「令和の湯治場」仕掛人にインタビュー/スゴイサウナ赤坂店②

古くから日本に伝わる湯治の文化を令和に伝える「スゴイサウナ赤坂店」。SAUNA BROS. vol.8「夏に行こう!新規&リニューアルの注目サウナ」でご紹介し、前回の記事では「現代の湯治場」として施設の隅々にまで施された工夫について掘り下げてお伝えしました。そして今回は株式会社スゴイサウナの広報部長で、スゴイサウナ第1号店を監修した萱場弘盛さんへのインタビューをお届けします。

もともとサウナが大好きで「サウナの鉄人」と呼ばれていた萱場さんは、自分自身がスゴイサウナに導入されているマグマスパ式サウナを体験して衝撃を受けたそう。それがきっかけとなり、スゴイサウナ赤坂店をプロデュース。「温めの鉄人」として令和の湯治文化を広めています。どのような点に力を入れて施設づくりを進めていったのか。これからはどのような展開を考えているのか。スゴイサウナのスゴイところ、じっくり聞いてみました。

溶岩が吹き出す蒸気の「温める力」。入ってみれば実感できる
目次

「マグマスパ式サウナ」を体感して……ものすごい衝撃が!

――萱場さんご自身がもともとサウナ好きで、マグマスパ式サウナのアンバサダーを経て、スゴイサウナを立ち上げることになったそうですね。まずは、その経緯を教えていただけますか。

そうですね。僕がサウナに入り始めたのは8歳くらいで、父親がサウナ好きだったので、その影響です。休みの日は健康センターで過ごしていましたし、家族旅行で泊まるのもサウナがある宿でした。サウナの仕事に携わる前はセールスプロモーションを主力事業とする会社を経営していたのですが、新型コロナウイルスの流行をきっかけに「これからは好きなことをして生きていこう」と決めました。あの頃は、宿泊施設がめちゃくちゃ安かったこともあって、会社を手放して、2年ほどホテル暮らしをしながら全国のサウナを回っていました。

――それはスゴイですね。

まるで『サ道』の偶然さんみたいな感じで「もっとこうしたらいいんじゃない」なんて助言をしていましたね。当時、よく泊まっていたのがセンチュリオンホテル・グランド・赤坂で、それがきっかけで2階にある「サウナリゾートオリエンタル」のリニューアルをアドバイザーとしてプロデュースさせていただきました。その後、サウナ関係の仕事を依頼されることが多くなり、施設プロデュースをしたり、熱波師を集めてアウフグースのフェスを開催したりするなかで、サウナ業界の人になっていました。

――マグマスパ式サウナとの出会いは、どうだったのでしょうか。

日本で初めてマグマスパ式サウナが導入されたのは恵比寿にある会員制の高級サウナ「THE CLASS.」で、それから麻布十番、青山、名古屋の「LOCA THE CLASS.」で展開されていました。知人を通してマグマスパ式サウナのアンバサダーをやらないか? というお話をいただいたので、最初は自分で行ってみました。正直、コンセプトにはあまりピンときていませんでしたが、麻布十番の「LOCA THE CLASS.」でマグマスパ式サウナを体感して、ものすごい衝撃を受けました。「なぜ、こんなに早く汗が出るんだ?!」と。それから深部体温が上がる仕組みなどの説明を受けて、腹落ちできたので、アンバサダーのお誘いを受けることにしました。

芸能関係者やYouTuberを中心に「スゴイ」の連鎖が

「サウナは苦手」という人にも受け入れられたマグマスパ式サウナ

――アンバサダーとしては、どういった活動をされていたのでしょう。

普通ならアンバサダーは宣伝大使としてPR活動していくイメージが強いと思うんですけど、私の場合はいろんな方を実際に「LOCA THE CLASS.」にお連れして、マグマスパ式サウナの入り方や効果・効能を説明する形で進めていきました。そのなかで「サウナは苦手」という人にも好きになってもらえて、周りの人にも「あそこスゴイから」と広めてもらえた。そこに芸能関係の人やYouTuberがたくさんいて、体験してもらった感想を聞いていくなかで、私自身でも「やっぱりスゴイな」と、あらためて実感しました。

――「スゴイ」の連鎖が起きたわけですね。

それで、もっとマグマスパ式サウナを広めたいと思ったのです。もっと敷居を低くして、どんな人も受け入れられる施設をつくって、その魅力を広く知ってもらいたい、と。クオリティは絶対に下げないで料金はできるだけ安く抑える。そこが大事かなと思いました。

――より多くの人にマグマスパ式サウナの魅力を知ってほしいという思いがカタチになった施設が、この「スゴイサウナ赤坂店」というわけですね。2024年4月の開店までに2年間の構想期間があったと聞きました。

そうですね。実務はすべて任せてもらって、物件探しから施設全体のプロデュースまで携わり、細かい点まで全部決めました。もちろん間取りなどの設計は専門家である建築士にお願いしましたが、要望を伝えて、できる限り反映させてもらっています。

「待ち」の発生でお客様にストレスを感じさせないように……

定員は20名。完全予約制ではなく、フリーで入れる当日枠が用意されている

――このスゴイサウナ赤坂店をつくるにあたって、特にこだわった点はありますか?

ものすごくたくさんあります。第一にお客様にストレスを感じさせないようにすることですね。本来サウナはストレスを解消できる場所であるはずなのに、サウナ待ち、水風呂待ち、休憩のイス待ちになるのは、とにかく避けたかったので。

――脱衣所のロッカーを数えてみたところ、24人分ありますね。

利用定員は20人にしています。サウナ室に入れる人数が20人ですから、待つことはありません。水風呂は男性5~6人が楽に入れる広さで、イスは休憩エリアに6脚と浴室に2脚で計8脚あります。これはアウフグースのフェスなどイベントを開催して培ったノウハウで、シャワーするスペース4つも含めて、1ヵ所にすべての人が集中することはありません。もちろんビジネスとしては、人が入れば入るほど儲けは出ますが、その限界ラインを超えて、お客様をお待たせすることがないように計算しています。

また、せっかく足を運んでいただいたにもかかわらず、入っていただけないという事態を避けたかったので、事前予約システムで10名を受け付け、フリーで入れる当日枠を10名分用意しています。完全予約制と思っている人も多いようですが、そんなことはありません。予約なしでも入れる施設ですから、20名に達していなければ、ご利用いただけます。もちろん、少しお待ちいただくことになるかもしれませんので、予約した方が確実ではあります。

マグマスパ式サウナの「黄金比」をベースに、人それぞれ居心地のよい場所を

バイブラが苦手な人のために、水が動かない場所もある水風呂

――サウナ室では3段のベンチごとに温湿度計があることに驚きました。あと、奥に寝サウナのスペースがあるのもうれしい点です。

マグマスパ式サウナの「黄金比」をベースにしつつ、人それぞれでしっくりくるベストなポジションを見つけてほしいと考えました。もっとも居心地のよい場所を探してもらえれば。

――水風呂にバイブラが届かない場所をあえてつくっているのも、そういう考えからですね。

水温の設定は17℃で、ちょうどよいと感じる人はそのまま入ればよいですし、より冷たい方が好きな人はバイブラを使っていただく。なかにはバイブラが苦手という人もいますので、バイブラが作動している間でも水が動かない場所をつくりました。こちらの設定にあわせていただくだけでなく、好みに応じてアレンジしていただけることを意識しました。

取り寄せて設置されたコンパクトでしっかりくつろげるLafmaのデッキチェア

――休憩用のLafma(ラフマ)のデッキチェアも珍しいですよね。同じLafmaなら、コールマンのインフィニティチェアのもとになったといわれるリクライニングチェアを置いている施設はありますが、デッキチェアは初めて見ました。

座り心地がよいイスを、できるだけたくさん置きたかったので取り寄せました。

限られた人向けではなく、幅広い人を受け入れられるように

アメニティも吟味し、納得できるクオリティーのものが置かれている

――なるほど。スペースに限りがあるなかで、質と数を両立させたわけですね。ほかにも脱衣所のドライヤーはRefa(リファ)で、化粧水や乳液は高保湿スキンケアシリーズのNULLSIST(ナルシスト)と、アメニティもかなり意識して選ばれていると感じます。

自分が使ってみて満足できたものを、お客様にもお使いいただきたいと思っています。あと、これはよく聞かれることなので先にお伝えしておきますと、水着の件ですね。

――あ、そうですね……。水着の着用がルールになっていますね。

理由は3つあります。1つはエチケットの面ですね。男性同士でも全裸に抵抗がある人が一定数いますから。あと、世の中に顔を知られている友人の話だと、居合わせた人が顔を見て有名人だとわかると、そのあと視線が下に行くことが当たり前のようにあるというのです。それはちょっと嫌だな、というのが2つめ。同じような理由で外国の方にも抵抗感なく入っていただきたい気持ちもあります。そして3つめが、やはり衛生面で安心していただきたいからですね。直接肌に触れる部分が少ない方が気持ち的にも安心でしょうし。

――利用者層を限定するのではなく、できるだけ受け入れの幅を広くしたいと考えてのルール設定なのですね。

そうです。タトゥーも禁止ではありません。利用規約にタトゥーポリシーを策定して明記しました。露出できるのはA4サイズに収まるサイズまで、それ以上の場合はサポーターやラッシュガードなどを着用していただけるようにお願いしています。

深部体温を上げる「プラス1℃」の仕組みを全国に

全国展開していくスゴイサウナの基準になる第一号店の赤坂店

――この赤坂店がスゴイサウナの1号店。続いて女性専用の東麻布店がオープン。全国展開も見据えていて、札幌などにも出店していく予定と聞きました。この施設のスペックやルールが、これからオープンする施設の基準にもなっていくのだと思います。そこで、変えない点、変えるべきだと感じている点など、考えていることはありますか。

深部体温を1℃上げる「プラス1℃」のコンセプトは変わりません。そうやって、このマグマスパ式サウナの魅力広めていきます。ただ、難しいのが室温65℃、湿度60%、育成光線60℃の「黄金比」を保つための調整。サウナ室への出入りがあるなかで温度・湿度を微調整していくことが必要となります。今は湿度が下がらないように壁に水をかけるなどしていますが、まずはその対策をまずは考えなければいけません。

あとは、私たちが「治まるスペース」と呼んでいる休憩エリアの防水処理、シャワーブースの数など。出店する場所によって、ベストな施設づくりを考えていかなければならないと思っています。

――浴室にサウナ室、水風呂だけでなく、温浴槽を設置することは変わりませんか。

スゴイサウナは古くからの日本の文化を現代に伝える「令和の湯治場」です。そこは変わりません。設備などの面では、これがベストだと感じています。それよりもできるだけ料金を下げられれば、と考えています。

自然治癒力を高める入り方とは?

スゴイサウナは「令和の湯治場」。温浴増は欠かせない設備だ

――料金は月550円の会員費がかかるアプリ会員が2,500円、一般会員が3,500円。時間は60分ですし、正直、割高に感じられる気がしていました。しかし実際に入ってみると、サウナ室での発汗が半端なくて、結果的に60分で90分利用したのと同じか、それ以上の満足感が得られました。忙しくて時間がとれないけれど、サウナには行きたい、そしてしっかり蒸されたい。そういう場合にぴったりで、納得できる料金設定。むしろリーズナブルに感じる人も多いのではないかと感じています。

私たちとしては、できればアプリ会員になって、ご利用いただきたいと思っています。入って気持ちよいだけでなく、健康面でみれば、深部体温を上げて、免疫力を含めた自然治癒力を向上させるためには定期的に入っていただく方が、より効果的ですから。

――アスリートとして活躍している人の利用も多いと聞いています。

そうですね。格闘家の方などによくご来店いただいています。

――アプリ会員になれば、初月無料で月1回の利用でも会員費とあわせて3,050円。一般会員として利用するより安いです。

医学的な観点からは、72時間おきに入っていただくことが理想的といわれています。アプリを自社開発しているのも、ゆくゆくは医療分野との連携を見据えているためで、たとえば睡眠の質を分析するなど、健康管理に役立つウェルネスアプリとしての機能を持たせたいと考えています。ちょっと真面目な話になってしまいますが、気持ちよい、楽しい、リラックスできる、というだけでなく、健康づくりに貢献する施設として、世の中に定着していくことを、私たちは目指しています。

――赤坂、東麻布、そして札幌、その次の出店計画もすでに決まっているのでしょうか。

札幌は2025年2月頃のオープンを見込んでいます。その次の予定はまだ明らかにはできませんが、FCでの展開も考えていて、5年をめどに300店舗の出店を目指しています。

マグマスパ式サウナと出会って「サウナの鉄人」が「温めの鉄人」に

赤坂店をプロデュースした株式会社スゴイサウナの広報部長・萱場弘盛さん

これまで会員限定の高級サウナ施設でしか味わえなかったマグマスパ式サウナを、より多くの人に、できるだけリーズナブルに利用してもらいたいと考えてオープンした「スゴイサウナ赤坂店」。8歳でサウナに目覚め、37年以上にわたってサウナに入り続けてきた萱場さんはマグマスパ式サウナに出会い、衝撃を受けて「サウナの鉄人」改め「温めの鉄人」を名乗るようになったそう。実際に体験しなければわからない感覚があります。本当にスゴイサウナかどうか、自分で確かめてみては?

スゴイサウナ 赤坂店
住所:東京都港区赤坂4-2—12 エスセナーリオ赤坂WEST111
営業時間:前11:00~翌朝8:00 定休=第3月曜
料金:60分3,500円(タオル大小・水着付き)、アプリ会員は60分2,500円。延長=10分ごと250円
※8月8日にスゴイサウナ 東麻布店(女性専用)がオープン!

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