日本のプロ野球界きってのサウナ愛好家・千葉ロッテマリーンズの石川歩投手にご登場いただいている当連載。毎月、アスリートならではのサウナの愉しみ方をうかがっています。
前回(#8)の連載取材時に、「石垣島でのキャンプ中に利用するつもりだった宿舎のサウナが故障している」というアクシデントを耳にし、それがずっと気になっていた私たちSAUNA BROS.編集部。サウナ好きにとって長期間、サウナに入れないというのはかなりの非常事態ですからね。ということで、今回はまず、その話題から聞いてみましょう!
久々に陥った「サウナピンチ」。その顛末は――?
――今月もお忙しいところすみません。よろしくお願いいたします!
「いやいや大丈夫です。こちらこそ、お願いします」
――早速ですが、前回、石垣島で「サウナに入れていない」と少々寂しげな表情でしたが、その後、どうだったんでしょうか?
「そうでしたね。いや、ちょっと久しぶりにコタえましたね。あのあともかなり入れなくて……。1週間以上、いや10日間くらい、サウナに入れなかったと思います」
――石川さんにとって、それだけの期間、間隔が空くというのはよくあることですか?
「いや、ほとんどないですね。10日くらい入れなかったってなると、かなり久しぶりです。コロナで緊急事態宣言だったり自粛みたくなっていたあの時期以来じゃないかと思います。いや、けっこう思いつめる感じ(笑)、ありました」
――思いつめる(笑)。分かります。ちょっとした禁断症状に近い感じというか。
「そうですね(笑)。いや、もう、普通に『どんなサウナでもいいから入りたい』ってなりましたね、久々に(笑)」
――キャンプ中で、それなりに体も動かしているわけで。
「キャンプ以降はいろいろ計算して調整も兼ねているので、そこまで疲労がたまることはないんですが。でもやっぱり『リラックスしたいな』『外気浴したいな』みたく、気持ち的にも求めてきますよね」
――それで、およそ10日ぶりに。
「前回ちょっとお話しした、近くのテントサウナへ行きました。いやぁ、気持ちよかったです。向かう間は『やっと入れる』って思いましたね(笑)」
――思わず高揚してしまったり?
「そんなにワクワクしたり、興奮したりとかはないですよ(笑)。普通に、淡々と、って感じです。まず水風呂の水温をチェックして、『なるほどね』みたいな感じでいろいろ確かめたりとかしながら、入念に楽しみました」
――気持ちよかったですか?
「そうですね。『これだよ、これこれ』って感じではありましたね(笑)」
――テントサウナっていうことは、薪ストーブでロウリュとかしたり?
「そうですね。薪ストーブの気持ちよさもありましたし、温度設定じたいも熱めだったんですよ。軽く100℃以上は行ってたんじゃないかと思うんです。だから、ロウリュも1杯、水をかけたらもうその時点で相当にアツくて」
――普段は2~3杯、水をかけるくらいがちょうどいいという石川さんが。
「いや、本当にアツかったですね。もう、テントを出るときも、身をかがめ気味で小走りになって出る、みたいな感じで」
――実際の温度も、蒸気を含めた体感温度もアツめが好きな石川さんがそうなるって、相当ですね。でも、100℃以上で、ひしゃくのサイズというかお水の量も多かったりストーブとか石の量が強力だと、まぁ、そうなりますよね。
「それが、ひしゃくとかラドルじゃなくて、コップだったんですよ。ちょっと面白いですよね」
――それって水をかけて蒸気からすぐ逃げるやつですね(笑)。
「はい。でも、やっぱり気持ちよかったですね。水風呂も水温をチェックして氷をさらに準備してもらったので、2、3セット目くらいにはかなり冷たくなって。夕方近くの時間帯に行ったので、外気浴も本当にちょうどいい気温の中で心地よい風を浴びるみたいな感じで。良かったですね」
――いいですね。めちゃくちゃ気持ちよさそうです。
「そのテントサウナの施設と、あともう1軒、近くに新しくオープンするっていうジムのサウナへも行きました。そこはまだ開業前だったんですけど、たまたまた知り合いの方が話をしてくれて“プレオープン”みたいな感じで入れてもらったんです」
――おお、石垣島も次々にやはりサウナ施設が出来ているんですね。
「そうですね。ほかにも僕が行った街の中にあるテントサウナの施設とは別に、海辺にテントサウナを設置した施設もあるらしいんです。僕は今回、都合があわなくてそこへは行けなかったんですけど、行った選手もいたみたいです」
――でも、良かったですね。今年はそういういろんな施設が出来ていて。もしなかったら、キャンプ期間中、完全にサウナ断ちってことだったんですよね。
「そうなりますよね。危なかったです(笑)。そのニューオープンのジムのサウナも、少し小さめでしたけど手作り感のある感じのサウナ室で普通に気持ちよかったので、なんとか乗り切れましたね(笑)。
来年はそうしたテントサウナやジムのサウナにももっと行こうかなって……さらなるアップデートを期待したりもしてます。ちょっと気が早いですけどね(笑)」
近未来!? 超穴場!? 今月も貪欲に新規開拓!
――石垣島キャンプを打ち上げられて、その後は?
「僕は調整もあって、オープン戦にチーム帯同せずに先に関東に戻ってきました。今は浦和などでトレーニングしています」
――石垣島もそうですが、東京や千葉、埼玉にも次々に新しいサウナ施設がオープンしています。
「本当にそうですね。僕も時間や都合が合ったときにいろいろと行っています」
――さすがです。最近ではどちらか行かれましたか?
「新しく出来たところでいうと、東京・麻布十番にある『AZABU SAUNA TENQOO』ってところが、ちょっと面白かったですね」
――2月末にオープンされたところですね。予約制の貸切個室サウナ。面白かったというのは?
「パソコンとかスマホで予約時に顔認証の登録をするんですよ。で、当日行ったときに、ドア横のモニターに顔を映すんです」
――すごい! ハイテクですね。
「スゴイなって思いますよね。最近増えてきた、そういういろんなことが新しい系の施設でした(笑)。で、サウナ室も当然キレイで、ロウリュもできて、雰囲気も割と良くて。水風呂も15~16℃くらいのやつがしっかりあって、休憩スペースもきちんとあって個人的には良かったですね」
――最近では個室サウナや貸切サウナも、水風呂が当たり前のように付いていて。
「それ、ありがたいですよね。僕も個人的にはシャワーだけよりも水風呂がある方がどっちかというと好きなんで。『SaunaLab Kanda』とかは別格で、あそこまで行くと水風呂があるとかないとかはぜんぜん関係なくなっちゃうんですけど、基本的にはやっぱり水風呂があるところへ行きたいなって思いますから」
――そういう風に利用者の好みにあわせて、本当にどこも進化していますよね。そして、このお写真を撮ってきていただいたのは――。
「『サウナリウム高円寺』っていう施設にも先日行ってきました。去年の秋くらいにオープンしたと思うんですよね。ずっと気になっていたんですけど、高円寺ってなかなか行く用事もなかったので行けていなかったんですが」
――こちらは、確かに気になっていました。いかがでしたか?
「そうなんですね。行ってみて……良かったです。サウナ室も広めで、オシャレというか雰囲気があるんですよ。天井は少し高めなんですけど、座面が3段あって、最上段の3段目に座ってみると天井がめちゃくちゃ近いんです。僕は頭が天井ギリギリくらいでした。だから、かなり熱くていい感じでしたね。セルフロウリュもできて、すぐに3段目の自分の席に戻ると『おうぅ』っていうくらい、すぐにめちゃくちゃアツいっていう(笑)」
――いいですねぇ。
「けっこうロウリュのその熱さも滞在していて。その、ストーブにかけるアロマ水がほうじ茶の香りっぽい感じで、それがまたいい匂いでしたね。水風呂もイイ感じに冷たいし、そのあと屋上に上がって外気浴もできました」
――広いですよね。空が近い!
「1回、浴室を出て、フロントも出てから、サウナのあるフロア(4階)から階段を上がらなくちゃいけないんですけど、屋上へ出た瞬間、この空間って最高だなって思いました。高円寺って聞いてちょっと街の中なのかなって印象で行ったんですけど、いい意味で思っていたようなところじゃなくて。駅からも少し離れているんで、なんていうのか……外気浴でめちゃくちゃのんびりできたっていうか」
――これ、夕方ですか? 西陽っぽい光もいいですね。気持ちよさそう。
「最近は貸切のサウナとか個室のサウナも多かったんですけど、こういう広いサウナ室とか水風呂とか、休憩スペースとかはやぱりいいなって思いましたね。時間を選んでいけば、かなり穴場だなって思いました」
――すぐにでも再訪したそうな口ぶりですね(笑)。
「そうですね。行けたら行きたいです。あと、西荻窪の『ROOFTOP』もたぶんここから近いじゃないですか。実は『ROOFTOP』も行ったことがないんで、このあたりにはちょっと用事ができたらいいなって(笑)」
――確かに近いですね。数駅です。「ROOFTOP」はまだ行かれていないんですね。
「なんかやっぱり混んでいそうで、なかなか(笑)。ただ最近は、TwitterとかいろんなSNSやサイトで混雑状況とかがリアルタイムで分かったりするじゃないですか。ああいうのがあってありがたいですよね」
――いや、本当にそう思います。さまざまな施設が進化していますからね。ありがたい限りです。
直球クエスチョン! いま本当に気になるサウナ施設は?
――いろいろな施設の情報を毎月教えていただいてありがとうございます!
「いえいえ(笑)。でも、シーズンに入ってしまうと新しいところにはなかなか行かれないので」
――本当にいろんなサウナ施設がオープンしたり、アップデートしたりしていますからね。
「ほかにもまだ行ってみたいところはありますし、この春も、いくつか気になる新規のオープン情報があるじゃないですか」
――たとえば、どちらが気になっていますか?
「今オープンしているところだと……東京で言えば、渋谷の『サウナ道場』とか、気になってますね」
――あ、気になっている理由がなんとなく……。そのストイックなネーミングとか、あとは……。
「はい。水風呂ですね。めちゃくちゃ冷たいっていう噂を聞いてます。シングル(=水温1ケタ)らしいって」
――はい(笑)。
「3月以降も大型の施設が本当にいろいろと出来ますよね。赤坂の『サウナ東京』(「Sauna-Tokyo」4月開業予定)」、銀座の『コリドーの湯』(「銀座 スパ&サウナ コリドーの湯」)とか。まだ名前だけしか把握していないですけど」
――いやいや、すごいですね。マジでさすがっす(笑)。本当、我々もどこへ行くか、毎日悩みそうなくらい新規の施設が出来ますね。
「はい、選択肢がどんどん増えるなっていう。楽しみですね」
いよいよ始まる10年目のシーズンに向けて
――さて、いよいよペナントレースも迫ってきました。シーズンに向けての意気込みも教えてください。
「そうですね。調整があって3月31日の開幕からほんの少し遅れての合流になるかと思うんですが、以降はしっかりと、シーズンを通じてチームに貢献できればと思っています」
――今季はプロ10年目のシーズンですね。もしあれば、でいいんですが、数字的な目標とかは……?
「あ、僕はぜんぜん数字とかの目標はないんですよ」
――そうなんですね。
「むしろ、投げる試合すべて……1登板1登板を大事にしながらシーズンを投げ終えれば成績はついてくると思うんで。もちろんチームとしては優勝を狙っていますし、それに向けて僕も淡々と出来ることを精いっぱいやっていければと思っています。若手も、勢いがある選手もたくさん出てきているので、期待していてください」
――頼もしいお言葉、ありがとうございます。2023年シーズンもサウナで英気を養いつつのクールでホットな活躍を待っています! ちなみに今日は浦和で練習中ですが、このあとは……?
「今日ですか? やっぱりどこかには寄ってから帰りたいですね。浦和にも個室サウナが出来たらしくて、そこも気にはなっているんですよね(笑)」
1988年4月11日生まれ。富山県出身。右投右打。滑川高から中部大、東京ガスを経て、2013年ドラフト1位で千葉ロッテに入団。2014年に新人王。2016年に最優秀防御率のタイトルを獲得。ストレート、シンカー、カーブ、スライダー、フォーク等多彩な球種と精緻な制球力を武器に活躍。