川崎フロンターレ事業部長・天野春果#4「マジカル頭脳バナナとは⁉︎」

モイ~。川崎フロンターレプロモーション部のアマノです。サウナ施設で日々オモロい企画をととのえています。

@KAWASAKI FRONTALE
目次

頭の中が「思考の善玉菌」で満たされた時のアイデアのととのえ方

梅雨明けもしていよいよ夏真っ盛りですね。冬の寒い時期、体の芯が冷え切っている時に入るサウナは最高だし、キリッと澄み切った一桁の外気温度で体から湯気出しながらととのいチェアーに横たわるのも格別ですけど、蝉がジージーと鳴いている、夏のアツーイ時期にこれまたアツーーーイサウナに入って、キンキンに冷えた水風呂にダイブするのも、これまた最高です。

最近、「生姜サウナ『金の亀』」や「サウナ東京」がOPENして連日大盛況の赤坂サウナ界隈ですが、僕は昔から頻繁に「サウナリゾートオリエンタル赤坂」を利用しています。ここの売りは何といっても2種類ある水風呂! 浴場内は決して広くはないんですけど、この浴場面積に「よし、水風呂は2つにしよう」と発案して実現した方、マジで国民栄誉賞を授与したいです。特に浴場内入ってすぐ右手にある白濁色の水風呂は一見「お湯」かなぁと勘違いするんですよ。初めて、行った人で足の指先をチョンっと入れて「ええ⁉︎ 水風呂なの⁇」と驚いた人は少なくないはず。まさか1番最初に出てくる湯舟をシルキー水風呂にしようなんて一般人は考えつかないですからね。しかもこの水風呂、「シングル」なんですよ。だいたいいつも「9℃」。しかもバイブラ付き!

真夏のうだるような暑さの時にオリエンタルへ行って、熱波師スタッフ・ネパール人のバラさんのサイコパスに近い強烈熱波を浴びた後にこの9℃のキンキンシルキー水風呂にダイブすれば、夏バテ夏風邪なんてありえないです。ウィルスなんて死滅しますよ。まぁ、オリエンタル含めサウナは春夏秋冬、いつ入っても最高ですけどね。季節問わずオールラウンダーで市場価値があるのってサウナとバナナとフロンターレくらいですかね……そんなことないか(笑)。

さて今回は第2話で話したサウナ室→水風呂→ととのいチェアに横たわった状態時におとずれる、頭の中が「思考の善玉菌」で満たされた時にどうやって企画をととのえているか、そのために必要なチカラは何なのかを話したいと思います。

「サウナリゾートオリエンタル赤坂」の熱波師バラさんと記念撮影

信じられないくらいの量のロウリュをブチかますため、アウフグースする前にサウナ室を退出する人が続出するバラさんの回は是非味わってほしい! 僕はいつも「サイコパス!!」と叫びながらバラさんの熱波を楽しんでます(笑)

必要なのは「マジカル頭脳バナナ連想術」

企画って最初から「よし! これをやろう」と最終形が浮かんでいるものではなくてゴールとなる企画に向かってキーワードを「連想」して導いていくものだと思うんですよね。

30年位前の1990年代、「マジカル頭脳パワー」という人気バラエティークイズ番組がTVでやっていました。この番組内のコーナーに「マジカルバナナ」というのがあって「バナナといったら黄色」「黄色と言ったらカレー」「カレーと言ったら……」と一つの言葉から「連想」して次の回答者が答えていくというのがありました。僕は企画を考えるときに、この「マジカルバナナ」連想ゲームを頭の中で1人でやっています。

例えば、川崎市内のスーパーや量販店で販売中のフロンターレマスコットがパッケージになっている「かわさき応援バナナ」という商品があります。この「かわさき応援バナナ」の販売企画の実現は、それこそ「マジカルバナナ」連想ゲームから生まれました。

まず、「スタジアムに多くの人に来場してほしい」から「マジカルバナナ」ゲームのスタートです。

「多数の来場者」→「現状、フロンターレのファンは男性が多い」→「お父さんが『試合を見に行きたい』と家庭で言っても、奥さんから『そんなよく分からないスポーツチームを優先しないで家事を手伝って』と言われる」→「奥さんのフロンターレ認知度が低い」→「奥さんの認知度をあげれば状況が変わるかも」→「奥さんがよく行く場所でフロンターレ認知度をあげよう」→「奥さんが集まる場所ってどこ?」→「小学校のPTA? 産婦人科? スーパー?」→「スーパー!」→「スーパーのどこでフロンターレを広報すれば認知度あがる?」→「スーパーで手に取ってもらう商品にフロンターレ広告をのせればいいんじゃないか」→「どの商品を奥さんはよく購入する?」→「肉?魚?野菜?果物?お惣菜?冷凍食品?」→「果物はスーパーの出入口付近に陳列されていてよく目立つ」→「けど値段が高いものは奥さんは頻繁に買わない」→「比較的安価な果物といえばリンゴ、みかん、柿、スイカ、桃、バナナ……」→「リンゴ、みかんは比較的冬。スイカと桃は夏。柿は秋」→「一年中売り場にある果物って何?」→「バナナ!」→「そうだ!フロンターレパッケージのバナナを販売しよう!!!」

こんなゲーム感覚で企画を導いているなんて「そんなバナナ……」と思う方がいるかもですけど(笑)。実際、僕は1つのキーワードから繋げて広げて企画を立てることが多いです。そして頭が超絶リラックス状態の「思考の善玉菌」で埋め尽くされたととのいチェアの上が一番、この1人連想ゲームに適した場所なんですね。

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市内スーパー、量販店で販売されている「かわさき応援バナナ」。「主婦の人たちにどうフロンターレというクラブを知ってもらうか」を連想して行きついた先は「バナナ」でした。

連想力を高めるのは「知識と経験」

物事を発展させて考えていく「連想力」に必要なのは自分の中に蓄積している「知識と経験」=「見たり聞いたり」したことです。

連想=頭にそのシーン、風景が浮かぶということは、必ず自分がどこかのタイミングで見たり聞いたりしているから「イメージ」できるわけです。人間、全く見ても聞いてもない事が頭に浮かぶなんてありえないじゃないですか。かわさき応援バナナでいえば「スーパーの出入り口付近に一年中陳列されているのはバナナ」という知識を事前に自分が持ち得ていたかが鍵になります。この企画立案と関係なくスーパーに買い物へ行った時に、ふと「バナナっていつも出入り口付近で売っているな、なんでいつもここなんだろうな、不思議だな、何か理由があるのかな、そういや他のスーパーでもだいたい売っている場所が一緒だな」って思ったことがあって、その記憶がこの連想ゲームの時にパッと繋がるんですね。

僕は企画をたてる上で「知識と経験」が連想ゲームの時にとても役に立つことを知っているので、実際に自分で見たり経験する時以外でも、例えばテレビ番組なんかを見ていてもすごいな、面白いな、楽しいな、不思議だなと感じたものは携帯のメモ機能に一言メモを残したり、テレビの画面を写メしたりしてます。実際はメモを見返したり写メしたものを再度見たりはしないんですけど、自分が「メモを取った」「写メした」という行為を通じて自分の記憶に他の事項よりも色濃く残すことが大事なんです。犬のマーキング行為と一緒の感覚ですかね(笑)。

連想ゲームのその先にあったフィンランド

最近、この連想ゲームで実現した企画が第3話で紹介した「FINLANDランド」ですね。フィンランドは国連調査による世界幸福度ランキング7年連続1位の国でサステイナブルな生活環境整備や男女均等雇用など様々な分野で日本が見習うべき国。そして何といっても人口550万人の国なのに300万のサウナ施設があるというまさに夢の国。

僕はどうしてもこのフィンランドと繋がった一大イベントをフロンターレのホームゲームで実現したかったんですね。でも、北欧なんて行ったこともないし、知り合いもいない。そこで「マジカルバナナ」連想ゲームですよ。

「フィンランドと繋がりたい」→「そう考えるとやはりフィンランド大使館の方と仲良くなるのが一番かな」→「でも繋がりがない」→「自分のネットワークでフィンランドに近い人はいないか」→「フロンターレのスポンサーにLOTTEがいる」→「LOTTEといえばガム」→「LOTTEのガムにキシリトールガムがある」→「キシリトールは白樺のエキスを抽出してできている」→「フィンランドの代表的な木は白樺」→「LOTTEのキシリトールガムの担当者とフィンランドが繋がっているかもしれない」→「よし、LOTTEに相談してみよう!」

って感じで、本当にLOTTEキシリトールガム担当を通じてフィンランド大使館に繋いでもらいました。2021年3月の話です。そこから僕の今後のフィンランドLIFEを変えることとなるフィンランド大使館商務部の沼田さんと運命的な出会いをするわけです。この後僕は、2021年9月に第1回目のFINLANDランドを実現し、2022年8月には第2回、同年11月にはフィンランド政府観光局に招待されて、遂にフィンランドに上陸を果たしました。連想ゲームからたったの1年8カ月後には、な――――――んにもツテのなかったフィンランドの地に降り立っているんだから、連想ゲーム大事ですよねえ~(笑)。

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フィンランド政府観光局の全面協力を得て開催しているホームゲームイベント「FINLANDランド」。

マジカルバナナ的連想術で企画を導き、試合前にイニエスタ選手が桶とヴィヒタを持つ画を撮ることに成功!
次号では、フィンランド大使館商務部の沼田さんの導きで訪れたサウナ大国・フィンランド旅について話したいと思います。

それではモイモイ~。

天野春果(あまの・はるか)
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール(現川崎フロンターレ)に就職。以降、”J最強企画屋”としてサポーターに愛される。
※川崎フロンターレ事業部部長・天野春果「企画屋アマノ〜アイデアのととのえ方〜」今までの記事はこちらから!

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