JR石川町駅中華街口から徒歩5分。横浜中華街のシンボルともいえるあの門を抜けたところに「SAUNA」と書いた看板を発見! 中華街の中心地ともいえる抜群のアクセスに、突如サウナ施設が現れるのだから驚きです。
2023年4月にグランドオープンを迎えた「HARE-TABI SAUNA&INN YOKOHAMA」は、旅人に横浜の魅力を伝えることをテーマにした宿泊施設でもあります。
横浜観光のハブとなるようなサウナを作りたいという思いから、始まった大きなプロジェクト。「かるまる池袋」などをプロデュースしたサウナ王の太田広氏監修とともに進めてきました。
「横浜中華街といえば観光客でいっぱいのイメージがあると思うんですが、ここ数年は新型コロナウィルスの影響で街が閑散とした状態になったんです。そんな時に、サウナをきっかけに横浜の魅力を再発信できないかなと考えました」と話すのは、サウナプロジェクトに携わったSAUNA事業部 事業部長 坂西さん。
単純にいいサウナ施設を作るのではなく、横浜港らしい赤煉瓦をコンセプトにしたインダストリアルなデザイン空間を取り入れ、中華街にある専門店とさまざまな連携をして、街を巻き込んでの「地域活性型サウナ」が完成しました。
横浜愛に溢れるサウナへ、いざ!
建物3階のサウナフロアのエントランスに入ると、ウイスキーでもおなじみのキャラクター「アンクルサウナ」がお出迎え。なんとイラストを手がけている柳原良平氏は、横浜に移住し活動していた背景から、今回のプロジェクトに賛同してもらい施設のキャラクターとして登場することに承諾をいただいたそうです。
ほかにも、フロアのBGMを横浜とゆかりのあるアーティストに依頼するなど、至るところまで散りばめられた横浜愛! まだまだ登場しますよ。
まずは、男性サウナ室から。男性サウナ室の見どころといえば、HARE-TABI SAUNAのキービジュアルと言っても過言ではない「蒸機サウナ」です。近代産業発祥の地である横浜の象徴として、蒸気機関をイメージして作られたドイツ産EOSの水車型サウナストーブです。
「おそらく日本初導入となった1台目ですね。これを見つけた時はビビッときて、ドイツのメーカーに発注して作ってもらって。海外からここ、横浜まで運んできました。こんな形のサウナストーブなかなかないので、最初は使い勝手も分からず(笑)。 オープン日は、ちゃんとオートロウリュが機能するかドキドキしましたね」(坂西さん)
サウナ室の温度は85度前後。毎時0分と30分のタイミングでサウナストーブにスポットライトが当たり、オートロウリュがスタートする仕組みになっています。1度のオートロウリュで流れる水の量は約2L! 約5分間ごとに水車が正回転と逆回転を繰り返し、ゆっくり水が流れることで、広々としたサウナ室全体に蒸気に包まれていきます。さらに、オートロウリュ以外にも、不定期でスタッフが中国茶ロウリュウのサービスもやっているそうです。
横浜中華街の老舗薬局の漢方をオリジナルブレンドした水風呂
お待ちかねの水風呂は、これも横浜らしさが詰まった漢方水風呂です。中華街にある老舗薬局「更生堂薬局」の漢方や、ミネラルを豊富に含む牡蠣の貝殻などをオリジナルでブレンド。水がまろやかになり馴染みも良く、サウナで乾燥したお肌のケアにもなるそう。いわゆる漢方らしい香りのクセもなく、男女ともに入りやすいようにブレンドしているとのこと。
水風呂の水温は15度以下に設定されていましたが、バイブラが入っているので体感はさらに冷たく感じます。さらに、天井には送風装置が付いていて、頭のてっぺんからしっかりと冷気を感じられる設計にスタンディングオベーションです!
外気浴以上の内気浴を目指して
さまざまなアイデアが詰め込まれたHARE-TABI SAUNAですが、内気浴スペースの工夫も驚くべきものでした。なんと、試行錯誤で作り出した送風機は4種類!
「内気浴をどうしていこうかと決める会議には社長も参加して、実際にいろいろな高さや距離の風を体験して決めました。僕らとしては、顔や肩など上半身に風を浴びるのが大事だと考えているので、そこにちゃんと当たるようにそれぞれ設計しました。逆にお腹はあまり冷やさないようにするとか、かなりこだわっています。外気浴以上の内気浴を目指しました!」
「外気浴以上の内気浴」、名言が誕生しました。
種類ある内気浴から坂西さんイチオシは……その名も「揺らぎプロペラ」と名付けられたプロペラ式の送風機。3台それぞれ風の強弱が設定されていて、揺らぎ効果が体感できるそう。
また男女のサウナ室とも1席ずつ設置している「エアカーテン」は、背中の面までしっかり風が落ちてくるよう開発されたもの。それぞれの送風機の下には、『Lafuma』のチェアが並んでいて、座れば至福のととのい時間を堪能できます。
内気浴スペースでも横浜の街を連想させる赤レンガ調の空間や、実際に船に使われているライトや蛇口など横浜らしさが散りばめられているので、ぜひチェックしてみてください!
続いては、女性エリアへ!
まずうれしいのが、漢方水風呂や4種類の送風機など、ほとんど男性と同じスペックの設備が整っている点です。そして、女性サウナならではのお楽しみも……。
女性サウナ室は汽船の煙突をテーマに、フィンランド製ハルビアのタワーストーブがツインタワーで完備!サウナ室の広さは男性サウナほど広くはないものの、奥行きがあり体育座りもできる幅はうれしいですね。
サウナ室のつくりにもこだわりがあり、熱がサウナ室内を循環するよう天井の傾斜など、計算されて作られているそうです。中国茶のセルフロウリュができるのもこだわり。使用している中国茶は、中華街にある中国茶専門店「悟空」の烏龍茶やジャスミン茶。上質な茶葉の香りが蒸気とともにサウナ室いっぱいに広がり、身体いっぱいに癒しの効果を感じます。
女性サウナも85度前後の設定ながら、ツインタワーにロウリュすると体感は90〜100度くらいに感じることもあるそう。そんな熱さから足元を守るための足置きも貸出するなどうれしい心配りも。さらに、シャワー室にはシャンプーやリンス、更衣室には化粧水なども完備。手ぶらで気軽に行けるのは、女性サウナーにとても嬉しいですよね。
宿泊者限定で朝7~9時の時間帯は、男女サウナが入れ替えられ体験できるということで、横浜観光しがてら1泊して、2種類のサウナを楽しむ「サ旅」もいいですね!
さらに、サウナ室以外にもまだまだHARE-TABI SAUNAらしさは溢れています! それが、リピーターも多いというオリジナルのサウナドリンクです。サウナに入る前、サウナ中、サウナ後それぞれのシーンを設定して開発されたドリンクは3種類セットが人気なのだそう!
サウナ前は、ピリッと辛さのある「ストロングショット」。ドライジンジャエールで体の内側から発汗を促します。休憩中には氷がオロナミンCとポカリスウェットで作られた、最後までおいしい「横濱開港オポロ」。サウナ上がりには、すっきりとした優しい甘さの「自家製フルーツ牛乳」。
ほかにも、地元企業の「横浜ビール」とサウナ後に最適なクラフトビールも開発! その種類とユニークさは、ほかのサウナ施設ではなかなかないもの。ぜひ体験してみてください。
そして、最後のお楽しみは……横浜中華街でサ飯!
「サウナを起点に、街全体が盛り上がっていってほしい」と話す坂西さんは、中華街の飲食店と連携しサ飯メニューの開発をしたり、スタッフのおすすめ店をまとめた資料もまとめてお客さんに提供ししています。
「コロナ禍で観光客がいなくなり閑散としてしまって、なんとか地域を活性化させようと、「最高のサ旅で、横浜観光を盛り上げる」というコンセプトを掲げました。だから、サウナをきっかけに横浜を盛り上げたいんです」(坂西さん)
サウナ愛、横浜愛! とにかく愛に溢れたここ、「HARE-TABI SAUNA & INN」。
最高のサ旅で街を盛り上げる、地域活性型サウナとして、これからも新しいサウナの世界を見せてくれることでしょう。
お出かけ気分の日には、ぜひ横浜でサウナ旅を!
HARE-TABI SAUNA & INN
■住所:神奈川県横浜市中区山下町216 堀井ビル3階
■営業時間:前11:00〜後11:00(最終受付=後10:00)
■定休日:なし
※詳細はこちら(HARE-TABI SAUNA & INN YOKOHAMA – 公式サイト)からご確認ください
文/對馬杏衣
撮影/カノウリョウマ