千葉ロッテマリーンズ・石川歩のサウナ連載『ととのう日記』#13

日本のプロ野球界きってのサウナ愛好家・千葉ロッテマリーンズの石川歩投手にご登場いただいている当連載【12,37】(イチ 二 ~、サウナ~!)。毎月、アスリートならではのサウナの愉しみ方とともに、活用法などもうかがっています。<過去の連載はこちらから

サウナには、疲労をとったり、睡眠の質を向上させたりといった「フィジカルな面」での利点もさることながら、気持ちを落ち着けたり、リラックスできたりといったメンタル面でのメリットもあるといわれています。

目次

はやる心、モヤモヤした思いをととのえるために

――練習終わりのお疲れのところ、ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします!

「お願いします!」

――今日もかなり暑いですよね。体調や調子はいかがですか?

「暑いですね。もう何日も連続で猛暑日ですからね。体調自体は問題なく、淡々とやってます。ランニングして、トレーニングして、投げて……って感じですね。調子を見ながら、ペースを上げていっている感じです」

――そうなんですね。

「3歩進んで、2歩下がる、みたいな感じになってしまいましたけど、少しでも早くチームに合流したいな、と頑張ってます。焦っても仕方ないというか、良いことはないので、ヘンに焦ったりしないようにはしているんですが」

――はい。

「でも、ちょっとモヤモヤというか……思うところ、感じるものは、正直、少しありますね」

――石川さんはポーカーフェイスというか、クールな印象なので、少し意外な思いもあります。

「いや、開幕前は自分自身、ここまで(調整が)長引くとは思っていなかったんで」

――マリーンズファンはもちろんですが、プロ野球ファンも待っていますので、ぜひ焦らずに、いい状態まで。でも、こういうときに……いや、そういうときこそ、サウナはやっぱりいいんじゃないですか?

「そうですね。ちょっと(気分が)落ちかけたりしたときも、サウナって気持ちに整理をつけられたり、前向きになったりはしますからね。 もちろん、楽しみでもあるんですが、たしかに今は、そういうツールとしても、ありがたい存在ではありますね」

期待していた「サウナ東京」。最初に入ったサウナ室と水風呂が……!

――では今月も、サウナについてお話を聞かせていただければと思います。まずはこちら。今年4月に赤坂にオープンした「サウナ東京」に、ついに行かれたんですね!

「はい。ずっと気になっていた施設だったので、先日行ってきました。めちゃくちゃ良かったです」

――種類の異なるサウナ室が5つもあることに加えて、水風呂も水温違いで3つある施設です。

「はい。サウナ室はどれも気になっていたんですが、まずはセルフロウリュができるサウナ室に入りました。『手酌蒸気』っていう名前の付いたサウナ室です」

――室内のすべて……床も壁も天井も座面も、すべてケロ材(※「木の宝石」とも呼ばれる希少な木材)を使用したサウナ室ですよね。

「入った瞬間、いい香りもしましたし、『いい熱さだな』って思いました。ケロのサウナって、割と温度じたいはやさしめというか、そこまでハードではない印象があったんですけど、ここのケロサウナは想像していたよりもしっかりと熱くて。期待していた以上に気に入りました(笑)」

――ロウリュはされましたか?

「あ、もちろんしました(笑)。僕が入ったときは他に誰もいなかったんですけど、たぶん前にいた人がロウリュしたあとだったと思うんです。割と十分に湿度があって、熱さとバランスもイイ感じだったんですが。ちょうど砂時計の砂が落ち切るタイミングだったこともあって……」

――あ、前に水をかけてから、次にかけていいタイミングまでの時間を、砂時計で管理していますよね。

「はい。砂が落ち切った瞬間に、僕もかけました(笑)。かける水が温められていてお湯なんですよね。それもあってか、すぐに熱い蒸気が室内に回って、かなり気持ち良かったです。1回につき、ラドル(※ロウリュで使う、ひしゃく)5杯までかけていいっていうのも僕好みでした(笑)」

――(笑)。しっかりと熱を感じられた。

「はい。ストーブの真ん前のポジションで、2段のベンチの上段に座って、8~9分くらいかな。アツアツのいいセッティングを満喫しました」

――アツアツになったら次は水風呂ですが、あの3種ある水風呂……めちゃくちゃキンキンの約8℃、ちょっと冷ための16℃、やさしめの22℃。どれに入られました?

「僕はあのシングルの浴槽……8℃に行きました。迷わずに」

――ブレないですね(笑)。

「やっぱり冷たいのが好きなんで。気持ち良かったですね」

――私はあのシングルには数秒くらい……10秒まで行かずに飛び出してしまいました。

「僕はもうちょっと入ってましたね。30秒くらいは入っていたと思います」

――うわっ、強い! 

「けっこう入るんですよ。肩までしっかり浸かり、手の先だけはちょっと出しますけど全身をクールダウンします。でも、そのときはかなり冷えてて、水温計の標示が8℃よりも冷たかったんですよね。7.8℃とかで。だから、けっこう強烈でしたけど、その分『もう少しサウナ室に入れていたかも。もうちょっと追い込めたな』って思いました(笑)」

――強すぎる……。

レアなタイミングにサ室に居合わせ、座った位置も特等席!? さすがです!!

「そのあとの休憩スペースもめちゃくちゃ広くて、イスも凄い数が並んでいて。畳で寝られるスペースもありました。外気浴ではないけど、十分に冷えた空気が天井のファンなどで撹拌されているから、空気の動きもあって。かなりいい感じでした」

――座り場所が選び放題ですよね。石川さんはどのあたりで休憩を?

「本当はその畳のスペースが良かったんですけど、そこは埋まってしまっていたんで。でもイスの列はかなり空いていたので、チラっと見て、畳の次に良さそうだった、イスが並んでいる中でも一番前の列に行きました。風の流れがよくて、めちゃくちゃ快適でしたね」

――この日は何セットくらいしたんですか?

「4セットです。2セットめは、一番大きなサウナ室に行きました」

――あの「蒸喜乱舞」と銘打たれたサウナ室。40~50人くらい座れそうなスケールです。

「そうですよね。僕も入った瞬間、デカさにちょっと驚きましたね。このサウナ室も温度も思ったより熱いし、名前の通り、蒸気というか湿度もかなりしっかりあって。体感的にかなり気持ち良いというか、好きな熱さでした」

――あそこも熱いですよね。なんなら、ベンチの座面も、めちゃアツで。おケツがアチチってなる。

「そうですね。俺、割と好きですよ。あの感じ(笑)。それと、足の裏が床につけてられないくらいアツい感じも嫌いじゃないです。

入っていたら、オートロウリュのタイミングにちょうど当たって。あの温度に加えて湿度があれだけあると……さすがにガツンときましたね。めちゃくちゃ良かったです」

――ラッキーですね。あのオートロウリュは1時間に1度らしいですよ。持ってますね。

「そうなんですか。なら、ラッキーでしたね(笑)。入ってちょうど正面の奥の方に座ったんですけど、そこにちょうどボナストーブもありました。室内の中心にある、大きなサウナストーン山盛りの『ikiストーブ』と、そのボナの2台体制みたいでした」

――そこ、特等席だと思います。さすがの嗅覚です(笑)!

衝撃的な初めての感覚。アレはクセになります!

――その次はどのサウナ室に?

「ミスト(サウナ)みたいな、お風呂みたいなサウナ室です。あそこ……めちゃくちゃ気に入りました!」

――あ、「戸棚蒸風呂」という札がかかっている、あの不思議な気持ち良さのあるサウナ室ですね。サウナ室内いっぱいに広がる大きな浴槽のお湯に入りながら、室内いっぱいに満ちた熱いスチームを浴びるという。

「はい。入った瞬間に熱い蒸気が全身を包み込んで。立っていると、頭や顔にその熱い空気が当たるじゃないですか。あれがまず気持ち良かったですね。

それで、浴槽の縁に腰かけると、少し頭の位置が下がっただけで、かなり温度も下がるんですよ。さらに湯船に体を沈めると、また顔周辺の温度が変わる。その違いも面白かったし、不思議な気持ち良さがありました。蒸気がモウモウなので周囲の視界もさえぎってくれる。あれも、めちゃくちゃ良かったですね」

――ほんと、いろいろな不思議な感覚が得られますよね。あのサウナ室は江戸時代に日本にあった蒸気浴法を現代的にアレンジして再現したそうです。

「そうなんですか。なんかまったく未知の体感というか、初めてのタイプでした。『サウナ東京』で一番気に入ったかもしれないです。個人的には、立っているときよりも、もう1段、高い位置に頭がくるような段差があったりしてもいいのかな、って思いました」

――アレ以上の熱さを求めるんですか! マジで強すぎです(笑)!!

「そうですかね(笑)? スチーム系のサウナ室には、ふだんはあまり長くは入らないんですけど、あそこは相当、長時間入っていましたね。『新しいな』って思いました」

――最後の4セットめは、残り2つのサウナ室のどちらに行ったんですか?

「ええっと、両方です。あの『瞑想』っていうサウナ室に入ってみたら、温度がやさし目だったので、まずそこでじっくりと体を温めて。で、そのあと続いて『昭和遠赤』という、あのガス遠赤外線ヒーターのサウナ室に行って仕上げたっていう感じです」

――おぉ、なるほどですね。その入り方、いいですね。

「あの遠赤の部屋も、熱さが十分あって、かなり好きでした。あのサウナ室だけテレビがあるのも良かったですね」

――それも、こだわりだそうです。「昭和の遠赤外線ヒーターのサウナ室にはテレビだろ」っていう。

「なんか、いろいろな体感を味わえて、すごい楽しめる施設だなって思いました。今回は初見だったけど、次に行ったときはこういう入り方の順番で……みたいに組み立てを変えて自分好みに入ったりも出来そうですし。こういうサウナ施設が次々に出来てきて、すごくいいですよね。総合的にすごくいいサウナだなって。また近いうちに行くと思います。混んでいない時間を見計らって」

新しい施設もいいけど、やっぱり大好きなあの施設。1年ぶりの再訪で良さを再確認

――今月はもう1枚、写真をいただいています。これは、六本木の……。

「はい、『アダイブ』(「サウナ・アダムアンドイブ」)ですね。一時期めちゃくちゃ行っていたんですけど、ここ最近は全然行ってなかったんです。でも、この間ふと、『あ、久々に行こうかな』って思って、1年ぶりくらいに行ってきました」

――あ、その感じ、ちょっと分かります。「久しぶりに行きたくなる」っていう。

「やっぱりあそこは、なんか……いいんですよね。サウナ室もそこまでアツアツっていうわけではないし、水風呂も、そこまで冷たいというわけじゃないけど。あの、客同士がそれぞれ好きに過ごしている“自由度”の高さも魅力ですしね。あの感じも含めて……なんか居心地がいいところが好きなんですよね。

あ、それと、2つあるサウナ室のうち、薬草のミストサウナが、めちゃくちゃ好きなんです。いろんなミストサウナの施設がありますけど、個人的には『アダイブ』のミストが一番好きかもしれないです」

――情報が多いので、整理させてください(笑)。まず、自由な感じの居心地の良さ――これ、めちゃくちゃ分かります。

「休憩室はもちろんだけど、浴室やサウナ室の中でも、皆さんゆったりと、それぞれ好きに過ごしているじゃないですか。雑誌とか本とか読んだり、スマホいじってる人もいたりして。飲み物……オロポもサウナ室まで持ってきてくれるし。初めて行ったときはちょっとしたカルチャーショックでしたから(笑)」

――ちなみに石川さんはあそこのサウナ室でどのように過ごしてます?

「ぼーっとしてることもあれば、本を読んだりもしていますね」

――あ、読書派ですね。どんな本を?

「小説とかが多いです。ときどき自己啓発本というか、ビジネス書みたいなのを読むこともありますけど」

――なるほど。小説というのは……ちょっと意外でした。

「そうですか? ハマるとけっこう読みます。なんか、小説読むのに向いている気もするんですよね、『アダイブ』って(笑)」

――たしかに。その感じ、分かります(笑)。あとは、薬草サウナの魅力も言葉にしていただけますか?

「匂いがまず、好きなんですよ。それで、温度もかなりアツいじゃないですか」

――はい。

「しかも……薬草サウナのほうは、割と人が少ないっていうのもあります(笑)。そもそも人があまり多くない時間帯に行くんですが、そのうえ、ドライのサウナ室に比べて、ミストはさらに人が少ない。本当にゆったりとくつろげるんですよね」

――新しく出来たところももちろんワクワクしたり楽しかったりしますけど、やっぱり、もともと自分が好きなところって、心が休まりますよね。

「本当にそう思いました。およそ1年ぶりくらいだったんですけど、やっぱりいいなぁって」

――グラウンドでコンディションをととのえ、サウナで心も身体もととのえる。英気を養って、スタジアムに戻ってきていただける日を、引き続き、待っています!

「そうですね。いい状態で戻って、1日も早くチームの力になれればと思います」

【石川 歩(いしかわ・あゆむ)】

1988年4月11日生まれ。富山県出身。右投右打。滑川高から中部大、東京ガスを経て、2013年ドラフト1位で千葉ロッテに入団。2014年に新人王。2016年に最優秀防御率のタイトルを獲得。ストレート、シンカー、カーブ、スライダー、フォーク等多彩な球種と精緻な制球力を武器に活躍。

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