川崎フロンターレ事業部長天野春果#8/フィンランド探訪③

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ついに来れた! 世界最古と呼ばれるサウナ「ラヤポルティ」

クーマのレストランで少し遅い昼食を取った後、沼田さんに「アマノさん、最新のサウナの次は最古のサウナへ行きましょう」と次なるサウナ「ラヤポルティ」へ。実はこのサウナ、すごくすごく行きたかったフィンランドのサウナの一つだったんですよ。僕のフィンランドのサウナ知識は、岩田リョウコさんという方が上梓している「週末フィンランド」から得ています。鶯谷にある「サウナセンター」へ行った際、フロント入口でこの本がなんと岩田リョウコさん直筆サイン入りで販売しており、迷わず購入した僕にとってバイブル的なフィンランド本ですね。今回がフィンランド初訪問の僕にとって、岩田さんが「フィンランドに持っていくべきアイテム」と本で紹介している物は従順にすべて持っていきましたし、岩田さんが紹介しているサウナ施設のページは冗談抜きで擦り切れるほど、暗唱できるほど読み込みました。そんな僕のフィンランド教祖様・岩田さんが紹介していたサウナの一つがこの「ラヤポルティ」だったので行かないわけにはいきません。ラヤポルティは1906年に開業したフィンランドに現存する最古のサウナと言われており、サウナは今でもほとんど当時のままのつくりとのこと。1906年って日本でいうと明治39年ですよ。日露戦争が1904年に開戦されているのでその2年後にはフィンランドの人たちはサウナでととのっていたわけです。というか、フィンランドはロシア帝国の自治領で1917年に独立して建国したわけだから、厳密に言うと国ができる10年以上前にラヤポルティサウナはできてたってことなんじゃん!!!! すげ~なラヤポルティ!!

クーマからタクシーで20分くらいでラヤポルティに到着。太陽も沈み結構暗かったので周りの風景はいまいち分かりませんでしたが、全然開かれた場所ではなく、フィンランド現存最古だからといってショーアップされているわけでもなく、住宅街の一角にポツンとそのサウナはありました。公衆サウナのため基本的には日本の銭湯よろしく地域住民の方が利用する為、看板も料金表も英語表記もなくフィンランド語のみ。建物の壁面にはSAUNAの表記はあるんですが、長年の雨風で文字が削られたのか薄―くなっていてその歴史を感じることができます。

ラヤポルティの入り口で、これまた沼田さんの仕事仲間でフィンランド政府観光局の国際部トップのテームさんも合流していざラヤポルティサウナ内部に! サウナ室は男女別々に分かれていてそれぞれ一室ずつ。水着ではなく全裸で入るため、サウナ室前の部室のような更衣室で服を脱ぎます。ロッカー室の奥に扉があり、その扉を開けるとすぐサウナ室。扉を開けて驚いたのが、「シャワーがない」「座る場所がない」「そもそもサウナストーブがない」の3拍子サプライズ! 裸でいきなりオロオロしちゃいましたよ「え~!? これどうしたらいいの??」って。

僕がマゴマゴしていると、常連らしきフィンランド人のおじさんがフィンランド語で話しかけてきて僕をサウナ室の奥に連れて行ってくれました。奥のスペースにはお湯がたまった湯船のようなものがあり、身振り手振りで「まずこれを浴びて体を流して」と教えてくれました。

室内をよくみると座る場所は室内の中にある階段をのぼった上にありました。そして肝心のサウナストーブは地面から見える位置ではなく、僕の背丈よりも高い位置に設置されており、ロウリュをする際には特大のラドルで自分の目線からは確認できないサウナストーンに背伸びしてかける日本では体験したことのないスタイル。

そして、このラヤポルティのサウナストーブの興味深いところは、「男女共有」になっていて僕が行った時には「男性側からのみ」しかロウリュができないんですよ。これは何を意味しているかというと、女性側のサウナ室温は女性客がコントロールできず、男性側でロウリュし続けたら、女性側もアチチアチチ状態になるという、まさに一蓮托生道連れサウナ。これ実際女性側から「そんなにロウリュしないでよ!!」とか「ちょっとちゃんとロウリュしてよ!!」とか声が上がらないんですかね(苦笑)。

サウナを味わう階段上のスペースは3畳くらいですかね。天井ギリギリの薄暗い場所に地元フィンランド人の常連の方々と長椅子を詰め合って8人くらい座れたかな。もう隣の人と肩が触れ合うなんてもんじゃなく、ぴったり密着してお互いの汗を共有しました(でも全然不快じゃなくてむしろ一瞬で僕もご近所さんのような感覚に)。

サウナでしっかり汗をかいた後は更衣室を通り抜けて、再び建物の外に出て外気浴。印象深かったのはサウナ室のある建物の前に「売店」のような建物があり、そこでフィンランドのサウナドリンクと言われる「ロンケロ」が購入出来て、外気浴と合わせてロンケロを飲みながら仲間と談笑する姿です。ロンケロはノンアルもありますが実際多くの人がアルコール入りロンケロを飲んでおり、医学的には推奨されないんだろうけど、サウナの合間に仲間との時間を楽しむのに必要なアイテムだと感じました。日本だと「サウナに来たからにはサウナ何セット入ろうかな、入れるかな」とかサウナにガッつくとこってあるじゃないですか。現に僕もそういうところがあるので、実際に今回沼田さんやテームさんと一緒にロンケロ飲みながらたわいもない話をしてゆっくり過ぎてゆく時間が心地よくて、あらためてサウナは「目的」じゃなくて、心身ともにリラックスして仲間と親睦をはかる「手段」なんだなと思いましたね。

タンペレは日帰りだったので、その日のうちにまた高速鉄道に乗ってヘルシンキに戻りましたが、NOKIAアリーナ見学、クーマサウナ&ラヤポルティサウナ体験と一日まるまるサウナ超満喫DAYだった為、帰りの電車の中では爆睡でした(笑)。

あ~結局タンペレのサウナ体験だけでこんな文字数になってしまった!!

今回でフィンランド探訪記は最終回にしようと思っていましたが、次回第9話に持ち越し(笑)!

だってこのタンペレのサウナ以外にも紹介したいフィンランドのサウナをたっぷり堪能してきたので駆け足でお届けするのはもったいないですからね。

それではモイモイ~。

フィンランドに現存する最古のサウナ「ラヤポルティ」
つくられたカッコよさでなく、歴史が築いたカッコよさがありますよね
サウナとサウナの合間にフィンランドのサウナドリンク「ロンケロ」を飲みながら談笑。
この日あったばかりのタンペレ観光局のテームさんともすぐ仲良しに。スポーツとサウナの共通点は「人と人を繋げるチカラが半端ない!」ってとこですね

天野春果(あまのはるか)
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール(現川崎フロンターレ)に就職。以降、”J最強企画屋”としてサポーターに愛される。
※川崎フロンターレ事業部部長・天野春果「企画屋アマノ〜アイデアのととのえ方〜」今までの記事はこちらから!

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