川崎フロンターレ事業部長・天野春果「企画屋アマノ~アイデアのととのえかた~」(#2)

モイ〜。

川崎フロンターレプロモーション部のアマノです。サウナ施設で日々オモロい企画をととのえています。かくいう今も、この原稿は小田急線祖師ヶ谷大蔵駅前にあるマイホームサウナ「自問自答」という個室サウナのととのいチェアに横たわりスマホをポチポチして、書いています。

目次

サウナで考えた今季J1開幕戦イベント

事実、僕が手がけた企画の数々はサウナ施設で思い浮かび、実現のための戦略もサウナ施設で練ることが多いです。最近ですと、2023年のJリーグ開幕戦の演出はサウナ施設で思いつきました。放送作家、小山薫堂さんが脚本担当をした映画「湯道」とのコラボ企画はまさしく、ととのいチェアで横たわっている時に企画書を作成して東映(映画配給会社)にポチッとメールをしました。

@kawasaki frontale

始球式を、どの映画出演者にお願いをすれば話題性があり、尚かつフロンターレらしいか、スタジアムで今までにないどんな演出をしたら盛り上がるのか、そんな事を考えながら企画書作りましたね。あっ! もちろんイベントに使える潤沢な資金がプロモーション部に予算化されているわけではないので、基本は「タイアップ」です。となると、先方にもメリットがないと成立しないので、自分の希望を通しつつ、先方の願いも叶えるバランスが大切です。映画に出演した俳優さんにスタジアム来場してもらって試合集客にもつなげますが、メディア各社に取り上げられて映画の宣伝にもしっかり寄与する企画を考えると。

で、来ていただいた出演俳優さんは、主演の生田斗真さん、橋本環奈さんではなく、天童よしみさんという(笑)。俳優じゃなくて歌手じゃん! でも、僕は映画に出演されていた天童よしみさんがどちらにせよ正解だったな、と。

なぜなら、天童よしみさんに「負けたらあっかん〜♪」と歌ってほしかったので(笑)。この一言が1番キャッチーじゃないですか。シンプルかつ発信力があるフレーズ!

そんなこんなで天童よしみさんのスタジアム来場はとても盛り上がりましたね。「負けたらあっかん〜」と言われていたのに試合に負けちゃったのが残念でしたけど。

@kawasaki frontale

サウナは最悪を悪にしてくれる

サウナ施設ではこんな感じで企画をととのえていますが、サウナ施設へ行けば必ずアイデアが浮かぶというものではありません。まず、“アイデアが浮かぶ”には絶対条件があって、それは自分の精神状態が「最悪」ではないことです。

アイデアが浮かぶ精神状態は「平常」もしくは最低でも「平常心〜悪」くらいですね。プライベートなことでも仕事上のことでも、めちゃくちゃ落ち込むこと、へこむこと、心配事がある「最悪」な時はアイデアが浮かぶ以前にそのこと自体を考える心の余裕がありません。

それなので心が「最悪」な時はサウナへ行っても何も浮かびません。

しかーし! 僕、思うんですけど、サウナの効能ってめちゃくちゃ「最悪」な精神状態な時にサウナ入っても、出る時には「悪」ぐらいに気持ちが少し上を向いているんですよ。「まっ、これで死ぬわけでもねーしな」とか「こんだけ、悔やんで落ち込んでも解決するわけじゃないしな」なんて自分自身への問いかけがストンと自分の腑に落ちたりするんですよ。

あと、精神状態が最悪の時って食欲もあまり湧かないし、寝つきも悪いじゃないですか。でもこれがサウナ入ると腹は減るし、何ならいつもより美味く感じる。布団に入ったら色々考える前にいつの間にか眠りに落ちているし。

サウナに入って汗をかいてサッパリして飯を食べると元気もでてきて、寝つきもいい。最悪→最善とまではいかないけど、最悪→悪くらいまでは復活できます。

と、なるとですよ、結局僕はどんな時でもサウナへ行くってことなんですね。

サウナに入ってもアイデアが浮かばない最悪な精神状態→でもサウナに入る→最悪が悪になる→サウナでアイデアが浮かぶ精神状態になる→で、結局サウナで色々考えると(笑)。

思考の善玉菌と悪玉菌

平常心〜悪な状態なら、サウナでアイデアが浮かぶと言いましたが、サウナに入っていきなり浮かぶわけではありません。

そもそも、あつ〜いサウナの中で考え事なんてできないですよ。サウナに入っている時に思うことといえば「あぁ〜気持ちいい」とか「あぁ〜あつい」だとか、そのくらいの事しか考えられません。

でも、それがまず大事なんです。日々の生活の中で頭の中を占めている様々な「思考」がサウナに入るとなくなるんです。

僕はこれを「思考の悪玉菌が死滅」と呼んでいます。コイツらが居座っていると新たなアイデアが頭の中に入ってくる隙間、余地がないんですね。

「思考の悪玉菌」は熱に“弱い”という特徴を持っています。だいたいの悪玉菌はここで死ぬんですけど、しつこく生き残った悪玉菌がまだ頭の中にいるんですね。でもこの残った悪玉菌にも特徴があって「冷たい水」にも“弱い”ってことなんです。

僕の頭にいる思考の悪玉菌は「100℃12分」のサウナ室でまぁまぁ死んで、「15℃1分」の水風呂で完全に死滅します。

この悪玉菌が死滅した状態でリクライニングチェアに横たわると、すこ〜し温めたフライパンの上にバターを落とした時のように音を立てずにゆっくりと、とろ〜んと溶けていくなんとも言えない全身多幸感に包まれます。そしてこの多幸感に包まれた数分後、悪玉菌が死滅して空いたスペースに、ついについに「思考の善玉菌」が繁殖してくるんです! この善玉菌で満たされている間が企画を考えるゴールデンタイム。頭の中に色んなことが「パッ、パッ」と浮かんで繋がっていきます。

まっ、この悪玉菌善玉菌は僕の感覚的なものでしかないんですけど(笑)。

次回ではこの思考の善玉菌で満たされた時に、浮かんだアイデアを実際にどうやって実現させるところまで導いているか、そのために必要なチカラは何なのかを話したいと思います。

それと1つお知らせです。
6/11(日)に川崎フロンターレのホームゲームイベント【Finlandランド】が実施されます。フィンランド政府観光局全面協力のもとサウナ体験コーナーやムーミン撮影会、サウナ大好き芸人、サバンナの高橋茂雄さんも来場。SAUNA BROS.とのコラボグッズの販売も予定しています。昨年、一昨年に引き続き3回目のFinlandランドとなりますが、今回が一番充実していると胸を張って言えるイベントに仕上がっていますのでみなさん、ぜひいらしてください!
※詳しくはコチラから


それではモイモイ〜。

天野春果(あまの・はるか)
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール(現川崎フロンターレ)に就職。以降、“J最強企画屋”としてサポーターに愛される。
※川崎フロンターレ事業部長・天野春果「企画屋アマノ~アイデアのととのえかた~」今までの記事はコチラから

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