大分県豊後大野市の稲積水中鍾乳洞。

夏休みには、多い日で1日2000人も来場する観光スポット。SAUNA BROS.vol.4では武田玲奈さんが表紙の撮影で入りました。”サウナのまち”宣言をした豊後大野市を象徴する施設の一つです。

稲積昇竜大観音がひと際大きく目立っています

昭和タイムトリップロマン座、白蛇堂など味のある施設も併設されていますが、今回はの主役はサウナ。

まずはテントサウナで体を温めます。薪ストーブと山盛りのサウナストーンが優しく温めてくれます。お世話をしてくれた支配人の青松さんにお話を伺いました。

支配人の青松善輔さん。サウナの中での温かなお話も魅力の一つ。

「こちらの鍾乳洞自体とても珍しくてですね、鍾乳洞ができた後に水没をしているという水中鍾乳洞となってます。水没した歴史が、お隣の熊本県の阿蘇山、外輪山がありましてね、元々大きく一つの山だったんですね。30万年前から大きく4回噴火してまして、ドンドンドンドンと、それで大きな盆地ができて外輪山ができてるんですけど、その4回目9万年前の噴火が原因でここが水没してですね、入り口がせき止められて水没した。今一番深いところで50mのところが発見されています。1~1.8mのところを水風呂として体験していただきます。」

不思議な水中鍾乳洞の体験は、もうすぐ!

――私の知る限り、1.8mの水風呂は恐らく日本で一番と言っていい深さじゃないですか。涼し気ですね~。

「ここの鍾乳洞の水風呂は年間通して16℃なんですね、しかも水が流れてますから、そのまま掛け水なくジャボンと入っていただいて大丈夫です。泳いでも、浮いても大丈夫です。“ととのう”のに浮いた方がいいらしいです。浮遊感があった方がいいらしいですよ。なので浮き方もたまに教えます。」

――なにからなにまで手取り足取り、優しさに溢れています。

「ダイビングには少し浅いかなと思ったんですけど、サウナの水風呂にしてみたら足がつくというのも大事なことなんですよね。水風呂入って、足バタバタして歩いて行って、洞窟とか色々なところを楽しめます。そして、ここは日本名水100選の水です。石灰岩の山ですのでカルシウム分がとても多い、そしてケイ素が含まれていますので、肌がすべすべする効果があります。もちろんサウナも美肌効果があるんですけどね。」

――いいことづくめですね。こういう鍾乳洞って日本で他にあるんですかね。

「ここは昭和51~52年に調査をして、その時にダイバーさんが空洞を見つけて、4m~5m水位を下げることに成功しました。空洞に人工トンネルをして通れるようにしたのが、ここの鍾乳洞なんですね。それでここを天然記念物にはあえてしなかったらしいんです。もしも天然記念物にしていた場合、保護の観点から(水中鍾乳洞に)手を付けられないし入れない。なのでまず4年前にダイビング始めまして、一般の方も潜れるようにした。ほかのところでは文化庁の許可がなければ入れないんです、調査とかでないと。一般の方が気軽に入れるところは、多分ここ以外に、日本ではないと思います。」

――あえて天然記念物にしない、そんなことあるんですね。

「その後、2、3年くらい前かな、それまでサウナにそれほど興味なくて、サウナ入っても水風呂に入ったことないみたいな感じだったんですね。“おんせん県おおいた“でありながら、温泉がない。だけどそれをサウナで盛り上げていきたいと2019年に声がかかって、それなら仲間に入れさせてもらいたいと思い、ロッジ清川でサウナをさせていただきました。初めてのテントサウナも(稲積水中鍾乳洞で使っているテントサウナと同じ)この形だったと思うんですけど。12月8日頃にさせていただきまして、その時の水温が7℃くらい外気10℃くらい、初めてのサウナにしてはまぁまぁ寒い。」

――いきなりシングルですか!

「初めてだからこんなもんなんだなと思ってやってましたですね。だけど騙されたと思ってサウナで熱くなって、騙されたと思って水に肩まで浸かってくれと。でも7℃っていったら体が痛いじゃないですか、浸かっても1、2秒しか浸かれないですね。でも出たら寒くないんです。温まっているから。外気が寒いはずなのに寒くない。そんな体験したことないから、めちゃめちゃ面白いなと思って、そこからサウナにはまってしまいましたね。外気浴がめちゃめちゃ気持ちよかったですね。」

—2020年3月7日協議会発足。20年12月に備品とか届いて、コロナとか色々あって遅れて、2021年の3月20日にオープン。

「12月から3月オープンまで、僕なりに、すごく勉強しました。友達たくさん呼んで、どうやったら”ととのう”のか、すごいやりましたね。その時に仲間に入れていただいて最初、川だった。日本名水100選の川で透明度めちゃくちゃいいですね、川でやろうと思ったんですけど、川でやるのは当たり前な感じがして、協議会として名をあげさせてあげたいという思いがあって、一方ここの鍾乳洞としてもきちんとやりたいという思いもあるので、水風呂を鍾乳洞でやった方がいいというのもわかっているんですよ。でも、一般の鍾乳洞見学のお客様がいらっしゃいますから……。」

—-鍾乳洞のお客さんに水風呂入っているところも見学されちゃうんですね。

「そうなんですよ。ダイビングと鍾乳洞のお客様はマッチするんです。ダイビングの姿を見てお客様は喜んでいただけるので、もう相乗効果が生まれるんですよ。ダイビングで潜っていって上がってくるまでお客様が待ってたりして、すごくいいんです。けれどサウナはお互い気まずいんですよ。あれっ、なんで裸の人がいるの? なんで女性水着なの? 寒くないの? って。」

――初めはビックリしますよね。で、そこからどうやって実現にもっていくんですか?

「鍾乳洞の水風呂はなんかいいよね、という話になって。いいサウナ研究所のメンバーがやろうやろうって、テントサウナ持ってこようって話をして。自然と鍾乳洞で水風呂1回やってみようってなって、ここにテント張ってやってもらったら、やっぱりすごいと、面白すぎる! だからこれ絶対やった方がいい。ってなりました。でも鍾乳洞もあるし運営はどうしようかなと迷ったんですね。結果、鍾乳洞の水風呂は夕方だけにしました。」

――だから午後4時~6時だけなんですね。体も温まって、いい汗出てきたので、そろそろ水風呂に行きたいです。

「行きましょう!」

サウナテントを出て、水中鍾乳洞へのトンネルの坂道を下る

お行儀悪く、ジャボン! プワ~。冷たい! 気持ちいい! 水のキメが細かいような気がします

SAPの上で外気浴? 内気浴? 見た事のない風景に異世界転生感がすごい!

だいぶ体も冷めてきたのでサウナ2セット目入りたくなってきました。水中鍾乳洞の体験が、お話以上の衝撃。体感は16℃以下です、とても冷たい。

――青松さん、ロウリュと大団扇でのアウフグースもありがとうございます。SUPは発明ですね。水風呂でSUPに寝て鍾乳洞の天井を見る、不思議な体験でした。

「鍾乳洞水風呂をちゃんと運営して、評価を下げないようしたいと思いました。水中鍾乳洞はいいので、アプローチも、案内も、一緒に(テントサウナに)入ってこのようのお話もするのもそうですし、薪の入れ方、水のかけ方も、仰ぎ方も、アウフグースもテントサウナの中は狭いのでタオルでなくて、こんな風に団扇でやる。いろいろ考えたんです。九州の有名な施設も何件も行ってみたのですが、結果ここの良さを引き上げるしかなかったんです。もちろんほかの施設も楽しいんですけど、勉強にはなりづらかったんです。」

――確かに、こんな唯一無二の環境ないですもんね。

「ですです。ここ良さを引き上げるのはここの人しか考えられないので。SUPを思いついたのは、雨の日とか暑い日とか、洞内で外気浴できないかなと思ったんですね。洞内ずっと16℃ですから。イカダを作って島を作ろうかと思ったんですけど、あまりしっくりこなかったんです。で、SUPを持っていたので、遊んでみてはどうかなと。平均年齢42歳くらいの男7人を集めてサウナして、今日はSAPで遊ぼうと。そうしたらみんなめっちゃ喜んで。キャーキャー言って、40歳超えの男たちが、喜んだんですね、私は今年47歳です。本当に20歳くらい若返るんです。これはいいなと。」

――確かにぶちあがりました。どこにいるのかわからなくなりますもん。夢の中ですよ。お話しながら、じゃんじゃんロウリュしてくれてますが、青松さん、何をかけているんですか?この香はもしかして? 

「一般的にアロマとか、お茶ですとほうじ茶とかよく使われいると思うんですけど、ここでは紅茶をロウリュしてまして、紅茶で”ととのう”。ほかでやっていないことやらないとですね。色々試したんですが、“紅茶いいいね”と言っていただいたので、やっています。」

――天井から紅茶のいい香りがふりそそぎます。これはクセになりますね。こだわりの紅茶なんですか?

「一番安い業務用の紅茶です。これが一番良かったんです(笑)。」

ーいや~そういう正直なところ、本当に最高です! 好きです。

「鍾乳洞の水風呂がとても珍しいので、鍾乳洞の中を探検できるSUPも珍しいと思いますし、極力ほかでやっていないことをやっていって、サプライズを積み重ねていこうと思っています。」

――来た人を楽しませようとする心にグッときちゃいます。

「稲積水中鍾乳洞の名前を高めたい、豊後大野市のいいサウナ研究所の名前を高めたいと思っています。なので1日2組だけでも意味があると思っています。とりあえず継続しないと僕がサウナ楽しめないので(笑)。夜一人でサウナに入ってます。外気浴中の星がキレイなんですよ。春の夜桜なんて、もう……めいちゃくちゃキレイです。」

ー最高ですね。

「本当に、もうすいません(笑)。スタッフで共有して、楽しみ方をわかってないとお客様に伝えられないので、もう楽しんで、楽しんでやってます。」

――支配人の青松さんやスタッフの方が楽しんで工夫しているので、来た人も楽しくなっちゃうんですね。

お話色々とありがとうございました。

水風呂2回目行ってきます!

再びの水中鍾乳洞水風呂へ。シュノーケリングも楽しい。(スタッフが立ち会えるときのみ)

深く潜るのは危険なので、ダメです。しかし冷たい、気持ちいい。

水の底はこんな感じです。名水100選の透明度が際立ちます。

そして、〆の外気浴。

青松さんが、足元を毛布で包んでくれました。

「足元を温めると、また気持ちいんですよ。」

足元が体温で徐々に温まってくる。未体験の心地よさ。鳥の声、山のざわめきを遠くに聞きながら、天に吸い込まれる。時を忘れて……。

最後まで最高ですよ。次来た時はどんな工夫がされているのか、楽しみすぎます。

稲積水中鍾乳洞
住所:大分県豊後大野市三重町大字中津留300番地
営業時間:サウナ=後4:00~6:00 稲積水中鍾乳洞=前9:00~後5:00(夏季は延長営業)、年中無休
料金:サウナ=2時間4,000円(稲積水中鍾乳洞入場料込)※2人以上から利用可能、稲積水中鍾乳洞=大人1,300円、中高大学生900円、4歳~小学生700円

稲積水中鍾乳洞で表紙を撮影したSAUNA BROS.vol.4はこちらからお求めいただけます

撮影/長谷繁郎