SAUNA BROS.vol.7でもご紹介した東京台東区三ノ輪にある「天然温泉 湯どんぶり栄湯」。70年以上続く老舗の人気銭湯で、サウナにも定評があります。初代、二代目と進化を続けてきた同銭湯の三代目で、ご自身もサウナ愛あふれる「若旦那」こと梅田清治郎さんに前編に引き続きお話をうかがいました。
祖父から孫へ……脈々と続く「天然温泉 湯どんぶり栄湯」のDNA
――サウナの話からちょっと逸れまして……。聞くところによると趣味はサーフィン、スノーボードはライセンス1級の腕前。凝り性なところがあるのでしょうか?
「(笑)。どうなんでしょう? ただ、うちの看板に“ソーラーシステム”と書かれているよう、1945年に創業した祖父が屋上に太陽光パネルを設置するなど、当時としては最先端の取り組みを行っていていました。その血を受け継いでいるのかもしれません。ソーラーの設置は1979年。オイルショックで燃料が枯渇していた時代だったと聞いています」
――男性露天エリアから見える煙突には「サウナ」の文字が書かれています。
「先代の父の代まで3階に単体で『紅梅サウナ』というサウナがあったんです。その名残りですね。ちゃんと男女、それぞれにサウナと水風呂があったみたいです。父はバブルが終わって、銭湯やサウナの数が急激に減ってきて……という業界としてかなり厳しい時期に“中普請”(※15~20年周期でボイラーや配管などが痛んでくるため大規模な修繕や改装を行う)の節目を乗り越えました」
――二代目は「天然温泉 湯どんぶり栄湯」の名付け親でもあるとか?
「1995年に改装したタイミングで父が『栄湯』の上に“湯どんぶり”と付けました。丼物のように“いろんなお風呂がありますよ”という意味です。当時子どもだった私が言うのも何ですけど、秀逸なネーミングですよね(笑)」
――言葉通り、超高濃度炭酸泉薬湯、ミクロバイブラ、電気風呂など男女とも水風呂を含めて計8種類。2017年、若旦那の代に大規模屋外リニューアルをした際は、屋外にナノファインバブル(※超微細の泡)露天風呂もオープンしました。
「露天風呂をずっと作りたいと思っていたのですが、やっと念願が叶いました。で、2020年には屋外に水風呂(美泡水風呂)と炭酸泉を作って、2021年、サウナにオートロウリュ+オート熱波のサウナストーブを設置しました。コロナ禍で営業時間が短縮されて、サウナも使用できない状況だったので、やるなら今しかないと。その直後に『サウナを愛でたい(BS朝日)』で紹介していただいて(※2021年6月7日放送)、より多くの人に知ってもらえた感じです」
――余談にはなりますが、戦後一気に増えた都内の銭湯。初代経営者の7割から8割が北陸地方の出身と聞きますが、初代はどちらのご出身ですか?
「おっしゃる通り、うちの初代は石川県、祖母は新潟県です。2人ともとにかく働き者だったと聞いています。当時の写真を見ると、目の前は砂利道でした。昔ながらの銭湯らしく、中庭もありました」