マグ万平さん、柳橋弘紀さん(「のちほど」チーム)とSAUNA BROS.編集部で制作を進めている「ノスタルジックサウナ写真集」。現在、クラウドファンディングも実施していますが、同時進行で掲載施設への取材も行っています。どの施設も訪問したとたん、“グッ”と心をつかまれてしまうのですが、そう感じさせるポイントを施設ごとに挙げさせていただく短期集中企画。第3回目は岩手・久慈市の「久慈サウナ」さんです。

(このページで、便宜上何点か掲載している写真は、編集部員がスマホで撮ったものです。念のため。写真集では、プロによる思わず息をのんでしまうものを、あますことなく掲載します!)

・看板よりも、経費は“お客さんのためになる使い方”を……。建物の入口で、まず胸が熱くなります!
さて、今回はこの久慈サウナさんへのアクセスについて、まず記したいと思います。もし車なら東北自動車道を九戸ICで降り、約40~50分ほど。公共交通手段を使う場合は、高速バスで東北新幹線の盛岡駅(乗車時間=約2時間45分)か二戸駅(乗車時間=約1時間10分)からそれぞれ山間を抜けて行くか、八戸駅からJR八戸線で約1時間40分ほど太平洋沿いを揺られて行くか。ほかに気仙沼方面からやはり太平洋沿いを三陸リアス鉄道で北上するという行き方もありますが、今回私たちは八戸線でのルートでお邪魔しました。

実は初めての訪問ということもあって、車窓を眺めながらの時間は本当にすぐに過ぎてしまいました。山のグリーンの中を走る区間あり、深いブルーの海沿いの道を並走する区間あり。色彩豊かな風景を目にしながらの行程は、体感的には“あっという間”と言っていいほど(※あくまでも個人の感想です)。毎度のことですが、お目当てのサウナを目指す時間も、サウナ体験のうちかもしれないな~、なんてつくづく思ってしまうんですよね。

そんなこんなで到着した久慈駅から徒歩1~2分。まさに駅前にその建物はあるのですが、パッと見、ここにサウナがあるとはすぐには思わせません。

ちょうど画面の中央くらいに「久慈サウナ 4F」という看板が写っていますが、道行く人にアピールするのは、このアイテムのみ。のちほど久慈サウナの専務さんにうかがったところ、「お金は、看板よりも、お客さんのためになる使い方に消えてしまうんですよね(苦笑)」と……。

世の中では「サウナブーム」なんて言われていますが、この地で営業を開始した昭和56年から(※注1)、この姿勢は、現在も変わらないそうです。サウナ愛好家たちからは密かに北日本屈指の名サウナと言われつつも、このなんともいえない奥ゆかしい感じ……もう“ビビッ”と来てしまいます。

やっぱり、ここに到着するまでの距離や時間なんて、関係ありません。「いやぁ、来てよかった。でも、どんなサウナが……」とドキドキとワクワクがMAXになる瞬間なのでした。

(※注1:「久慈サウナ」さんの創業じたいは昭和50年ごろだそうです。近くの別の場所にて最初の店舗の営業を開始し、昭和56年に現在のビルに移転してきました)

・グッとくるエレベーターで4Fへ。ドアが開いた瞬間に心を撃ち抜かれる、味わいしかない光景
3~4人しか乗れないかもしれないエレベーターで4Fに上がります。

結論から申しますと……このとき1Fで「閉まる」のボタンを押した瞬間から、取材を終えてお店をあとにするまで、ずっと多幸感に包まれていました。

上昇するゆっくりとしたスピードも、男性なら2~3人が乗ってしまうとちょっと気づまりなくらい小さなこのエレベーターのサイズ感も。もうすでに、たまりません。そして4Fに着いて扉が開いた瞬間、心のいちばん奥から“うわぁ”という声にならない呟きが…………。

この小さな看板と玄関。ずっと変わらないというエントランスも、シンプルだからこそストレート。

マジで……来てよかった。けっして言葉数は多くないけれど圧倒的な実力の、岩手出身の世界に誇るエースたち~菊池雄星投手や大谷翔平投手、佐々木朗希投手~の剛速球のように、「どん」という音がハートの奥底に響きます。

・フロントも、休憩室も、パウダーエリアも。この居心地と安らぎを、ぜひ体感いただきたいです!
前置きが長くなってしまいすみません。ここからいよいよ久慈サウナさんに足を踏み入れてのいわば本番なのですが、本当に言葉にすると陳腐になってしまうので、あとは淡々と挙げさせていただきます。

壁も天井も柱も、そしてレトロな味わいを放ち続ける照明器具たちも営業開始から一切変わっていないそう。やはりこちらの施設も、どこを見ても清潔だからこそ、この年季の入り方、古さが「味わい」であり、「ノスタルジー」に感じられるのですよね。

浴室へ続く扉のすぐ横にある、浴後に身だしなみを整えるためのスペースも、本当に味わいしかありません。壁に使われたクロス材には上品な紋様が刻まれ、据え付けられたランプも楕円形の鏡もめちゃくちゃアンティーク。見ているだけで心落ち着くこの風合いは、ちょっとやそっとでは醸し出せません。

このパウダーエリアと休憩室を隔てる“すりガラス”も、とてつもなく味わい深くて。浴後のひとときを思い浮かべるだけでもたまらないものがあります。

・シンプルだけど、必要なものはすべてある! 心地よい浴室とサウナ室
浴室も極めてシンプル。熱いお風呂の浴槽に、常にかけ流しの地下水がオーバーフローされている水風呂。そしてやはり楕円形のアンティークな鏡が据え付けられたカランのスペース。シャワーホースが邪魔にならないよう、コンパクトに巻かれているのもうっとりします。よく見ると、きれいに磨かれた鏡の縁に、少しだけ緑青(ろくしょう)が出ていたりして、この場所で経過してきた時間を感じることができます。

そんな浴室全体を、大きな窓から差し込む光が優しく包み込み、湯気にあたってキラキラと輝くさまは、ぜひ写真集で見ていただきたいベストシーンの一つかもしれません。そして、それを見ていただいたら……おそらくご自身で訪問したくなってしまうのではないかと思います。

サウナ室も、最高にたまりませんでした。入った瞬間から、しっかりと熱く、でも重たくないアツさが体を包み込んでくれます。なんというか、入っていて時間の経過を早く感じる……あっという間に時間が過ぎてしまうようなサウナ室に時々出会うのですが、こちらもまさにそのタイプで。本当に心地よく体を包み、温めてくれるサウナ室です。やはり営業開始以来ほとんど手を加えていないそうで、広い座面の設計も、ストーブもサウナストーンも40年モノ。そのルックスも、めちゃくちゃキュンなのでした。

・2度の“閉店”危機を乗り越えて、今もサウナを続けていただいている。正直、感謝と敬意しかありません……
実はこちらの久慈サウナさん、これまでに2度の“閉店の危機”があったそうです。というより、実際に2度、それぞれ数年間のクローズ期間があったそう。それを“乗り越え”て、そのたびに営業を再開していただいて現在に至ります。

「来ていただいたお客様が、どこか明るい顔になって帰られていくのを見るのが好きで。僕自身もサウナで汗をしっかり出すと、体も心も顔も、軽くシュッとした感じになれるので、やっぱりサウナが大好きなんですよね。過去2度の閉めていた期間は、外からこの4Fを見上げて、明かりがついていないのを見ると本当に切なくて。なんとか再開したいとチャレンジして、なんとかいまに至っているんです。だから“ノスタルジック”と思っていただけるのは、実は結果論で。改装の余裕なんて全然なく(笑)、ただ今ある設備で営業を続けるだけでいっぱいいっぱいだった・・・んですけどね(笑)」と、現在経営を預かっている久慈サウナの若旦那さん(専務さん)。

撮影をしている間に聞いたそんなコメントを思い出しながら、「ありがとうございます」と心の中で呟いて、取材を終えたのでした。いや、実際に申し上げたんですけどね、面と向かって「本当に……ありがとうございます」と。専務さん、照れたように笑ってくださいました。

ほかにもさまざまな、いいお話やすごいお話をうかがったのですが、それはまた別の機会に記したいと思います(こちらの建物の3Fで、かつて久慈市内にあった唯一の映画館<=その名も「久慈シネマ」!>を経営されていたことや、創業当時の思い出話、そしてどんな工夫と努力で2度の閉店クライシスを乗り越えられたか……etc.です)。

あ、でも、あとひとつだけ書かせていただくと・・・こちらは夜6時半を過ぎると従業員さんが退店され、フロントも含めて無人状態になります。「そのあとは、券売機で購入いただいた入浴券を無人のカウンターに置いた箱の中に入れていただきます。いじましいですが、人件費の節減ですよね。常連さんたちを中心に、お客様の“自治”状態でお願いしています(笑)」と、専務さん。

はい。本当に素晴らしい空間なんです。こちらで見聞きして、お伝えしたいことが、本当にたくさんあるんです。ということで、あらためて久慈サウナさんについて記させていただく際には、このSAUNA BROS.WEBなどでも告知させていただきますので、どうぞよろしくお願いします!

◆皆さんの声、そしてクラウドファンディングでのご支援も……お待ちしてます!
今回もざっくりになってしまいましたが、訪問して感じたたまらないところ、好きなところをほんの一部ですが挙げてみました。自分たちで言うのもなんですが、写真集では久慈サウナさんの素晴らしさをすべてお伝えするべく、本当に丁寧に丹精込めて取材と撮影を行わせていただいています。

実際に訪問されたことのある皆さんも、未訪の方も、「このカットが見てみたい」「こんなところがあれば掲載してほしい」などのご意見をぜひお聞かせいただけたらと思います(この記事に関するTwitterの呟きなどにリツイートや、インスタグラムのコメント欄や引用ストーリーズでお待ちしてます!)

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この「ノスタルジックサウナ写真集」プロジェクトでは、クラウドファンディングも実施しています。この記事や、こちらのクラウドファンディングのページを読んでいただいてご興味やご共感をいただけた方は、ぜひ応援のほど、よろしくお願いいたします! なお、ご支援いただいたサポーターの方への返礼品として、この「久慈サウナ」さんの“施設貸切権”が付いたコースもご用意させていただいていますので、ぜひチェックを!!

<次回は東京都台東区の「サウナセンター」さんについて記してみたいと思います>