<特集>王道サウナ施設の進化と深化がアツい!#3「スパ&カプセル ニューウイング」~日本のサウナの豊かさ、多様性と「サウナ愛」にどっぷり浸れます~

サウナ人気の高まりとともに、全国各地で次々と新しい施設がオープンしています。その一方で、これまでブームをけん引してきた人気施設、老舗施設もさらなるアップデートを!

これまで数々の素晴らしい施設を訪ねてその魅力を取材&掲載してきたSAUNA BROS.ですが、うっかりしていると……新たな心地よさをご紹介しそびれてしまいます。

ということで、最新号である「SAUNA BROS.vol.5」では、そうしたリニューアルを敢行された施設をあらためて訪問するとともに各店の“仕掛け人”たちにもお話をうかがってきました。SAUNA BROS.WEBではさらに詳しく紹介しているのが「王道サウナ施設の進化と深化がアツい!」シリーズです。

目次

令和に、あえて「昭和ストロング」なサウナ室を新設! その狙いとは?

都内でも屈指の人気を誇る……いや、全国的にもファンの多い、錦糸町の「スパ&カプセル ニューウイング」に新たなサウナ室ができる! そんな噂を聞いたのは2022年の春のことでした。

「新しくサウナ室を増設しようと思ったのは、お客さんがサウナ室に入りきれなくなってきたからなんです。だいたい10人ちょっとが入れるサウナ室が、もう1つ必要だな、と数年前から考えてはいたんですよね。もういよいよ限界かな、ってところにきたんで、思い切って、『第3のサウナ』を増設しようと決めました」(支配人・吉田健さん。以下同)

「ニューウイング」には、これまで2つのサウナ室がありました。メーンのサウナ室である「ボナサームサウナ」は、その名の通り、座面下に仕込まれたボナサームヒーターからのオートロウリュや床にまく湯から立ち昇る湿度・蒸気で絶妙なセッティングを味わえましたし、もう1つの「テルマーレ改」ではセルフロウリュが愉しめます。

温度と湿度のバランスが絶妙なセッティングの「ボナサームサウナ」
セルフロウリュができる「テルマーレ改」

そんな「ニューウイング」なので、その「第3のサウナ室」も、おそらく温度と湿度のバランスが絶妙なんじゃないかなんて勝手に想像していたのですが……。リニューアル完成が近づいてきたころ、SNSのタイムラインを見て驚きました。新サウナ室の名称が、なんと「からからジール」だというのです。「からから」って? と。

「ふふっ。やっぱり驚きました(笑)? まぁ、そうかもしれないよね。これまでの2つのサウナ室では湿度で勝負してきたから。でも、個人的にはカラカラというか、いわゆる昭和ストロング的なサウナも嫌いじゃないんですよ。あのカラカラの良さを味わってもらうのもいいんじゃないかって思って。

ここ数年のブームでサウナを好きになった若い人には『こういう熱さもあるんだよ』と紹介してあげる。昔ながらのサウナ好きには懐かしい感じになってもらう。そういう狙いが、このリニューアルにはあったんです」

たしかに筆者も嫌いじゃないですが、普通に考えるとカラカラは時代に逆行しているような気がするなぁ、と最初は思いました。

ですが、結論から言うと、想像していた以上に、その「からからジール」が賑わっているのです!

これが第3のサウナ「からからジール」。扉を開いたとたん……おお、アツいっす!!

「逆張り」で、日本のサウナの「豊かさ」が証明された!?

「もちろんボナやテルマーレ……ほかの2つのサウナ室と同じように湿度・セッティングにこだわっても良かったんだけど、逆にその2つの良さを改めて感じられて、なおかつ違う気持ちよさも味わえるものにしてみたら面白いんじゃないかなって思ってね。

もちろん、自分が好きなサウナ室にだけ入るお客さんもいるけど、3つあったら順番に全部入ったり、好きな2つを往復したり、そういうことをしたくなるじゃない(笑)?」

アツくてカラカラだけど、換気の良さもあって、決して息苦しさはありません!!

まさに! 実際に周囲を見渡すと多くのお客さんがそれぞれのサウナ室をはしごしています。さすが、お見通しですね(笑)。

「いろんなサウナがあって、それぞれ気持ちよさがありますから。複数あれば、もし気に入ってもらえなければ、そのサウナ室には入らなきゃいいわけだし(笑)。そういうこともできると思ったんだよね。

もちろん『息苦しい』とか、そういうのは感じないように注意しながら、『湿度』ではなく、純粋に『熱さ』を味わえる……それが『からからジール』なんですよ」

実はこの「ジール」というストーブ、盛大にロウリュもできるタイプ。その気になれば「からからジール」はカラカラから、湿度を生みだすサウナ室に変貌もできます。吉田支配人、そのあたりももちろん計算済みのようです!!

お客さんが自分の好みのサウナ室を選べて、なおかつ「最初は『テルマーレ改』でじんわり体をあたためて、次は『からからジール』で熱さを楽しんで、そのあと『ボナ』でじっくりと仕上げていく」みたいな「組み合わせ」も愉しむことができてしまう。

3つのサウナ室で流れるのはテレビ(ボナサーム)、音楽(テルマーレ)、AMラジオ(からからジール)とやはり3種3様。まったく異なる体験、体感が、この数歩の間で出来ちゃうんですね!!
3室からそれぞれ数歩の位置に2種の快適な水風呂。動線、マジで完璧です

気持ちよくなるだけじゃない! ちょっと大げさかもしれませんが、なんだか日本のサウナの“多様性”すら感じてしまう――。今回の“逆張り”で、「ニューウイング」は、そんな施設に進化しちゃったような気がします。

時間が許せば……浴後もぜひココでゆったりと!!

さて、浴室内のアップデートのみならず、階上にあるリラクゼーションエリアでもプチ改装というか模様替えが行われています。

「ああ、そうですね。『プレジ』(上野・「スパリゾート プレジデント」)のリクライニングを4階に置かせてもらってます」

おお! あのプレジのリクライニングが……!!

そう、昨年夏に惜しまれつつ閉店してしまった、上野の「スパリゾート プレジデント」のリクライニングチェアが4階にズラリと並んでいるのです。

「閉店前にお邪魔したときに、『やっぱりいいなぁ』と思ったんだよね、サウナもリクライニングコーナーも食堂も。『これ、どうするの?』って聞いたら、『持って行ってもいいですよ』って言ってくれたんで、もらってきちゃった(笑)」

「充電ができるようにだけ、改造した」そうです。ナイス!

いたずらっぽく笑いながら、そう話す吉田さん。

「まぁ、驚いたし、やっぱりショックだったよね。プレジの閉店は。だから(リクライニングチェアは)もちろん、座り心地が良いからもらったっていうのもあるけど、なんか『残したいな』みたいな気持ちも少しあって。それで譲り受けたんですよね」

いやぁ、サウナ好きとしては座り心地(寝心地)抜群なことだけでも嬉しいですが、そんな背景を知ってしまうと(ちょっとエモい思いも抱きつつ)なんだかさらに豊かな気持ちになってきます。

5階もまた居やすいスペース。どこでもお好きなところでくつろいじゃいましょう

よく「施設には、運営されている人たちの個性や思いが現れる」と言いますが、あらためてそれを痛感します。

浴室でも、休憩フロアでも。そしてレストランでも。館内のあらゆるところからサウナ好きが「少しでも居心地よく過ごせるように」「少しでもくつろげるように」という思いがあふれだしている施設。

ついつい「ニューウイング」に、また足が向かってしまいます。

スパ&カプセル ニューウイング
■住所:東京都墨田区江東橋2ー6ー11
■営業時間:24時間営業 年中無休
■料金:[通常]2,600円  ※深0:00~翌5:00は+800円/[2時間]2,000円(前5:00~後10:00)/[4時間]2,300円(前10:00~後10:00)

※男性専用施設(女性の方は……レディースデーをお見逃しなく!)

「スパ&カプセル ニューウイング」のリニューアル、アップデートに関する記事は、SAUNA BROS.vol.5でも掲載しています。ご購入はこちらから!

撮影/田中健児

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