットさせてもらったものもあります。いま言った“シンプルな動線”をキープする中で、何がサウナの気持ちよさにとって本当に必要なものかを突き詰めて考えて。例えば、お湯の浴槽などは、あればもちろん気持ちいいんですがスペースの兼ね合いや構造を補強したりなどの予算もありますから」(井上さん)

「“何を軸とするか”“どこにポイントを置くか”は大切にしています。『ROOFTOP』で言えば、いま話に出たように、店名にもなっている屋上の外気浴であり、そこまでのシンプルな動線でした。

いかに、そこを快適に感じてもらえるか……ある意味、サウナに特化して、さらに“ワンテーマ”に絞っての、あのスタイルを提案させてもらったということなんです」(島村さん)

――なるほど。「ROOFTOP」で軸にしたのが“屋上の外気浴”なら、「MONSTER」は、何を“ワンテーマ”=一番のポイントに詰めてこられたんですか?

「サウナ室、そして水風呂を“モンスターなものにする”という点ですね。どうせやるなら、サウナ室は世界最大級に。そして水風呂も5メートル四方という、思わず“デカっ!”と口に出してしまうほどの圧倒的なサイズにしつつ、入った場所によって水温が異なるという世界のどこにもない機能を実現させてみよう、と」(島村さん)

――やはり店名、施設名に象徴させているように、あのモンスター級のサウナ室と水風呂がこだわりになるんですね。

「この施設は、地下1階の広い空間にあることもあって、実は当初、『CAVE』(=洞窟)という名前にしようかという案もあったんです。

そこから、“地下の洞窟に、途轍もない怪物が潜んでいる”という着想が浮かんできて、“モンスター”というワードが出てきたんですね。そうして、デカく、とんでもないものにしよう、となったんです。まぁ、名前とテーマのどちらが先か、その順序は、今となってはどちらでもいいんですが(笑)」(井上さん)

「『ROOFTOP』も『MONSTER』もそうなんですが、その物件の特性や良さを生かして、いいサウナを構築していこうというのが我々の考えなんです」(島村さん)

求められたら応える……お客様と一緒につくり上げていくことが重要

――それにしても、サウナ室は圧巻です。その大きさ、広さに加えて、あの特大のメインストーブやもう2基のストーブ……トリプル熱源から放たれる、熱の圧がたまりません。まさに“モンスター”が潜んでいました!

「やはり、『ROOFTOP』のときと同様、僕たちが考えるサウナの本質は、絶対に実現したかったので……あのサイズの“大箱”でも、隅々まで気持ち良い熱さが行き渡るよう、そこは徹底的にこだわりました。あとは座る位置で、皆さん、ご自分の好みを見つけてください、と」(井上さん)

「サウナ室も水風呂も、“あの巨大なサイズのものを一つ”ではなく、“何種か、異なるもの”をつくる方が良い、なんていう声も聞こえてきそうですが、実際にそういう施設はいくつもあるし人気が高いですよね。でも、多くの人から支持を集めるそういった施設さんも、実は最も人気のあるサウナ室や水風呂に、いちばん人が集中しているんですね。いろいろ観察や研究を重ねた結果、だったら今回、我々は、人気があって人が入りたくなるものを大きくしようじゃないか、と(笑)」

――あのメーンストーブは、横幅がなんと3メートル以上(340センチ)。サウナストーンも1.7トンになったそうで。そして、横一線に水が降り注ぐ数秒間……「ナイアガラロウリュ」による湿度、蒸気のアツさも超強力。ただ、温度の設定やロウリュの間隔は、オープンから数週間で、少しずつ変わっていますよね。

「『ROOFTOP』のときもそうだったんですが、私たちは、サウナを利用客の皆さんと一緒につくっていきたいと思ってるんです。なので、自分たちがまず最初に考え抜いたものをいったん提示・提案しますが、お客様の反応や声をヒアリングしたり、リクエストをいただいたら、すぐに判断して、それを元にアップデートを繰り返す。そういったトライ&エラーを繰り返していますから」(井上さん)

――「MONSTER」では、サウナ室→水風呂のあとの、いわゆる“ととのいスペース”が浴室の外にあって、ガウンを着て出ることになります。そのガウンを着るスペースであったり、利用客が入館してから浴室までの動線、オペレーションなども、大きく変貌していますよね。わずか10日や2週間で。

「今、言っていただいた部分については、オープン前から心配ではあったんですが。やはりボトルネックでした。ただ、お客様からの声を聞いて、要望に誠実に寄り添って、一つ一つにすぐに対応していく。解決法を考え、展開していく。これを今も毎日、実践しているところです。

実は、『ROOFTOP』がオープンしたときも、さまざまな新しい試みも含めてスタートしたので、賛否の声がありました。いや、むしろ最初は反対というか否定の声の方が多かったんです。“こんなのは温浴施設とは言えない”のような、強い声もあリました。ただ、それらをきちんと受け止めて、その都度、とにかく手数を多く対応して質を高めていった結果、否定的なご意見を肯定・賛成の声が上回るようになり、まもなく圧倒的に逆転しました。

お客様と一緒に施設をつくっていく……応えて、応えて、信頼を得る。これが実現できたことで、『ROOFTOP』も成功できたと思います。同じように、この『MONSTER』も、どんどんアップデートさせていこうと思っています」(島村さん)

――設備やハードだけでなく、年が明けてからは「ROOFTOP」同様の“朝得プラン”(午前中は500円の割引)もスタートされるなど、サービス面の更新も次々に。これからも期待させていただきます!

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