サウナとバイクは相性がいい。
ライダーには共感される話だが、サウナ好きにはあまり知られていない。そこでこの説をもっと周知すべく、サウナとバイクを愛する俳優の指出瑞貴がホンダの最新バイクに乗り、神奈川県小田原市にある「山賊サウナ」を目指してサウナツーリングに出かけた。

ライダーはサウナとバイクの好相性を知っている
サウナとバイクなんて、一見なにも共通点がなさそうなふたつの趣味。だが、じつはどちらにも共通して言えることがある。それはともに心と体をホットにすると同時に、ホッと気持ちを満たしてくれるものだということ。熱くなれるのに落ち着く。そんな相反するマインドが入り混じるのがサウナとバイクなのだ。
事実、世の中にはそのどちらも趣味として楽しむ人がいる。指出瑞貴さんもそのうちのひとりで、俳優としてテレビや映画に出演するかたわら、趣味であるサウナやバイクについて、日々SNSや動画サイトを通じて発信している。もしかするとこの記事を読んでいるサウナ好きのなかには、SNSで目にしたことがあるという人もいるかもしれない。
そんな彼女がこのたび「サツー」(サウナツーリング)に行くと聞きつけ、早速、SAUNA BROS.編集部も同行させてもらうことに。目的地は神奈川県小田原市にある「山賊サウナ」。大きな樽でできた水風呂で知られ、編集部がある東京都内からはバイクで約2時間というアクセスの良さ。さらには関東住まいのライダーにとっての聖地、箱根にも近いという好立地で、「サツーにこれ以上のサウナはない!」と、指出さんは言う。
サウナが好きなライダーだけの特権
編集部が出発したのは午前5時。指出さんと同じ気持ちを味わうべく、こちらもバイクに乗って向かった。山賊サウナに向かう道中で指出さんと合流する。山賊サウナは未体験という指出さん。まだ見ぬサウナにどこか上気している。ただ、もしかするとバイクにドキドキしているのかもしれない。
指出さんの愛車はヤマハのXSR700だが、このツーリングで乗ってもらったのはホンダのニューモデルであるCB1000ホーネット。……ん? ホーネット? よく見るとここにも「ホ」ーネ「ット」、ホットが隠れているではないか! ホーネットに乗ってホットなサウナでホッとする……。サウナ好き、バイク好きにとって、こんなに心ときめくことがほかにあるだろうか。
「わたし、ホンダのバイクにはあんまり縁がなくて。だから今回とても楽しみにしていたんです」と話す指出さん。はじめてのバイクにもかかわらず、こなれた身のこなしでバイクにまたがる。混雑しはじめた都心を離れ、朝日がまぶしい横浜横須賀道路を南へと向かう。せっかくのツーリングなので、イッキに山賊サウナに向かうのではなく、湘南の海沿いをのんびり流して向かおうという魂胆だ。

道すがら、漁港に寄って写真をパシャリ。指出さんもあれこれ写真を撮っている。すぐ写真を撮りたくなるのはライダーならでは。仕切り直して走っているうちに、やがて江の島が見えてきた。山賊サウナも近い。片道2時間なんて、ライダーにとっては「そこらへん」の距離感だ。
なお、参考までにこちらが筆者の撮影当日のおおまかな走行ルート。

都合により撮影したエリア以外も走っているが、走行距離は267kmほど。気持ちよく走れたことは先に伝えておく。
大涌谷からの樽水風呂、そして外気浴!

途中、SAUNA BROS.編集部員(つまり筆者)が指出さんやカメラマンとはぐれるというトラブルがありながらも、無事に山賊サウナに到着。名物(?)の「サウナ×焼肉」の看板の前で写真を撮り、さっそく中へと進む。ちなみにこちらは1階が焼肉店の「山賊ホルモン」、2階が「山賊サウナ」と、かなりパンチが効いている。いまや幸せな欲望が渦巻くこの建物、確か以前はお蕎麦屋さんだったはず……とガラッと様変わりした前世と現世に思いを馳せながら受付を済ませる。
時間枠は90分、120分、180分で区切られ、それぞれ1,800円、2,300円、3,600円。そこにデトックスウォーターなどのドリンク飲み放題をつけると、プラス200円。180分いても、ハイオクガソリン20L程度のロープライス! と、ライダーならではの「ガソリンに換算するとだいたい何でも安く感じる」に興じながら脱衣所で水着に着替える。
同じく着替え終えた指出さんと合流し、まずはサウナ室の真上にあたる外気浴スペースをチェックする。箱根の山のふもとの眺めはまさに風光明媚といったところ。地上をのぞきこむと、大きな樽水風呂が鎮座ましましていて、「え!? すごい!」と、指出さんも思わず感激の声を上げる。
すぐにでも水風呂に飛び込みたい気持ちを抑えながら、もちろんまずはサウナから。箱根を代表するビュースポットで、火山の水蒸気爆発でできた爆裂火口「大涌谷」の名を冠したサウナ室は広く、そして熱い。早朝からのバイクで冷えた体もぐんぐん温まる。指出さんの額にも、しだいに汗がにじみはじめる。

ゆうに15人くらいは入れる広いサウナ室は座面が3段設けられており、どっしりあぐらがかける程度に広い。窓からは陽の光が射すとともに箱根の山が見え、その横では超大型のサウナストーブがガンガンに熱を発している。上部までぎっしりサウナストーンが詰まったその姿を見るだけでも、体はもちろん、心まで熱くなってきて……。

というわけで、十分に蒸されたところで念願の水風呂へ。かけ水してドボンと浸かると、思わずこぼれる笑みと笑い声。樽というアトラクティブな水風呂を前に、黙って入れるサウナ好きなどいない。箱根連山水をかけ流した水にほぼ頭まで浸かり、水の柔らかさとキンキンの冷たさを満喫する指出さんは、水面に漂うように静かに体を浮かべている。

その後の外気浴では、眼下の国道1号線を走るバイクの音に耳をすませる指出さん。サウナ好きが水風呂の水温を当てられるように、ライダーは走り去る音でエンジンの種類を当てることができるのだ。

ちなみに飲み放題のドリンクのひとつは、山賊サウナ特製のデトックスウォーター。近くの農園で採れた柑橘類をふんだんに使った一杯は、水分補給にはもちろん、単純に飲み物として美味しいのでついついおかわりしてしまうはず。


思わず「いいね!」とつぶやくサウナ
つづいては「大涌谷」の向かいに位置するサウナ、「大平台」へ。例に漏れず、こちらも箱根の地名が由来となっている。大涌谷と比べると狭いが、9人ほどが入れるサウナはやや暗く、おこもり感がある。

パチパチと薪が爆ぜる音を聞いているうちに、一度温まった体からはすぐに汗が吹き出しはじめる。それにしてもカッコいいサウナストーブだなと思っていると、なんとこちらはあのモキ製作所の「MS70」をベースにしたものだった。

そう! こちらの後継モデルにあたる「MS70 II」といえば、発売中のSAUNA BROS.別冊「SAUNA KIITOS」にて、綴込付録のペーパークラフトのモデルになったモデル。製作の様子はこちら(写真とテキストで紹介)やこちら(タイムラプス動画)でご覧あれ。

閑話休題。ストーブの小窓からのぞく炎をぼんやり見ながら過ごす時間はとても心地がいい。しっかりした熱さはもちろんだが、まさにホットでホッとするひとときがここにあった。指出さんも小さな声で、「ここ、いいですね」とつぶやいている。
その後は水風呂→外気浴のお決まりコースを堪能した指出さん。さらに2つのサウナ室のあいだにあるスチームサウナ、「早雲山」も楽しみつつ、再び大涌谷や樽水風呂など、撮影後も時間の許すかぎり、山賊サウナを満喫していた。



心も体もすっかり解きほぐされた指出さん。着替えて向かった先はもちろん……。
次回、「山賊ホルモンとバイクで一夜城」をお楽しみに!
山賊サウナ
■住所:神奈川県小田原市風祭148
■営業時間:前10:00~後10:00(最終入館は後8:30)、年中無休(月に1日程度メンテナンス休業あり)
■料金:90分=1,800円、120分=2,300円、180分=3,600円 ※ドリンク飲み放題ありは+200円
※すべて税込
※詳細は公式HP(https://sanzokusauna.com/)をご確認ください
指出瑞貴
1994年7月8日生まれ。東京都出身。俳優業の一方、大型自動二輪車や普通自動車免許、特殊小型船舶免許などを保有するアクティブさで活躍中。サウナ好きで、サウナ・スパ健康アドバイザーなどの資格も持つ。自身で編集まで手掛けるYouTubeチャンネル「さしちゃんねる《バイク女子〜指出瑞貴》」も好評配信中。
なお、こちらの記事は発売中のSAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOSでもお楽しみいただけます。お求めはお近くの書店や、ネット書店(Fujisan.co.jp<https://www.fujisan.co.jp/product/1281706229/b/2712005/>ほか)にて。

「SAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOS」
■定価:1,137円
■発行:東京二ュ―ス通信社