これは……キング・オブ・サウナことフィンランドの「スモークサウナ」と同じでは!?
先ほど、およそ4時間以上も炎を焚き続けて石風呂をあたためると記しましたが、ちょうどその作業がクライマックスを迎えたようです
保存会の方々が、入口からダイナミックに火かき棒を差し込んでいる姿を、私たちも後方から覗かせてもらいます。
スゴイですね。真っ赤なまるでマグマのような火。掻き出される度に、うぉ〜、アツい空気の圧がこちらに一気に押し寄せてきます。
ところどころにまだ丸太というか薪の原型をとどめているものもありますが、ほとんどが燃え尽きて小さな炭になった状態。まさに4時間燃やされ続けた感じがありますね。
スコップや箒を使って、それらの炭をきれいに丁寧に取り出していって……。
先ほどの囲炉裏に移していきます。
ドームというか、土まんじゅう型のてっぺんに設けられた開口部も開かれました。そこから煙を逃していきます。
この様子を見ていて、「おお〜!?」とあることに思い至るサウナ好きの方も多いのではないでしょうか。
そうなんです。フィンランドで「キング・オブ・サウナ」と呼ばれるスモークサウナと似ていませんか?
というか、ほぼ同じ発想での蓄熱方法のようです。
フィンランドのスモークサウナは、大量の薪をやはり数時間をかけて燃やし続けてサウナストーンを熱したあと、炎を消します。そして室外に煙をすべて逃したあとに、ストーンに蓄えられた熱と、その石にかけるロウリュによってあたたかさと蒸気を愉しむというスタイルですよね。
石から伝わるアツさは、“余熱”ということもあって、温度はしっかりとアツいながらもとてもやわらかく、本当に気持ち良い。それがスモークサウナが「キング・オブ・サウナ」と称される理由です。
石菖のハーブ感も最高! たっぷりの水で湿度=蒸気もバッチリです
話を戻しましょう。はい。これが石風呂の内部の様子なのですが……ご覧ください! 壁や天井がすべて石に囲まれた状態なのです。
お分かりでしょうか。“目の前に石が積まれている”か、“石に周囲を囲まれているか”の違いだけで、要は『余熱』『石からの輻射』でじっくりあたためられるという原理は一緒なんですよね。
さて。
すべての炭がきれいに取り除かれたら、いったん水が満遍なく撒かれます。消火の意味合いもあるのかもしれませんが、見てください! この蒸気!!
そしてその上に石菖(せきしょう/菖蒲の一種で神経痛や疲労回復、また胃腸などをあたためる効果もあるといわれています)の葉を敷いたあとに……。
再び満遍なく水をかけて。
その上に、筵(むしろ)、ゴザを丁寧に敷き詰めていきます。
入口までゴザがつながりました!
最後に、ザルに入れた卵や温度計が天井からかけられ、扉が付け直されて……準備がととのいました!
温度計は150℃! 思わず二度見するアツさですが、何この気持ちよさ
「お待たせしました。もう、ええよ」という保存会の山縣稔さんの声で、次々と参加者が入って行きます。初めての訪問である私たちは様子を見たいという思いもあって、地元の、毎回のように参加されているという方に続いて石風呂の中へ。
内部は4畳半くらいの面積でしょうか。7〜8人ほどが足を伸ばして座れる広さです。
先述のように4時間以上もかけてじっくりとあたためられた石の壁です。うっかり触れると大変な熱さであろうことは、身をかがめて入口をちょっと覗き込んだだけでも十分にわかるほどです。
地元の方々は皆、長袖に長ズボン。さらには毛布をかぶったり、顔をタオルで覆ったりと完全防備!
進んでいくと、かなりの「熱の圧」が身体全体を包み込んできます。いやぁ、これは素晴らしいアツさ。気持ちいいです!
なんと! 先ほど掛けられた温度計の針を見ると150℃を指していました。
とはいえ、肌がヒリつくようなアツさでは決してなく、やわらかでまろやかな質の熱です。そして、どこか爽やかな香り。先ほど敷き詰めていた石菖と、ふんだんに撒かれていた水による湿度が、本当にほど良いのではないでしょうか。
ロンTと膝丈のハーフパンツで臨んだ私たちでしたが、日頃の高温めのサウナと同様の感覚です。十分に気持ちよく堪能することができました。
石菖は、香りだけではない気持ちよさも有しているようです。吸い込んだ空気が鼻腔から気管へと通っていくときの感覚も、とてもマイルドかつスッキリ! なんというか、メントールとまではいかないけれど、程よく爽快感があって。どこか甘みも感じる気がします。
そして、そんな蒸気を含んだ空気は、肌あたりもまた良きです。なんだかめちゃくちゃしっとり! 静かににじみ出てくる汗もまたサラリとしていて……とにかくとてもイイ感じなのです(←語彙力なくてすみません)。
いつまでも座っていられる。いや、いつまでも座っていたい……。そんな感覚に陥るのでした。