TWS社長・天野春果連載⑯アナタの知らないウィスキングの世界

モイ~。

本日も祖師ヶ谷大蔵駅前にあるマイホームサウナ「自問自答」のととのいチェアに横たわりながらこの原稿をスマホでポチポチ書いています。

今年1月末で川崎フロンターレを退職、2月に仲間と会社を立ち上げ約半年が経とうとしてますが、振り返るとバタバタの日々であっという間でしたね。

僕は事務戦闘能力が限りなくゼロに近く、ドラクエで言ったらスライムにもやられちゃうレベル。会社を一緒に立ち上げた恋塚唯(元フロンターレ同僚、元アルバルク東京GM)が融資、財務、法務、オフィス立ち上げなど全部ひとりで進めてくれて、4月から会社に合流した谷田部然輝(これも元フロンターレスタッフ)と共にととのえてくれました。

会社は一応僕が代表を務めているため、事務手続きが色々ありますが、2人から言われるがままに「この契約書にサインしろ」「この契約書にハンコ押せ」「●●へ行って挨拶してこい」

と全て指示通りに動き今のところ順調に進んでいます。2人とも僕と20年来の付き合いで僕の【使いどころ】【使えなさ】を理解してくれているので、2人が担いでくれる神輿にのっかっている感じです(感謝)。

サウナへ行く回数は川崎時代より現状減りましたね。川崎時代もバタバタと生活していましたが、今はサッカー以外の活動もありがたいことに色々入ってきて、休みという休みがない状態です。まぁでも僕の場合、もともと生活は「公私混同」タイプなので、「ここからが仕事」「ここからがプライベート」みたいな線引きはないため、休みは必要ないですけどね。ただ「サウナへ行く時間」が現状物理的に取れなくて減った感じです。

先日、南葛SCの選手たちとサウナ施設で活動があり、活動後に皆でサウナ入る予定でしたが時間が押してしまい、その後に入っていたミーティングに出席するため、サウナ施設にいたのにサウナに入れず、サウナハットを引っ張られる思い……もとい後ろ髪を引かれる思いでサウナ施設を後にしました。

これ、食事で例えるなら「うな重」が目の前に運ばれてきて、上蓋をとった瞬間、ウナギの甘い芳醇なタレの香りを体いっぱい吸い込んで、ホクホクのウナギの身に箸を通そうとした瞬間に上蓋を閉じられた感じ。サウナ施設を後にしてミーティング会場にむかう電車内のアマノの顔は「逆ととのい」の相当イッちゃってる表情だったと思います。

まっ、サウナへ行く回数が減ったといっても週2回は最低行ってますけどね(笑)。

さて、今号ではサウナ好きな人なら聞いたり、実際に受けたことがある人もいるだろう「ウィスキング」の世界について話したいと思います。

本来、今号では現在僕がプロモーション部部長として携わっている地域スポーツクラブ・南葛SCのサウナ活動についてお届けする予定でしたが、このプロモ-ション企画のプレスリリースが、7月1日になったため、南葛サウナ活動は次号でじっくり書きたいと思います。

目次

たかが「ウィスキング」って思っていた

今年の4月、南葛SCのスポンサーさんと打合せをしていた時「アマノさん『ウィスキング』って体験したことあります?」と質問を受けました。

ウィスキングという言葉は、それこそ雑誌「SAUNA BROS.」でも登場するし、サウナを特集したテレビ番組でもたびたび登場するので知っていました。

2年前に行ったフィンランドでは、ウィスキングに使用する白樺の若木を束ねた「ヴィヒタ」がスーパーで売られていて、実際に購入してサウナ室内に持ち込みヴィヒタでバチバチ身体を叩いていたのでウィスキング体験もしたことがあります。日本でも、川崎フロンターレ在籍時代に開催した「FINLANDランド」のテントサウナ体験会でもヴィヒタを用意していたくらいなので当然「ウィスキング体験したことあるよ」と答えました。

するとその方が「先日、ウィスキングマスターと呼ばれる人のウィスキングを受けたんですけど、これが昇天するくらい気持ちよかったんですよ!サウナの究極のととのいはウィスキングとセットだということが分かりました」と。

先述した通り、ウィスキングってヴィヒタで身体をバチバチ叩く行為で、一緒にサウナに入った仲間にやってもらったり、僕が仲間の身体をバチバチ叩いたりしたけど、「昇天するくらい気持ちよい」かって聞かれたら別にそんなことはなかったんですね。

アロマ水に浸したヴィヒタでバチバチする時に「白樺のいい香りがするなぁ」くらい。血行が良くなると言われてるけれど、マッサージ屋さんに行ってカラダ全身指圧をしてもらうわけではないから「血行が良くなる」を感じることもない。「昇天する気持ちよさ」にほど遠いウィスキング体験しかしたことなかったので、「いやぁ~ウィスキングごときで昇天することなんてありえないでしょ。大袈裟だなぁ」と返答しました。

すると「いや、僕も最初『たかがウィスキングでそんな気持ちよいわけないでしょ』って思っていたんですよ。でも施術後には『天に召される時はこんな感じだろう』と思うくらいイッちゃいますから!」と力説するんですね。

そんな体験談を聞いても半信半疑ではありましたけど、もしそんな「アマノの知らないウィスキングの世界」があるなら体験したいと思い、そのウィスキングマスターが行うウィスキング体験会をセッティングしてもらいました。

2年前、フィンランドへ行った際にスーパーマーケットで購入したヴィヒタ

ウィスキングマスター・ネバーニャさん

スポンサーさんから紹介してもらったウィスキングマスターの方の名はネバーニャさん(instagram@nebanya)。

ネバーニャさんは石川県金沢市出身で、大学卒業後に三井物産に就職。その際に商社マンとしてロシアに4年間在住。ロシアでの生活の中でサウナ(※ロシア語でバーニャ)に出会い、サウナが日常生活の一部に。ロシアでは商談の際の接待でバーニャの中でウィスキングを受けることがあり、この体験を通して、ウィスキングの虜に。以後、ウィスキングを受ける側でなく「この魅力を多くの人に届けたい」とウィスキング技術を習得し2021年7月、モスクワで開催されたバーニャフェスのウィスキングロシア全国大会にて、日本人として初めてウィスキングを披露したとのこと。

日本に帰国後、三井物産を退職して、ロシアのバーニャ文化・ウィスキングを日本に広めるべく、日本初のウィスキングスクール「Progress」を開講。講師として、そしてプロのウィスキングマスターとして活動されているネバーニャさんなのであります。

ネバーニャさんは全国各所で行われるサウナイベントに招かれ、ウィスキング体験会を実施されていますが、今回は何と何とこのアマノのためにネバーニャさんの事務所にてウィスキング体験をさせてもらえることに!!

南葛SCのスポンサーさんがこの貴重な体験会をセッティングしてくれたことには大変感謝なんですけど、そもそもネバーニャさんの事務所は東京のど真ん中。しかも一軒家ではなくアパートかマンション的な建物名の『3階』。「その建物の中にサウナあるの?」「水風呂って浴槽に入るってこと?」などなど、どんなシチュエーションでウィスキングを受けるのかイメージができず不安が募っていました。

ウィスキング体験当日、最寄り駅に到着しグーグルマップに指示のあったネバーニャさんご自宅住所を入力し歩くこと5分。まったくもっての「路地裏」に到着。しかも指定された住所前の建物は築30年は経ってるだろうアパートで「これ、完全に違法マッサージの部屋を指定された感じじゃん」と不安で引き返したくなりました(大汗)。

するともう1本奥の路地から超さわやかな笑顔でネバーニャさん登場。「建物が分かりづらくて」と迎えに来てくれました。ネバーニャさん事務所は超おしゃれな建物で、事務所兼ウィスキング講習会会場としても使用しているとこのこと。

3階の部屋にお邪魔すると部屋の中から建物の屋上につながる階段があり、屋上にテントサウナと水風呂が設置されていました。全然、浴槽が水風呂じゃなかったです(笑)。「内見してすぐこの物件契約しました」とネバーニャさんが言うくらい、ルーフトップでテントサウナ、水風呂が楽しめちゃう超うらやましい構造の事務所!!

テントサウナ設置のためにこの構造になっているわけじゃないですけど、こんな構造のマンションがあるとは。防音壁完備の演奏家専用マンションや部屋の中にバイクを止めれるバイカー専用マンションとかは聞いたことあるけど、サウナー専用マンションとか売りだしたら需要あると思いますけどね。あっ、わざわざテントサウナじゃなくて建物の中にサウナBOXがあればいいのか(笑)。まぁでもルーフトップのテントサウナ入って、水風呂後の外気浴が楽しめるのは気持ちよさが違いますね。毎日仕事から帰るのが楽しみになるなぁ。

都内某所にあるネバーニャさん事務所屋上。
テントサウナと水風呂プールが設置されている夢の空間!

ウィスキングの概念が変わる!

今回は、ネバーニャさんのテントサウナを味わうことが目的ではなく、ネバーニャさんのウィスキングを受けることが最大の目的。まずはネバーニャさんからウィスキングに関するレクチャーを受けました。

色々面白い話を聞いたのですが、その中でも面白かったのが「ウィスキング」という言葉ですね。ウィスキングって【英語】なんですね。よくサウナ用語ででてくるサウナストーンに水をかける行為=ロウリュは【フィンランド語】、サウナ室内で熱波を送る行為=アウフグースは【ドイツ語】です。そもそもSAUNAという言葉自体【フィンランド語】のため、ウィスキングも「フィンランド語なのかな」と思っていました。そんななか、「ウィスキング」という言葉はサウナがそんなメジャーではない国の言葉=英語だったとは驚きです。ネバーニャさん曰く「ロシアではウィスキングという行為は‟バーニャ”(サウナ)の一部であり、その行為自体がバーニャに含まれているため、ウィスキングにあたる言葉がない」とのこと。英語でWhisk(ウィスク)とは「小ぼうき・束・洋服ブラシ」などの意味があり、Whisk+ing=Whisking(ウィスキング)で「払う、降る、はたく」という動詞になります。これ、いったい誰が最初にウィスキングって名付けたんですかね? フィンランド語、ドイツ語、英語ではないですけど日本語のサウナ用語「ととのう」や「あまみ」も一回耳にした時は、「なんじゃそれ」って感じですけど、聞き慣れてくると、もうその「音」が一番言い表してるなって思っちゃいます。

その後、水着に着替えて屋上のテントサウナに移動。ここから実際にネバーニャさんのウィスキング体験会のスタートです。

ネバーニャさんのウィスキングはただ単にサウナ室内でヴィヒタで身体をバシバシ叩かれるわけではありません。テントサウナ内に設置されたマッサージベッドに横たわり、ロウリュで蒸気を充満させウィスキングを30分程度。その後、水風呂に移動し、ネバーニャさんに水風呂の中で身体を支えられながらの施術10分程度。そして最後に身体を拭いて下の階に降りて、セッティングされたマッサージチェアに横たわり、ヘッドマッサージを含む全身トリートメントを20分程度と、トータル1時間を超える施術です。もうここからウィスキングの概念が変わりますね。

まず、テント室内のマッサージベッドに横たわる施術からスタート。いきなりビックリしたのが、使用する若木を束ねた「ウィスク」。僕はウィスキングに使用する若木は「白樺の若木」=「ヴィヒタ」オンリーだと思っていたんですよ。しかしネバーニャさんがこの日用意していたウィスクは、ヴィヒタはもちろんのこと、「樫」、「クヌギ」「コナラ」「もみじ」の若木!! 「ええ~!? こんな身近にある木もウィスクになるの??」とめちゃくちゃ驚きました(これらウィスクに使用する若木は日本のキャンプ場で採ってきたと言ってました)。

そしてネバーニャさんにこれらの若木でできたウィスクで実際に施術をしてもらいました。まずはマットの上にうつぶせに寝ます。じゅうぶんにロウリュし、温められたこれらウィスクを身体にあてられていくのですが、ビシビシと叩かれるわけではなく、どちらかというと押し当てられる感じ。

ウィスクからはこれでもかというくらい若木の良い香りが身体全体を包みます。

僕はクワガタ採集が大好きで、今でも高校生になる息子とヒラタクワガタ採集のために熊本まで行き、クヌギ・コナラ林の中を1日中歩き回っていますが、クヌギ、コナラの若木がこんなにも癒す香りで人を幸せに包み込むとは……。この多幸感をあたえるクヌギコナラの中、生活しているクワガタって1番のウィスキング体験者ではないだろうかと軽く嫉妬しましたね。今年の夏もクワガタ採集でクヌギ・コナラ林に入りますけど、クワガタ採集を忘れて、クヌギコナラの若木採集に走りそうな自分がいます。

その後、仰向けにもなりウィスキングを受けるのですが、体が真っ赤になるほどウィスクで叩かれたりすることはなく、どちらかというとテントサウナの中にいながら新感覚の森林浴をしているような感じでしたね。施術を受けている30分間、1度もテントサウナ外に出ることはないのですが、「このまま時が止まればいいのに」と思うほど快適で30分があっという間でした。

水着に着替えていざネバーニャさんのウィスキング体験! ウィスクに使用される若木は白樺だけでなく、樫、クヌギ、コナラ、モミジなど多種多様。
香りもそれぞれ違いますが、葉っぱの質感によってウィスキング使用用途も変わるなど奥が深い!
しっかりロウリュし蒸気で満たした室内にてウィスキングするネバーニャさん。1人につき70~90分近くのウィスキングを行うと相当体力を消耗するため、ここでの実施は1日2人程度とのこと
クヌギのウィスクに顔を覆われるアマノ。
気分はもうカブトムシ、クワガタと一緒。
こんな良い香りの中で生活しているカブトムシ、クワガタに大いに嫉妬!

自分がどこにいて何してるか分からなくなる、不思議発見

多幸感に包まれたテントサウナ室内での施術を受けた後、ビニールプールの中での施術に移行していきます。先述通り、ネバーニャさんが僕の身体を水の中で抱きかかえて浮遊させるのですが、これがまた今まで体験したことのない感覚! そもそも水の中で誰かに身体を支えられてプカプカしたことなんてあります?そんな経験したことある人なんてスイミングスクールに通う小学校低学年の初級コースか妊婦さんが通うマタニティースイミングくらいじゃないですかね。しかもテントサウナに30分ほど入った後に水温19~20℃の水風呂で身体にチカラを一切入れずプカプカ浮遊するんですぜ。

しかも目を閉じて浮遊しているので、水風呂の気持ちよさと脱力感100%の浮力が混ざり合って、もう自分がどこにいて、どのくらいの長さ何してるのか分からなくなるくらい「飛んじゃい」ました。これが脳内麻薬ってやつなんですかね。恐るべしネバーニャ!!

その後、下の階のマッサージベッドでボディケアを受けるのですが、ここでネバーニャさんがまた特殊な「音」を鳴らすんですよ。静寂な空間の中で色んな音階の普段の生活では聞き慣れない「音」を!!「水」攻めの後の「音」攻め!!

ここでも浮遊した水風呂同様、いったい自分がどこにいて何をどのくらいの時間受けているのか分からなくなる感覚に陥ります。

そしてここでネバーニャさんの施術の極意を理解しました。

ネバーニャさんのウィスキングとは「人間の五感」を短時間に複合的に刺激する究極のリラクゼーションなんだと。目・耳・舌・鼻・皮膚を通して生じる5つの感覚。普段、あまり意識していない視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚をビクンビクン感じちゃう時間の提供。えっ!? 味覚はどこで? すべての施術の後、ネバーニャさんの奥さんが僕のためにフルーツ盛り合わせを出してくれました! これがまた美味いこと美味いこと(笑)。まっ、味覚はウィスキングでは感じられないので「四感」ですけど、とにかく今まで自分が経験してきたウィスキングが如何に「部分的」だったのか分かりましたね。こういうウィスキング世界があるのかと。

今回、ネバーニャさんのウィスキングを体験してみて、サウナの活用方法、サウナの効能ってホントに幅広いなって思いました。もちろん、なーにんも考えずにポケーっと入るサウナも大好きですけど、まだまだ知らないサウナが絡んだ世界を体験してサウナのチカラを最大限引き出せる活動をしたいなと思いました。

それでは皆さんモイモイ~。

テントサウナでのウィスキング後は、水風呂プールでネバーニャさんに支えられての浮遊体験。少しずつ回転させたり身体を上下に傾けるんですが、それがまた絶妙でもう自分がどんな体位してるのかも分からなくなります
水風呂後はヘッドマッサージや再びウィスクを使用しながらのリラクゼーション。
施術の中で不思議な「音」を奏でる楽器を使うネバーニャさん。これが深いととのいを誘うんですよ。

ネバーニャさんのウィスキング体験にご興味ある方はぜひ直接ネバーニャさんにお問い合わせを!

天野春果(あまのはるか)
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール(現川崎フロンターレ)に就職。以降、”J最強企画屋”としてサポーターに愛されてきた。27年間勤めた川崎フロンターレを退社後、新会社Two Wheel Sports(略してTWS)を設立。代表取締役社長に就任した。
※天野春果連載「企画屋アマノ〜アイデアのととのえ方〜」はこちらから

自問自答 祖師ヶ谷大蔵駅
■住所:東京都世田谷区祖師谷3丁目32−14 YAMATOYA BLD 1F
■営業時間:24時間営業
※男性専用、会員制のサウナ施設
※その他詳細はこちらから

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