はるか昭和の時代から、何十年もの間ずっとサウナ好きをあたため続けてきた、心地よくて、安らげて、そのたたずまいや味わいがたまらないサウナ施設を取材させていただいている「ノスタルジックサウナ写真集」。

日本各地に点在するそうした施設への訪問・撮影を行うなかで、あらためて感じたそれぞれの“グッ”ときてしまうポイントを挙げさせていただく短期集中企画。9回目は愛媛・今治市の「ナニワサウナ」さんです。

お読みいただいたあと、もしよろしければ皆さんからも「こんなところが好き」「ココがたまらない」という声をぜひお聞かせ願えればと思っています。よろしくお願いします!

(このページで、便宜上、掲載している写真は、編集部員がスマホで撮ったものです。念のため。写真集ではプロによる思わず息をのんでしまうものを、あますことなく掲載します!)

・ひっそりと灯る看板。そこにあるのは“実家よりも実家!?”な空間

今治駅から歩いてほんの数分……5分もかかりません。駅前から続く道を右折するとすぐ、ナニワサウナさんの建物が見えてきます。といっても(岩手の久慈サウナさんもそうでしたが)、初めて訪れた方は通り過ぎてしまうかもしれません。そのくらい、こじんまりと、ひっそりと佇んでいるサウナ屋さんなのです。

もちろん何時に訪れてもいいんですが、個人的には、夕方以降の時間が好きです。主張し過ぎない「ナニワサウナ」という看板に明かりがともると同時に、2階の店舗へと続く入口の横の「営業中」の表示灯にもスイッチが入ります。この雰囲気、本当にたまらないんですよね。

靴を脱いで「こんにちは」とお店に足を踏み入れると、左手にあるカウンターから「いらっしゃいませ」と女将さんのやさしい声。やわらかくて足触りの良いじゅうたんを踏みしめながら、手渡されたタオルを手に脱衣&ロッカースペースへ。バスタオルを腰に巻き、常連さんたちが思い思いにくつろぐリクライニングチェアの前を通り抜け、3階の浴室へ続く階段へと向かうのですが……。

このフロアの、外観同様にややこじんまりとした……広すぎないけれど十分にのびのびできる空間が本当に心安らぎます。リクライニングチェアも、食事をとれるテーブルも、カーテンも照明器具も、壁の棚にあるたくさんのマンガ本も――それぞれ年季は入っているのですが、とてもきれいに整然と並んでいて。いろいろあるのにゴチャついてない。それらのものが醸し出す、実家よりも実家な感じというか。いや、実家というより、子供のころにおばあちゃんやおじいちゃんの家に行ったときの気持ちを思い出すというか……。そんな雰囲気が、このナニワサウナさんにはあふれまくっているんですよね。

・めちゃくちゃ熱くてめちゃくちゃ気持ちいい。シンプルだけど最高な、サウナの真髄がここにある

浴室もまた、たまりません。この写真集で掲載する他の施設同様、こちらの施設もザ・シンプルで、あつ湯の浴槽と水風呂、そしてシャワーと洗い場が清潔にととのえられています。カランの前に座ると、鏡の横の壁にシャンプー、コンディショナー、ボディソープがボックス型で据え付けられていて……。かつては多くの温浴施設で見かけたスタイルですが、久々に“再会”できたことに、なんだかグッときます。少し下に目をやると、やはり壁に取り付けられたトレイが。整然と並んだ石鹸、軽石、そしてシャンプーブラシ。ん~、もうたまらないです。

この建物に入って以降ずっと、こうしてさまざまなものに心を安らがせつつキュンキュンさせているわけなのですが、サウナ室に入った瞬間、それが一回ピークに達します。長い歳月を感じさせる、味わい深い色合いの木の壁。その壁や天井で煌めきを発しているノスタルジックなデザインの照明器具。奥に鎮座するクラシックなストーブから発せられるアツさ……。思わず「うわぁ~」っと声が出ます。

2段式の座面に腰をかけてすぐに、なんともいえない感情というか、なんもいえねぇ~という感情というか……不思議な感覚に包まれます。サウナの真髄ともいえる無の境地にストレートに誘われるというか。いわゆる王道の骨太な「昭和ストロング」なサウナ室で、湿度とかセッティングとか、そんな概念とは無縁なのですが、本当に好きなサウナ室だなと毎回思わされてしまうのです。背もたれ部分にバスタオルが仕込まれている施設は絶対に名サウナ。私の個人的な「あるある」ですが、このナニワサウナでも、いつもその思いを新たにするのです。

まろやかな地下水がかけ流しでたたえられている水風呂も最高です。広々とした浴槽に入り、水中で体を大の字に。ぷかぷかと浮かびながら決して高くはない天井を見上げる数分間。この至福を味わうために、時間の許す限り、心ゆくまで、サウナ室との間を行き来してしまいます。

・心から思います。この素敵な時間がずっと続いてほしいと

昭和54年(1979)にオープンしたというこのナニワサウナ。当時は今治市内に“ナニワ〇〇”のように「ナニワ」の名が付く企業がいくつもあったそうです。「そういうこともあったのかな。このサウナも創業時から『ナニワサウナ』なんよね。今治なのに」と話してくれた女将さんの存在抜きには、このナニワサウナは語れません。昭和58年にご主人が創業者からこちらの営業を引き継がれて以降、ずっとお2人で店を切り盛りされてきたそうです。16年前にご主人が他界されてからは、営業開始前のお掃除から、フロント業務、お客さんから注文されるご飯の調理……とすべてをなんとお一人で(時々、手伝ってくれる方に来てもらったとき以外は)こなされているそう。ちなみに、このナニワサウナさんは定休日なし。基本、ワンオペで年中無休(!)です。

「ちょっとお休みがほしいな、って思った時期もあったんですけどね。でも、やっているうちに『あ、やれてしまうな』って(笑)。ちょっと用事ができたときに、常連さんに少し店番みたいなことをお願いしたりしてね」

実際に、私が滞在しているときに「ちょっと役場へ行ってくるんで、その間にお客さんが来たら、このタオルをお渡しして入っていてもらって」「おう、分かったよ。行ってらっしゃい」なんてやり取りも。ああ、もうたまらないですね。やさしい世界。

その女将さんが作ってくれる料理も、どれも本当に美味しいです。メニューも豊富で、とても1人で回されているとは思えないほど。

「『こんなのも食べたいな』『あれは作れる?』って言われて、『うん、大丈夫よ』って言ってるうちに増えちゃった(笑)。そんなに手がこんだものはムリだけど、美味しいって喜んでくれると、ね」と笑う女将さん。やっぱり……とことん、やさしいんですよね。ここは。

リクライニングチェアで座っていると、聞くともなしに女将さんと常連さんのやわらかな会話が耳に届きます。なんともいえないほど、なんかいい。ひっそりとだけど、ずっとあり続けてくれている、本当に素敵な場所。ずっと続いてほしい、ずっと浸っていたい時間が静かに流れています。

はい。やっぱり挙げていけば、本当にキリがありません。ナニワサウナさんでも、そのたまらなさを、じっくりと時間をかけて撮影させていただきました。自分たちで言うのもなんですが、ここでも、ぜひ皆さんに見ていただきたい、胸がキューンとなる写真がたくさん撮れたと思っています。文章にしようとしておきながら言葉では表現しきれないそれらのものを、ぜひ写真集で見てほしいと心から思っています。

もし皆さんも「このカットがあれば見てみたい」「掲載してほしいのはこういうところ」などのご意見があれば、お聞かせいただけたらと思います。この記事に関するツイッターのつぶやきなどへのリツイート、インスタグラムのコメント欄や引用ストーリーズなど、ぜひお待ちしています!

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