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◆「十勝」にあるもの、「十勝」にしかないもの
「SAUNA BROS.vol.3」での北海道取材では、「白銀荘」「OMO7旭川 by 星野リゾート サウナ プラトー」、そして「森のリゾート 北海道ホテル」の3つの施設を掲載させていただきました。今回は、その「北海道ホテル」を訪ねた際の追想記を綴りたいと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、「森のスパリゾート 北海道ホテル」の大浴場のサウナ室は、北海道ならでは、いや、十勝/帯広ならではの「大地の恵み」を存分に私たちに味合わせてくれるサウナ室です。
その最たるものが「モール温泉」。火山国でもある日本では、温泉の源泉を利用した温浴施設は珍しくはありませんが、この帯広の「モール温泉」は、鉱物ではなく植物由来の温泉。太古の時代の植物が長い時間をかけて堆積した泥炭層を通って湧出している温泉で、世界的にも希少なものなんだそうです。
“植物由来”だけあって、とても滑らかな泉質で、入ってみると、いや、手を少し浸けただけでもわかるそのまろやかさは「天然の化粧水」とも称されています。ホントに、びっくりするほど肌に“まとわりついてくる”んですよね。
さて、こちらの大浴場のサウナ室では、この「モール温泉」をロウリュできるんです。そう、サウナストーブ上のストーンにこの源泉水をかけることができるんですね。想像してみてください、「肌にまとわりつく」水が、蒸気となって空中を降りてくる感じを。
そうです! 蒸気の肌あたりが、とにかく気持ちいいんですね!! サウナ室じたいの温度はそれほど高い設定ではないのですが、汗の出方も体感温度の心地よさも段違い。これは、一度は経験したいロウリュです。「モール温泉」を使うので「モーリュ」と呼ばれてるそうです。
そしてこの「大地の恵み」を、さらに私たちサウナ好きに心地よく味合わせてくれるのが、壁や床にもこの「モーリュ」を行ってもよいという、とてもありがたいホスピタリティ。実は今回、「北海道ホテル」の林克彦社長にお話をうかがうことができたのですが、林社長はこのサウナに関するホスピタリティのことを「サスピタリティ」と笑いながらおっしゃっていました。 壁(ウォール)にかけるから「ウォーリュ」。床(フロア)にかけるから「フローリュ」。
上から降ってくる蒸気だけではないのです。前(横)から、そして下からも、とびきり上質な熱い空気に包まれるんですよ! でも、こんなことをしてもいい=施設が公認している=ところは、「モール温泉」以上に希少ではないでしょうか!? 蒸発するとはいえ、板貼りです。経年とともに劣化は避けられないわけで、維持・メンテナンスにより手間やコストがかかるわけです。
ただ、「それはぜんぜん気にしていません」と林社長。「サウナの良さ、そしてこの北海道ホテルで味わえる心地良さ」を味わっていただけるのであれば、ぜんぜん大歓迎です、と! クマやフクロウの置き物や彫刻と同様、この地にある「北海道らしさ、十勝らしさ」を心から満喫してほしい、ということなのです。
いやはや、もう、本当に感激してしまった次第です。
そしてサウナ室を出て数歩のところにある水風呂。お察しの良い方はもうお分かりかと思いますが、この水風呂も「大地の恵み」を存分に活用したもの。帯広では札内川流域の伏流水が水道にも使われているそうで、そのお水が常時かけ流しでオーバーフロー! 通年15~16℃の清冽な水、これもマジで気持ち良かったのです。
露天スペースで外気浴もできます。が、そこでもびっくり! いわゆる「ととのいイス」が置かれた位置に、露天風呂からのあたたかい温泉水がちょうど流れるようになっているではありませんか! 足元があったかいままの、北の大地の外気浴。想像してみてください(2回目)。もう…サスピタリティ最高!なんです!!
「サスピタリティ」は大浴場だけではありませんでした。「北海道ホテル」には本格的なセルフロウリュを楽しめるサウナ付きの個室(ツイン)もあります。サウナ室だけではなくバスルームもあり、バスタブに水を張れば…お部屋でも最良のサウナ体験ができてしまいますし、部屋のバルコニーでの外気浴も!
◆そして「十勝」でこれから味わえるもの
さて、この「サスピタリティ」ですが、現在進行形で、進化を続けているようです。林社長にお話をうかがっていると、思いもよらないプロジェクトを教えてくれました。
来年=2023年のオープンを予定しているそうなのですが、広い敷地内に「新たなサウナ棟を建設する」んだそう!
びっくりして「“サウナ棟”?、ですか?」と聞き直してしまいました。すると、「そうです、サウナ棟です」と…いいですか、皆さん。『サウナ室』ではないですよ、『サウナ棟』です!
気になるその概要は…。
「セッティングが異なる5つのサウナ」「ウィスキングができる個室サウナ」「ペットも一緒に宿泊できるサウナ付きの客室」…。林社長、それって、ありがたすぎます!
「帯広、そして十勝…この地にあるものを存分に生かして、地域全体でサウナを盛り上げていきたいんです」と林社長。
これまでにも、関わっている「十勝サウナ協議会」などの活動を通じて、「十勝しんむら牧場」のミルクサウナや、凍った湖に飛び込む「アヴァント」などのアクティビティ、「日本サウナ大学」などさまざまなプロジェクトをフラッグシップとして牽引してきた方。「有言実行」の人だけに…これからも「森のスパリゾート 北海道ホテル」、そして「十勝」から目が離せません!