モイ～。
川崎フロンターレプロモーション部のアマノです。サウナ施設で日々オモロい企画をととのえています。
ポジティブクレイジーなフィンランド大使館の沼田晃一さん
今回は掲載を先延ばしにしていた、昨年11月に訪れたフィンランドについてお話ししたいと思います。
僕がフィンランドを訪れるきっかけをくれたのは、フィンランド大使館商務部の沼田晃一（以下、沼田さん）さんという方です。第4話でも少し沼田さんに触れていますが、この方との出会いがなければフロンターレホームゲーム「FINLANDランド」の開催もまずなかったですし、僕が今持つ「サウナ感」も育まれていなかったと思います。沼田さんに出会ったのは2021年なのでまだ2年ほどしか経っていないのですが、もっとずー－っと前から知っている気がするし、共に時間を過ごし共に活動をしていて理屈抜きシンプルに「楽しい」。そういう人との出会いってしょっちゅうある訳ではないですよね。子供の頃ならば利害関係がまぁないから、結構シンプルに友ができると思うんですけど、社会人になって利害関係バリバリの「仕事」を通して心通じる人と出会うっていうのは頻繁じゃない。
沼田さんから教わって僕もよく口にする大好きなフレーズがあるんです。それが「ポジティブクレイジー」って言葉です。沼田さん曰く、フィンランド人の外見は真面目そうでも内面に「ポジティブクレイジー」な部分を隠し持つ人が多いとのこと。日本語に訳すと……「前向きなおバカ精神」ですかね（笑）。僕なりのポジティブクレイジーの解釈は「色んな障壁あるけどそんな壁ぶっ壊して遊び心あるワクワクすること、楽しいことを全力でやろうよ」って感じです。沼田さんはフィンランド人よりポジティブクレイジーな人で内面に隠し持つどころか外見にもあふれ出ちゃっているような感じ（笑）。僕もどちらかというと新しいことをやろうとするときに出てくる障壁を「カモン！かかってこい！」っていうドM体質なのでポジティブクレイジー同士が出会ってしまったということですね。
面白いこと、今までやったことがない事をカタチにしようと思う時必ず対面する課題や困難。これらにどう立ち向かって乗り越えるかの思考と行動感覚が似ている沼田さんとの活動はどんな時も楽しい！
「表・表」「表・裏」「裏・表」「裏・裏」
これは僕の感覚なんですけど、人と出会いコミュニケーションを取っていく中で人は「表・表」「表・裏」「裏・表」「裏・裏」の4つタイプに行きつくなと感じています。まず先頭にくる「表」「裏」というのは、別に科学的に証明はできないんですけど「あっ、この人とは仲良くなれそうだな」って感じる第一印象の良さ。表情とか話し方とか会話のリズムとかですかね。これは時間を費やさなくてもパッと感じます。「ノリが合う」っていうんですかね。逆に誠に残念ながら「裏」=合わない人も存在します。もうこれは理屈じゃなくあらがえないもので誰が悪いって話ではなくしょうがないものだと思うんですよ。例えば、僕はエビが大の苦手なんです。別にアレルギーとか過去にお腹を壊したとかの苦い経験がある訳でもないんですけど、両親に確認すると生まれた時からエビを拒んでいたそうです。皆さんが「美味しい！ 甘い！」って食べている甘エビを、一度も「甘い」なんて感じたことないですから。エビが苦手な理由は僕にも分からないんですけど、これが相性の悪さっていうものなんですかね。「何か合わない人がいる」なんて偉そうな言い方ですけど、逆に僕のことが「裏」の人も確実にいるわけで、こればっかりは仕方がないかなと。
次に後ろにくる「表」「裏」というのは「思考と行動」の相性です。物事に向き合う考え方や姿勢とその対応行動の相性っていうんですかね。仕事を進めていく上で「ここは大事にしている」といった自分が気にするポイント、ツボが一緒だったり、逆に相手から違う意見を言われたとしても自然に耳をかたむけられて自分の中に取り入れられる人が「表」の人。その逆が「裏」の人です。
一番ハッピーなのは、もちろん「表・表」の人との出会い。話も合って活動を共にした時にストレスなくリスペクトし合える人です。まぁ、そうそうそんな人とは出会いませんが。
次にハッピーなのは「裏・表」の人との出会い。波長が合わないかなぁと第一印象が良くなくても、なんだかんだ時間を共有していくうちに「裏・表」が「表・表」になる人。「えっ⁉︎ そんな人いるの？」って思うかもしれませんが、これがいるんです。僕は、2017年にフロンターレを離れて2020年まで東京オリンピック組織委員会で活動していたんですけど、僕よりも早く組織委員会に入っていた斎藤和生（以下、斎藤くん）くんという年下のスタッフがいました。新部署が立ち上がることになり、僕も斎藤くんもその新部署で活動することになったのですが、初顔合わせとなった会議室で僕の向かい側に座った斎藤くんは体をねじり顔を僕から背け、あからさまに「オマエとは仲良くしてやんねえからな」オーラがでているんですよ。先に組織委員会に所属している斎藤くんなので色々聞きたいことがあり質問しても、僕と目も合わせず、そこから話を盛り上げようともしない。しまいには腕時計をチラチラみて帰りたそうな空気を出している。僕は東京五輪でアッと言わせる企画実現にむけメラメラ燃える闘志を持って組織委員会入りしていたから、「こんなヤンキーみたいなヤツと同部署なんて無理！」って思っていました（苦笑）。
ただその後、僕が東京五輪で実現させたい企画を進めていく上で色々障壁にぶつかるんですけど、その度に僕が持ち合わせていない知識や経験を最大発揮してタッグを組んで救ってくれたのが斎藤くんでした。僕が今まで仲良くなるタイプの人間ではなかったんですけど、時には言い合い、時には励まし合い、結局は一番長く時を過ごす「表・表」の人でしたね。
「裏・裏」の人との出会いは別に最悪ではないです。相性も悪くて思考も行動もやっぱり合わない。「あ～、これは同じ人間の容姿で共通の言葉を話しているけどたぶん中身は異星人なんだな」と割り切れますから（笑）。
一番残念なのは「表・裏」の人ですね。第一印象の良さから当然「思考と行動」の相性も期待するんですけど、ここが「裏」で合わないと深掘りした話し合いは避けるようになるため、やはり関係も深まりません。100％ではないですけど、思考と行動って人間そうそう変わるものじゃないですからね。
出会った時は完全「裏・表」だった斎藤くんでしたが、ハードルの高い企画実現のため僕が持ち合わせていない能力を発揮し一緒に壁を乗り越えてくれた「表・表」変貌の人でした（笑）
男2人フィンランドへビジネストリップ
はい、ここからようやくフィンランドを訪れた話です。上記したように昨年11月にフィンランドへ行ってきました。フィンランド訪問のきっかけは僕にとって完全に「表・表」な人・沼田さんです。
川崎フロンターレは2021年からフィンランド政府観光局のスポンサードを受けています。FINLANDランド開催時に掲出しているフィンランド国旗のビッグフラッグやのぼりの製作、そしてフィンランド製のテントサウナ「SAVOTTA」や「MISA」のサウナストーブなどは全てこのスポンサードの費用で購入しています。そしてこのスポンサード調整をやってのけたのがこの沼田さんなのです。「フロンターレは都市型クラブでファン・サポーターが多く発信力がある。特に川崎は羽田空港へのアクセスがよく、羽田からのヘルシンキ直行便が開設される今、タッグを組むのに最適な相手」とフィンランド政府観光局への交渉、説得をしてくれました。このスポンサードを受けてフロンターレは2021年FINLANDランドを開催したというわけです。ただフィンランド本国を実際に訪れたことのない僕がFINLANDランドのイベント統括をしているという妙。そんな僕に沼田さんは「アマノさん、答えはやはり現場と本場にあるもんです。フィンランドへ一緒に行きましょう！」とフィンランド行きを誘ってくれました。そしてそれはプライベートな観光旅行ではなく「FINLANDランドをさらに発展できるように」とフィンランド主要都市の現地観光局スタッフとのミーティングをセットしたビジネストリップとしてフィンランド政府観光局招待での訪問となりました。
「半裸の人たちが徘徊してても警察に尋問されない非日常空間イベントを作ろう！」とアホなことを全力でやり切る！ それがポジティブクレイジー！
スーツ姿の人と裸の人が談笑しているサウナ施設
今回のフィンランドビジネストリップの行程は5泊7日。「何だかんだ言ってアマノさんフィンランド遊びに行くんでしょ～」とクラブスタッフから揶揄されましたが、主要都市の観光担当スタッフとのミーティングはしっかり、びっちり入っていました。そして沼田さんは抜かりなく、「今後のFINLANDランドで展開するサウナにも活かせれば」と多種多様な「サウナ体験」の場も行程にびっちり組み込んでくれておりました（神様！）。
ミーティングの合間やミーティング終わりにサウナ施設訪問＆体験が組まれていたのですが、衝撃を受けたのが首都ヘルシンキにある公衆サウナ「UUSI SAUNA（ウーシサウナ）」。UUSIとはフィンランド語で「新しい」という意味ですが、まさに僕が日本のサウナでは見たことのない「新スタイル」なサウナ施設でした。まず店前に掲げられているSAUNA看板を除き「ここでサウナに入れる」という雰囲気はなく、小洒落たバーレストランのいで立ち。開放感のあるガラスの扉を開けて施設の中に入ると牛柄模様のおっきい犬が来訪者を気にせず地面に寝ています。軽快なフィンランドPOPミュージックが店内には流れていて中に入っても「どこにサウナがあるの？」って再度聞きたくなるほど。ただここが普通のバーレストランではないってことに気付かされる風景がすぐ目に飛び込んできました。それは下半身にバスタオルを巻いただけの上半身裸のおじさんがテーブル席でハンバーガーをムシャムシャ食べています。そしてそのテーブルの向かい側には、そのおじさんの友人らしき人物がなんとスーツ姿でワインを飲んでいるという！ 裸のサウナーと仕事帰りのビジネスマンがナチュラルに談笑している。ここ何屋さん?? って感じでした。結局、日本みたいにサウナが目的で施設利用料を支払って中に入り、サウナを利用してから食堂へ行くのではなく、まずは「サウナに入っても入らなくても店内のバーレストランに。そこからサウナを利用する人は、どーぞ、サウナ室へ」っていう施設の作りが、目から鱗でしたね。サウナ施設なのにサウナがマストではない施設。バー店内にダーツやビリヤードがある感覚でのサウナ。利用してもしなくてもその空間を自分のペースで楽しめばいいという開放感は衝撃そのものでした。
バーレストランスペースはもちろんフリーで入れて、サウナの利用料は日本円で2000円くらいですかね。バーカウンターにいるお兄さんにサウナ料金を支払って奥の通路に進みます。
この日は、サッカーフィンランドリーグ・HJKヘルシンキに所属するプロサッカー選手の田中亜土夢くんと合流して一緒に入りました（亜土夢くんの話はまた次回で詳しく！）
バーレストランは華やかでとても近代的な感じだったんですけど、サウナ室は照明が落とされコンクリート打ちっぱなしのとてもモダンな作りでしたね。なんか鍾乳洞の中で蒸されているかのような。シンプルさと静寂さがとても居心地良く、温度も湿度も高めでめちゃくちゃととのいました！
今回、第6話でフィンランド訪問記を書ききろうと思ったのですが、話が横道に逸れてやっぱ無理でした笑。次回の第7話でも引き続き衝撃のフィンランド訪問記をお届けいたします～。
それではモイモイ～。
天野春果（あまの・はるか）
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール（現川崎フロンターレ）に就職。以降、”J最強企画屋”としてサポーターに愛される。
※川崎フロンターレ事業部部長・天野春果「企画屋アマノ〜アイデアのととのえ方〜」今までの記事はこちらから！
