天野春果連載㉜偶発遭遇した品川サウナがいろいろとステキすぎた

モイ~。

本日も祖師ヶ谷大蔵駅前にあるマイホームサウナ「自問自答」のととのいチェアに横たわりながらこの原稿をスマホでポチポチ書いています。

連日猛暑だった夏も終わり、過ごしやすい穏やかな秋に突入するかと思いきや、この原稿を書いている11月中旬の東京の温度はシングル9℃(水温ではありません)。もう冬ですよ。最近の日本は「春夏秋冬」ではなく「夏」の後、いきなり「冬」って感じですよね。この原稿を書いている休憩スペースの室温もグッと低くなったため、油断して裸で1時間もととのいチェアにそのまま横たわっているとマジで風邪ひきます。心身ともに「ととのう」はずのサウナで体調崩しては本末転倒なので、最近では水風呂後、頭から足まで完全に水気を拭き取り、下半身にバスタオルを巻くのはもちろん、上半身も女性のように肩から下をバスタオルで巻き、小タオルで肩と顔以外を隠すミイラの『ツタンカーメン像』のようにしてチェアに横たわってます(笑)。

目次

未確認サウナの遭遇により打ち合わせに集中できず

先日、取引のある企業本社での打合せがあり最寄り駅の東京品川区の大井町駅で下車しました。駅から打合せ場所までの経路をスマホのグーグルマップで調べて歩いていたんですね。歩き出して2~3分した頃、2~30m離れたくらいの位置にある建物壁面に「♨」マーク、そしてその上に「サ」の文字が視界に入りました。アマノ、「えっ!?、えっ!? 何?」と軽く動揺。これ、どう考えても銭湯ではなくサウナ施設ですよね。

大井町駅を利用することは最近もあったのですが、大井町線「大井町駅」で降りて、目の前のりんかい線「大井町駅」に乗り換え移動するだけで大井町駅周辺をうろつくことは長いことなかったんです。駅近くにあるスーパー銭湯「おふろの王様 大井町店」には数年前までちょくちょく行っており会員証も持ってるんですけどね。「大井町におふろの王様以外にサウナ施設ができたのかも!」と思い、確認のためその建物前まで行きたかったのですが、打ち合せ時間が迫っていたためサウナ検索サイト「サウナイキタイ」で確認もできず後ろ髪を引かれる思いでその場を立ち去りました。

ただ打合せ中も「絶対サウナ施設だよなぁ。」「でも最近お風呂カフェみたいのもあるから違うかも」「もしサウナ施設ならサウナ室大きいかなぁ。水風呂何℃だろう」とか頭の中で色々考えちゃって、画面に映し出される資料をボーっと眺めているだけのアマノw。いつもは意見バンバンいうタイプなんですけど、この日は物静かで内向的なオジさんだと打合せ相手には思われただろうなぁ(苦笑)。

打ち合せは予定よりも早く終わり昼前だったため、同席してた人から「この後、ランチ一緒にどうですか?」と誘われました。が、「あ、あぁ~いやぁこの後また打合せがありましてぇぇ」(※この後に打合せは本当に入ってました! 4時間後でしたけど汗)と伝え、ダッシュで再び大井町駅方面に戻りました。途中、歩きながらサウナイキタイで改めて検索してみると先ほどの未確認建物は「品川サウナ」だと判明。「大井町だけど、品川?? まぁ大井町は品川区だから間違いではないけど、名称は『大井町サウナ』ではないのか……」とブツブツ言いながらサウナのスペックを調べてみる。サウナ室は2種類あって、一つのサウナは収容人数25人と書いてある。かなり大きい! 水風呂は3種類あって30℃、18℃、もう一つは低温グルシンの8℃!! 「ウホッ~! マジか!! なんてスマホ画面に集中してたらガードレールに激突しましたw(歩きスマホはやめましょう)。

打合せ場所へむかう途中の道で目に飛び込んできた「♨+サ」マーク。アマノ、このマークを見たおかげで打ち合わせ内容が全く頭に入ってきませんでしたw

サウナも多様性の時代です

僕は大体の場合、いつもカバンの中にサウナハット、化粧水や保湿クリーム、ヘアブラシなどのサウナセットを忍ばせています。ただこの日は打ち合せが2つ入っていたし、着脱がいつもより面倒くさいジャケット着用のセミフォーマルな格好だったため「流石にサウナには行かないだろうな」と、サウナセットをカバンに入れてなかったんですね。けれど『行ったことのないお初サウナと遭遇』&『自分好みのサウナ&水風呂スペック』だと判明して『行かない』なんて選択肢はありません。ルンルン気分で品川サウナの建物に入りました。この日は平日昼間でしたが、下駄箱が既に結構埋まっていて盛況。脱衣所&サウナは2階にあり階段を登ると脱衣所スペースはもう芋洗い場のように利用者でいっぱいでした。

そそくさと裸になり浴場へ。洗体した後、早速メインのサウナ室【空-KUU-】に入りました。

段は全部で3段ですが、2段目と3段目の高低差が大きく、3段目に座ると天井と自分の頭がかなり近かったです。完全黙浴でサウナ室内は静寂に包まれており、各々が目を閉じたり胡坐をかいて「瞑想」してます。中央にバカでかいサウナストーブが2基鎮座していて定期的にオートロウリュで高湿度をキープ。1、2段目に空きがなくいきなり3段目に座りましたがロウリュ後だとかなり熱かったです(というよりイタッって感じの熱風が押し寄せます)。そして何より室内がく、く、暗い! 今まで入ったサウナ室で間違いなく一番暗い! 暗すぎて壁面にある12分時計の針が見えず、何分入ってるか分からなくなる!

時計が見えないのは不便に感じるところではありますが、いかに普段、自分がどれだけ時計を見ながらサウナに入っていて「あと〇分入ろう」とか「長針が12を指すまで耐えよう」等、一人サウナ我慢大会をしているかを感じます。日常生活でせかせかと時間に追われ、時間に支配されているような世界から解放されるためにサウナに行ってるはずなのにね。今回、自分のペースで「苦しくなる前に出る」という基本中の基本を思い出しましたね。

【空-KUU】サウナと合わせて、同エリアにもう一つ【禅-ZEN】というサウナがありました。着座段に畳が敷いてあり、お茶でロウリュするなんとも「和」なサウナ。席数としては5~6人しか入れませんが、何やらサウナ室の奥のほうにもう一間ある。低い天井に頭をぶつけないように奥へ進むと一人分の体がスポッと入るくらいの空間があり、個室サウナのような感じ(閉所が苦手な人にはキツイかも)。ふと横を見るとホースが設置されていて、頭や体に水をかけられるようになってる。うーん、今までにないタイプで良き。てか、熱くなったら水かけて、また熱くなったら水かけての永遠ループで、サウナ出るタイミングを失う危険な場所じゃん(笑)。

程なくして【空-KUU】にて熱波師によるアウフグースがスタート。品川サウナは熱波師によるアウフグースに力入れているようで、ほぼ2時間に一回のペースで受けることができます。13時の回の担当熱波師はウエモリさんという細身長身のイケメン君。「全部で4セット、時間にして20分位行います~」とのこと。えっ!? 4セット? 20分? クッソ長い! と少々ビビりましたが途中で休憩TIMEがあること、無理せず自由に離脱OKとのことでしたので勇気をもって3段目へ! ワイヤレススピーカーからウエモリくんセレクトの大音量ノリノリMUSICが流れ、30人弱満席入ったサウナ室でウエモリ君タオル回しまくり! 良き熱風送りまくり! ウエモリ君の美技に感嘆しながら気持ち良すぎて楽しすぎて途中で抜ける選択肢はなく全てのセット完遂しました。静かに瞑想しながら入る一人サウナも良いけど、知らない者同士が熱波師の生み出すエンターテイメント空間で一つになれるショーアウフグースも僕は大好きですね。

品川サウナの入り口。品川サウナのロゴが家紋のように入った暖簾がドドーンとお出迎え。男性専用サウナですが、通りすがりの女性が立ち止まって中をチラチラ覗いてました
建物側面にはちゃんと「SAUNA」の看板出てました。どストレートな「SAUNA」の文字が逆にクールですよね。3年前にフィンランドを訪れた際、この手の看板を多く目にしました
ほぼカバンに常備しているアマノ「サウナセット」。しかしこの日は珍しく持っていってなかったんですよね
品川サウナの料金表。高すぎず安過ぎずというのが感想ですが、施設の立地や充実度を考えるとリーズナブルかなと
【空-KUU】の室内。写真では明るいですが実際はめちゃくちゃもっと暗いです。アウフグースを実施する時は明るいですけどね
【禅-ZENN】の室内。座面には畳が敷かれています。写真には写っていないですが、右手にホースから水を浴びながら入れる個室サウナのような一人用空間があります

偉人の名前がつく棚に「企画」の神髄あり

サウナ室を出ると徒歩「一歩」で水風呂。先述した通り2種類の水風呂があるのですが、まずは8℃の水風呂、その名もズバリ【シングル】から体験。今はもうないのかなぁ、小学校のプールで、プールに入る前に歩行しながら身体を洗浄(消毒)する縦長形状の水風呂に入水。こ、これは冷たいを通り越してイタイ! 10秒くらい浸かろうと思いましたが、もう通り抜けるのがやっとでしたわ。この水風呂形状&水温はウェルビー福岡の水風呂と似てますね。後日、施設HPを確認しましたが、この水風呂は「潜水OK」とのこと。冷たすぎてこの日の利用時間中に潜ってる人はいませんでしたけどね笑。

【シングル】のすぐ隣にもう一つ【リトルマーメイド】という名の水風呂があり、【シングル】でキンキンに冷えた体のまま入水。18℃の水風呂なので【シングル】の後では、さすがにぬるま湯に感じました。140cmと深度があり、こちらも「潜水OK」。さすがにこちらの水風呂は利用者の皆さん、「潜る←→水面に顔出す」を繰り返してました。水風呂名は【リトルマーメイド】ですけど、見た感じは僕も含めて水族館の「アザラシ」のようでしたわ笑。

水風呂の横には利用者各々のドリンクやサウナハットを置いておける小分けの棚が設置されているんですけど、それぞれの棚に「偉人の名前」が付けられています。この偉人名のチョイスがこれまた秀逸で、ヘレンケラーやベートーベン、エジソン、アインシュタイン、スポーツ界からマイケルジョーダンやマラドーナ、大谷翔平等、まぁ誰が聞いても「偉人」に分類される人達。ただその中に10人に一人くらい「偉人なのか??』とクスッとしてしまう名前、例えば「キン肉マン」とか「大橋巨泉」とかが混じっているんですよ。いったいどんな基準でセレクトしているのか分かりませんが、これ絶対、水風呂に【リトルマーメイド】と名付けた方と一緒でしょ苦笑。まぁ棚に数字番号をふっても、なかなか記憶に残らないですからね。錦糸町「スパ&カプセル ニューウイング」の荷物棚も「熊本」、「神奈川」とかの地名だったし、利用者の記憶にどこの棚に入れたか記憶に残しつつ、ユーモアもある一石二鳥のちょっとした工夫。これって思いつきそうでなかなか思いつかないんですよ。何と何を結び付けるのか、結び付けた時にどんな効果が生まれるのか。それをさらにアップグレイドしたものにするにはどういうスパイスを足すのか。大袈裟に感じるかもしれないですが、クリエイティブな人ってこれが得意なんだと思いますね。

僕が大好きな番組「水曜日のダウンタウン」を見ていても、それをすごく感じます。先日、「道端に落ちている髪の毛を拾い集め、集まった毛でダウンコートを作れば富士山山頂でも寒くない」っていう説を見ました。まず、そんな説を思いつきます? 確かに自動販売機の下付近にゴミに交じった髪の毛を見たことはありますけど、それらを集めて「ダウンコートって作れるかな」なんて発展して考えないでしょ。でも実際にそれを思いつく人がいて、企画を実行してみると、めちゃくちゃ面白い企画として番組成立しているという。やはり日常で見るもの起こることを「単体」「最終形」と捉えないことが大事なんでしょうね。その事象からどう発展させるか。「からのぉ~」っていう展開思考がポイントなんでしょうね。

水温がシングルの水風呂。その名も【シングル】は「潜水OK」ですが冷たすぎて僕は無理でした
水温18℃で水深140cmもある水風呂【リトルマーメイド】。水深のある水風呂って全国的に増えましたよね

外気浴スペースがマーベラスすぎた

サウナフロアからコンクリートの急な階段を上がると広々としたマーベラスな休憩スペースが! よくテレビで見る高級リゾート・バリ島の装いですよ。バイブラの効いた湯舟に樽式の湯舟、そこにリクライニングチェアが整然と置かれ、天井や壁は緑葉、ハイビスカスの花、ヴィヒタで覆われてます。緑葉やハイビスカスは造花ですけど「大井町」を感じさせない空間づくりにどの利用者もフニャフニャ幸せ顔で湯舟やチェアに横たわっていました。場所柄、仕事さぼってここで英気を養っている営業サラリーマンも多いだろうなぁ。ある意味、品川サウナのメインディッシュはこの空間なのでは。都会にあるサウナでここまで開放感のある外気浴スペースは初めてでした。

サウナに行く予定ではない日に良さげなサウナに偶然出会い、ふらっと入った品川サウナ。90分くらい過ごして出ようと思ってましたが、居心地良すぎて結局3時間も滞在! 次の打ち合わせがギリギリになるスリルを味わいました(笑)。

それではモイモイ~!

サウナ室、水風呂のあるフロア上階にある休憩スペース。緑に囲まれた広々スペースで休憩していると、ここが大井町だと完全に忘れます。平日昼でしたけどたぶん仕事さぼって……いや、昼休みに英気を養っているサラリーマンがたくさんいました(笑)!

天野春果(あまのはるか)
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール(現川崎フロンターレ)に就職。以降、”J最強企画屋”としてサポーターに愛されてきた。27年間勤めた川崎フロンターレを退社後、新会社Two Wheel Sports(略してTWS)を設立。代表取締役社長に就任した。
※天野春果連載「企画屋アマノ〜アイデアのととのえ方〜」はこちらから

自問自答 祖師ヶ谷大蔵店
■住所:東京都世田谷区祖師谷3丁目32−14 YAMATOYA BLD 1F
■営業時間:24時間営業
※男性専用、会員制のサウナ施設
※その他詳細は公式HP(https://www.jimonjitou.jp/join/)から

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