<GO! 1010-37!! 銭湯サウナの魅力にハマる。第6回>東京・品川区「新生湯」(#2) 人気銭湯サウナがひしめくエリアで再確認した『銭湯サウナの底ヂカラ』

目次

さまざまなアイデア、お店作りの根底にあるのは……

「平成19年にリニューアルをしようと考えて、半年くらいかけて200軒近くの銭湯を回ったんです。そのときに思ったのが、心身ともに本当にじっくりと休める銭湯にしたいな、ということ。外気浴だったり、露天の洞窟風呂をそれぞれああいう形にしたのは、そんな思いがあってのことなんです」(新生湯/新井重和さん。以下同)。

休憩スペースに限りません。炭酸泉、心地よい刺激のジェット風呂などに加えてサウナ室と水風呂も……。すべては体も心も安らげる空間を追求してラインナップされたものなんですね。

「大地の湯」側の広々とした外気浴用ウッドデッキ
「大地の湯」側の炭酸泉&水風呂

「“健康増進型”という発想にたどり着いたのは、やっぱり街の風呂屋としての意義をあらためて考えた結果なんですよね。もちろん商売ではあるんですが、風呂屋にとっては、皆さんに笑顔になってもらい、心も体ものびやかに日々を送ってもらう手助けとなることがとにかく大事だろうと。そうなるとね、結局のところ1番は『健康』に貢献することなんじゃないかなって」

地域の人々の健康のために、新生湯ではさまざまな設備や装置を整えるだけでなく、サービス面でも一歩進んだ試みを展開していらっしゃいます。銭湯の経営と並行して、介護部門の「湯~亀」(ゆ~き)、そしてフィットネス部門「P2M」というサービスもそれぞれ運営。

「高齢の方などで一人ではお風呂に入るのが大変な方もいらっしゃるし、そういう方には入浴とデイサービスを併せて提供しよう、と。フィットネスのほうは……そもそも高齢になっても健康でい続けるには、もう少し早い時期から体をケアしてもらえればいいんじゃないかと思って立ち上げました。最初は40代以上向けでスタートさせたんです」

のれんの「いやしの銭湯」の文字は……ダテじゃないんです!

デイサービスは、車で地域のお年寄りたちを送迎。連日、銭湯の営業開始のはるか前の時間=朝8時半からこのデイサービスを提供しているそう。一方、フィットネス事業も対象層を広げ、今では中学生から通えるジムも始動。さまざまな競技でそれぞれ全国大会を目指す少年たちが体作りのために通ってくるほどの、知る人ぞ知る施設でもあるそう。

「いろいろと(仕事の幅も)広がってきましたが、根本にあるのは、この“地域の人に健やかに毎日を過ごしてもらう”ためにがんばっていこう、ということ。『そのためには、何ができるんだろう』っていう発想なんですよ。スタッフにも1つの業務……お風呂やサウナの管理、提供だけじゃなく、介護の送迎などいろんな仕事をしてもらっているんですけど、とにかく少しでも健康面で皆さんに貢献しようと。肉体的にも精神的にも健康でいてもらうためにやれることはなんでもしていきたいなと思ってるんです」

前回記事、そして今回の記事で触れてきたような、サウナを含めて先進的でオンリーワンでもあるさまざまな設備が整っているのにはこうした理由、ブレない思いがあったのです。

「そして、まだまだいろいろ進化していきたいとは思っています。サウナ室や水風呂、ととのいスペースなどについてはとくに、もっともっと新しい考え方やアイデア、設備も生まれているじゃないですか。

実はこのあたり(旗の台、中延、戸越近辺)って、サウナのある銭湯で人気のお店も多いんですね。『金春湯』さん、『戸越銀座温泉』さんとか、『中延温泉 松の湯』さん、『西品川温泉 宮城湯』さん……。それに『富士見湯』さんも凄い本格サウナを新設されましたからね。かなりコアなサウナ好きの方が、そうしたお店とともにうちにも来てくれるんで、何ができるか、何が求められているか……これからもいろいろと見つけられそうだし、私たちでも考えて、大いに改良していきたいと思ってるんです」

利用者の健やかな暮らしのために、これまで「心地よさ」、「ホスピタリティー」を追求され続けてきた新生湯さんの、なんともうれしいコメント。

この言葉には、新生湯さんだけでなく、すべての『銭湯サウナ』さんの魅力や底力、矜持みたいなものがギュっと凝縮されている気がします。

いやぁ、やっぱり……銭湯サウナ探訪は辞められません!


【新生湯】
■住所:東京都品川区旗の台4ー5ー18
■営業時間:平日(火~金)=後3:30~深0:00、土=後3:00~深0:00、日・祝=前11:30~後11:30
■定休日:月曜(※祝祭日の場合は営業。後1:00~深0:00)
■料金:入浴料500円+サウナ料金300円(貸バスタオル付き)

撮影/長谷繁郎

1 2 3
シェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次