はるか昭和の時代から、何十年もの間ずっとサウナ好きをあたため続けてきた、心地よくて、安らげて、そのたたずまいや味わいがたまらないサウナ施設を取材させていただいている「ノスタルジックサウナ写真集」。

日本各地に点在する各施設への訪問・撮影を行うなかで、あらためて感じたそれぞれの“グッ”ときてしまうポイントを挙げさせていただく短期集中企画。5回目は沖縄・宜野湾市の「大山サウナ」さんです。

お読みいただいたあと、もしよろしければ皆さんからも「こんなところが好き」「ココがたまらない」という声をぜひお聞かせ願えればと思っています。よろしくお願いします!

(このページで便宜上何点か掲載している写真は、編集部員がスマホで撮ったものです。念のため。写真集では、プロによる思わず息をのんでしまうものを、あますことなく掲載します!)

・国道58号線沿いにあらわれる、無骨な建物。その中にある……安らぎに満ちた静かな空間
那覇市中心部から北東に10キロほど。沖縄を南北に縦断する、この島のメインストリートともいえる国道58号線沿いに、その建物はあります。那覇空港から車で30分ほどでしょうか。

目印は道に面した塀に刻まれた「大山サウナ」の文字。“刻まれた”と記しましたが、壁にペイントされているわけではありません。近づいてよく見るとわかるのですが、壁が少し彫られ、その窪んだ部分に黒と赤のペンキが塗り込まれてるのです。

訪問し、この大きな文字を見るたびにちょっとグッときてしまうんです。なんというか、ペンキでただ塗られただけではなく、彫り込んであるという点に。まるで“どんなに歳月が経とうと決して消えないぞ”みたいな気概を勝手に感じてしまうんですよね。

その背後に見える3階建ての建物の2階が大山サウナです。この建物のルックスも……もうキュンしかありません。本当に時が止まったかのような、まさにノスタルジックそのもの。

敷地内に入り、建物左側にある階段の入口に近づくと、早くも感情が沸点に達してしまいます。

この日よけ……半円形の形状も、錆が浮き出た鉄骨の骨組みも、もうたまりません。「うおぉぉお」と声にならない声が心の底で響きます。かつてはきっと布地が張られていたんだろうな、とか、いったい何年いや何十年の歳月がここでは経過しているのだろう、とか。そして、この下をどれだけの数の男がくぐってきたんだろうetc.。とにかく、いろいろ思いを馳せてしまうんですよね。まだ中に一歩も足を踏み入れてないというのに!

階段を1段ずつゆっくりとのぼり、2階へ。段の部分が少し丸みを帯びています。目の前にある小さな窓から見えるのは青い空。この建物はやや丘陵状になった地形の中腹にあり、国道と反対側にあたる裏手には目の前を遮る建物がありません。そのため、少し目を凝らすと遠くに宜野湾の海が。のちほどあらためて記しますが、この海側から吹いてくる風を浴びるのも本当に気持ち良いんですよね。

・昭和の“サロン感”がたまらない。懐かしさ、開放感、大らかさ。そして南国の光と風に包まれて……
お店の入口を入ると、すぐ右手に受付のカウンターが。壁側にロッカーキーが下がっているのですが、朝一番で訪問しても、ところどころ欠番が。長い歴史の中で、どうしてもほんの数本、行方不明になってしまってるという……そんなエピソードにも、やっぱりキュンです。

振り返り、店内を見渡すと、広々とした休憩スペースが。年季の入った青いカーペットの上に、ソファが数脚。頭上にはヒモで引っ張って点けたり消せたりする照明器具。壁や棚に並ぶ少し日に焼けた漫画や本、雑誌……。こちらも他の施設と同様、どれもけっして新しくはなく、むしろかなり使い込まれた感がいっぱいです。でも、やはりほかの施設と同様、しっかりと掃除や整理がされているため、見るからに快適な空間です。

先ほど少し記しましたが、海側の壁には大きな窓が開かれていて、そこから入ってくる風がまたたまらないのです。実はこの施設にはエアコンがありません。沖縄なのに、です。夏にはふつうに室温も34℃とか35℃に達するのに扇風機だけで快適なのは、後述する「大山の水」と、このやさしい海からの風のなせるワザなんですね。

部屋の一番奥には、畳が敷かれた小上がりが設けられたスペースも。ここで大の字になって体を横たえるのもたまりません。休憩スペースの真ん中あたりに置かれた小さな冷蔵庫を開けるとドリンク類がぎっしりキンキンに。そして「後払いとなります。支払い忘れないよう、おねがいします!!」という文字が。開放的なうえに、なんというこの大らかさ。この大山サウナでの浴後の心地よさは……とにかく“最高!”の一言です。

・必要なものだけが“すべて”ある。シンプルでピースフルな浴室&サウナ室
浴室も、シビれます。決して広くはないけれど、大きな窓から入る光が穏やかに浴室中を包み込んでいて。カランの蛇口もシャワーホースも年季は入っているけど使いやすく、振り向けば浴槽が2つ。これも……サウナ好きにはたまらないのですが、小さい浴槽と大きな浴槽が並んでいて、その大きさ・広さの差はおよそ2倍、いや3倍近いかもしれません! ハイ、察しの良い方はおわかりだと思いますが、もちろん大きな方が水風呂です!!

この水風呂の水がたまりません。この宜野湾市大山地区は「名水の里」として知られているそうですが、まさにそれを実感させる心地よさ。やわらかくてしっかり冷えていて“包み込まれる感”がスゴい水。地下水・・・「大山の水」を汲み上げ、さらに軟水化装置を通しているそうで……いわゆる、ずっと入っていられるやつです。

浴室右側の壁にある小さな扉。その先にあるサウナ室もめちゃくちゃクラシカル! 壁、床、天井にきっちりと張られた板はとても良い感じに焼けた色みで、裸電球からの光がほどよい暗さで室内を照らします。奥にあるサウナストーブも、その上に積まれたストーンも、創業以来ずっと使い込まれているもの。ストーブ回りのレンガが黒くなっているのにも、やはり長い歳月を感じます。そんな趣きあふれるサウナ室で、じっくりと熱さに身をゆだねる……湿度はけっして高くはないけれどカラカラすぎるわけでもなく、すぐに汗が噴き出してきて。“あの水風呂に飛び込む瞬間”を思いつつ過ごすここでの時間は……まさに至福です。

けっして広くはないけれど、パワフルで気持ちの良いサウナ室。こちらの床、かなり磨きこまれているなぁと思ったのですが、あとで聞いたところ、現オーナーが日課として、もう30年以上も、毎朝6時半に手拭きで磨き上げているんだそうです。モップとかではないんですよ! 腰をクッと曲げて、手でしっかり力を込めて……です!! それを聞いた時は、本当にグッと来てしまいました。

・ずっと心がけてきたのは……キレイであることと「いつも開いている」こと!
さて、こちらの施設ですが、もともとは昭和51年(1976)に「沖縄ニューヘルスセンター」という名で開業した施設がはじまり。本土でサウナを知った人が「沖縄でも」と、創業したそうです。ですが、事情があって手を引くことになったものを、この土地と建物の持ち主でもあった現オーナーのお父上が引き取るかたちで昭和54年(1979)に「大山サウナ」としてあらためてオープン。今に至るまで沖縄の男たちをあたため続けてきました。

「このあたりでは最初のサウナだったね。最初に作った人が、投資したお金をまだ回収していない、ってことで親父が買い取った。親父とお袋の2人でやり始めたのを、俺が前の仕事を辞めて手伝い始めて。そのうち、何年かしたら近くの国道沿いにどんどんサウナが出来て……7~8軒くらいはあったね。今はもう、ほかは全部なくなってしまったけどさ」

ご両親が他界されてからは、2年前に体を悪くして一線を退くまで、一人でずっとお店を切り盛りしてこられたそう。営業時間は朝の9時から夜の9時。休みは月に1日だけ。

「ご飯を食べるとき、それと自分がサウナに入るときだけはちょっとだけ店……カウンターを空けるんだけど、書き置きをしたりしてさ。『ちょっと〇〇に行ってますが、すぐ戻ります。精算はあとでお願いします』ってね(笑)。幸い大きな病気をしなかったから、ずっと続けてこられたさ。まぁ時々“ちょっと疲れたな”とか“ツラいなぁ”と思うこともあったけどね」

それでもほとんど休まずにお店を開け、周囲のサウナが撤退しても「大山サウナ」を続けてきたのは……。

「毎日、お客さんが来るからさぁ。休もうとしても、“行くところがなくなっちゃうよ”なんて言われちゃうんだから(笑)。ずっと心がけてたのは、いつでもキレイ、清潔にしておくことと、『開いてますよ』っていうことだよ(笑)。辞めなかったのも同じ理由。毎日来てくれる人が、ある日突然、行くサウナがなくなっちゃったら、って思ったら……ね」

◆こちらのサウナを「貸切」でご利用いただけます。南の島への“サ旅”などでいかがでしょうか? 皆さんの声もお待ちしています!
現在はお店には立っていないけれど、先ほども記した通り、何十年も毎日サウナ室の床を磨き上げる日々は続いているそうです。そんなオーナーのお話を聞くと、やはりサウナは「守ってくれる人」がいてこその存在なんだとあらためて思わされます。

さて、この「ノスタルジックサウナ写真集」プロジェクトでは、クラウドファンディングも実施しています。この記事や、こちらのクラウドファンディングのページを読んでいただいてご興味やご共感をいただけた方は、ぜひ応援のほど、よろしくお願いいたします! 

ご支援への返礼品として、いくつかの施設さんに“貸切で入っていただける権利”もご用意しているのですが、この「大山サウナ」さんの貸切権がついたコースもあります。沖縄にはほかに良サウナがいくつもありますので、たとえばお休みをとられてのグループでの「サ旅」などもおススメですし、何より皆さんにもぜひ、こちらの最高な空間を体感していただきたいと思っている次第です。

ぜひチェックしてみてください!

また、冒頭にも記しましたが、大山サウナさんの「こんなところが好き」「ココがたまらない」という声を、皆さんからもお聞き出来ればと思っています。この記事に関するTwitterのつぶやきなどへのリツイート、インスタグラムのコメント欄や引用ストーリーズなど、ぜひお待ちしてます!

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<次回は鹿児島県鹿児島市の「ニューニシノサウナ&天然温泉」さんについて記してみたいと思います>