テントの中で薪ストーブのやわらかな熱にじっくりと蒸され、外に出ると木々の緑と風、そして青く広い空に包まれる。神戸市中心部からならわずか約30分、大阪・梅田からでもおよそ1時間ほど。気軽に向かえる距離にこんなに素敵な空間があるなんて、関西にお住まいの方がうらやましい! いや、東京をはじめ、遠隔地からでも、このテントサウナを体験しに行く価値はぜんぜんアリかもしれません。
創業から60周年を迎える、関西ではおなじみの“温泉テーマパーク”こと「有馬温泉 太閤の湯」の屋上に、今春新たにオープンした「天空サウナ ARIMA SHIKI-KOYOMI」。1~3名用のテント、4~6名用のテントが全部で4基、常設されています。
ブームの高まりとともにサウナ好きも増え、また「テントサウナ」という言葉ももはや誰もが知るようにはなりましたが、実際に「テントサウナ」を体験したことがある人、実はまだ少ないかもしれません。そんな方には、ぜひこの「ARIMA SHIKI-KOYOMI」を体験してみることをおススメします。
◆わずかな移動時間で自然の真ん中に! 最高の体験がこんなにカジュアルに!!
はい。冒頭でも記したように、とにかくアクセスがいい! まずはこのポイントに尽きます。テントサウナ、アウトドアで楽しむサウナの醍醐味は、ずばり“自然に包まれる”こと。この「ARIMA SHIKI-KOYOMI」は、六甲山系の落葉山、灰形山、湯槽谷山という“有馬三山”に周囲を囲まれ、春には桜、夏は山々の一面の緑、秋は燃えるような紅葉、冬には雪景色と四季折々の風景をすぐそこに感じることができます。
耳を澄ますまでもなく、気づけば風の音や鳥のさえずりが聞こえ、ルーフトップにあるので見上げれば空がもうすぐそこに。 この絶景と開放感が、神戸や大阪の中心部からほんのわずかの移動で味わえるのですから……まさに行かない手はありません!
テントサウナ、アウトドアサウナのもう一つの大きな特徴は「薪ストーブ」ですね。熱がとてもやわらかく、またストーブの小窓から覗く炎のゆらめきを見るのはとても落ち着きます。時折、薪が「パチパチッ」と爆ぜる音もとても心地良いですし。さらに、テント内はもちろんのこと、外で休憩しているときにも漂ってくる、スモーキーで芳醇な香りもたまりません。
そのストーブで十分に熱せられたサウナストーンにロウリュすることで、蒸気と湿度を自分たちで思いのままにできるのも最高です。「ジュッ、ジュワー!」という音、熱い蒸気によって一気に上がる体感温度。薪ストーブとセルフロウリュを体全体=五感で味わっているうちに、一気に汗が噴き出してきます! 仕事や日常のストレスなんか、いつの間にか忘れ去って、気づくと笑顔になってたりするの、本当に不思議なんですよね。
水着着用なので、男女が同じ空間を味わえるというのもいいですよね。友人同士やグループ、ご夫婦でもサウナを一緒に楽しめるというのは、普段なかなか体験できませんから。
こんなにも長所の多いテントサウナですが、実は自分たちで用意するのは、ややハードルは高めです。でも、こちらの「ARIMA SHIKI-KOYOMI」ならスタッフさんが設営やストーブの温度調整、後片付けなどをやってくれるというのもおススメしたいポイントの一つ。
「ご予約いただいた時間に合わせて、しっかりとストーブを温めてお待ちしています。基本的にはセルフロウリュで体感温度を調整いただきますが、ご要望があれば、薪でテント内の室温自体も少し上げるなど調整させていただきます。すべてお好みで、プライベート感あふれるサウナを楽しんでください」(ARIMA SHIKI-KOYOMI:西村裕章さん)
タオルやバスタオルなども利用料金内で借りられます。来るときも身軽なのはもちろん、帰ってからも水着を洗って乾すだけでいいんですよ! 本格的&極上の非日常体験を、こんなにカジュアルに味わえるなんて……!!
◆圧巻の温泉と快適&安心なイノベーションサウナ……「太閤の湯」も追加料金なく利用可!
さて、冒頭で、地元・関西のみならず東京など遠隔地からでも行く価値アリ、と記しましたが、それは、この「ARIMA SHIKI-KOYOMI」がとても利便性の高い条件で存在しているから、なんです。
一般的に、テントサウナをたのしんだ後、帰りにどこか入浴施設に立ち寄って再度体や髪を洗ったり、温まり直したりすることも多いのですが、この「ARIMA SHIKI-KOYOMI」は前述の通り「有馬温泉 太閤の湯」の屋上に設置されていて、なんとテントサウナの利用者は、階下にある「太閤の湯」の温泉&サウナも追加料金なしでそのまま利用出来てしまうのです。
有馬温泉は言わずと知れた“日本三古湯”そして“日本三名泉”の一つです。かの豊臣秀吉も愛したというこの一帯には、豊富な塩分により高い保温・保湿・殺菌効果があり、冷え性や腰痛、関節痛、皮膚疾患などに効能があるといわれる“金泉”(その名の通り、赤みがかった黄金色です)、炭酸ガスやラジウムを含み、その効果で疲労回復、むくみの解消や鎮静などに効能がある無色透明の“銀泉”など、さまざまな泉質の温泉が湧出しているのですが、実はこの「有馬温泉 太閤の湯」は、その“金泉”と“銀泉”の両方を味わえる数少ない施設なんだそう。
サウナ好きの中には、あまりお湯の浴槽には入らない、なんて人も少なくありませんが(実は私もその一人ですが……)、そんな人もここの温泉にはだまされたと思ってぜひ入ってみてください。実際に筆者は「ちょっとだけ入ってみて、すぐサウナ室へ行こう♪」なんて思っていましたが、気づいたら……かなりの時間が経っていて、なおかつ湯船のはしごをしていました!!
そして、コロナ禍をきっかけにさまざまなアップデートを重ねたサウナ室もぜひ一度体験してみてほしい空間です! とくに、高い換気能力と同時に室温低下も防ぐという画期的な「熱交換換気システム」を導入したメインのサウナ室がとにかく快適そのもの。息苦しさがまったくないフレッシュでクリーンな空気が絶妙なセッティングで温められていて、入ってすぐに発汗してきます。
写真を見てお気づきになったかと思いますが、ベンチ上には座る位置ごとに木の仕切りが設けられていて、これがまた実にGood! 仕切りを設置したそもそもの目的はソーシャルディスタンスの確保と飛沫防止という、いわゆるコロナ対策だったそうですが、木で作られているので室内の雰囲気をまったく損ねることもなく、むしろ暗めの調光とあいまって完全に周囲と隔絶されたソロブース=「個の空間」を現出していて……めちゃくちゃ集中&没入できるんです!
山のように積まれたサウナストーンに、10分~12分おきに降り注ぐオートロウリュでは、“銀泉”および抗菌、抗ウイルスの効果が高いティーツリーオイルを使ったアロマ水が使われています。しっかりと保たれた湿度に、さらにメリハリを効かせて体感温度を一気に上げるだけでなく、感染の心配なく安心して入ってほしいという実に細やかな心配り。日本一ホスピタリティのあるロウリュかもしれません。
アチアチに蒸されたら、サウナ室を出て数歩の位置にある水風呂へ。この水風呂も“銀泉”を17℃に冷やした水を使用しており、広さも深さも十分。ちょうど良い水温の清冽でスッキリした水に全身を浸ければ、実に心地よいクールダウンが。
2種のサウナ室でしっかり発汗し、“銀泉”を冷やした清水で体をシャキーンと引き締めたら、通称“天国への階段”を上って階上にある露天エリアを目指すことをおススメします。一段一段ステップを踏みしめ、視界が開けたその先には、まさしく天国が広がっていますから!
◆“サウナめし”も浴後のくつろぎも! 身も心もゆったりほっこり!!
屋上のテントサウナ「ARIMA SHIKI-KOYOMI」、そして「太閤の湯」のサウナ&名泉を存分に楽しんだら、いつしか身も心もすっかりときほぐされているはず。こんなに充実した休日を過ごせる場所はそうそうありません。もちろん食事処やリクライニングチェアや畳敷きの休憩コーナーもしっかりスタンバイ。無料の岩盤浴エリアもあるのでさらに体を伸ばし、ゆるめることも可能です。
また、隣接するスタイリッシュで和モダンなホテル「有馬きらり」とは館内通路でつながっているので、あらかじめ予約をしておけば泊まりがけでの訪問も可能。よりくつろぎのホリデーを過ごすことが出来そうですね。
「自然に囲まれて炎と熱を愉しむテントサウナならではの体験は、日々のお仕事や生活の中で感じられた疲れやストレスなどを忘れさせてくれると思います。昨年の秋にイベントとしてイレギュラーで設置・開催してみたところご好評をいただきまして、常設することを決めました。ぜひお気軽にいらっしゃってください」と西村さん。
「天空のサウナ ARIMA SHIKI-KOYOMI」、そして「有馬温泉 太閤の湯」。関西在住の方はもちろんのこと、他の地方にお住まいの方にもおススメしたい“えぇとこ”です。
はい。私も再訪を胸に誓ったのでした。
【天空サウナ ARIMA SHIKI-KOYOMI】
住所:兵庫県神戸市北区有馬町池の尻292-2 太閤の湯屋上
営業時間:前10:30~後8:00 <下記スケジュール(各回120分)で要予約>前10:30~後0:30/後1:00~3:00/後3:30~5:30/後6:00~8:00利用料:1~3名=1組につき11,000円、4~6名=1組につき22,000円
※「太閤の湯」入館料を含みます
撮影/岡本武志