唯一無二のサウナを目指す。情熱をサウナに投じる「TOJIBA」

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温泉旅館がサウナをやる価値とは何だろう?

TOJIBA敷地内で採れた白樺の葉を使ったヴィヒタ水でロウリュ
スタッフさんによるロウリュが行われます。もちろんセルフロウリュも可

――2021年10月から11月にかけて小諸市で開催された「紅葉まつり」の際は、小諸にゆかりのある文豪、島崎藤村の詩「初恋」をベースにしたバーチャルライバー戌亥とこさんの楽曲からヒントを得て、観光PR動画をYouTubeにに投稿。176万回が再生されています(2023年12月現在)。

「別にバズることが大事ではなく、必要な情報が、ほしい人にちゃんと届くかどうか。そこに注力しました。そして、わざわざ遠くまで来ていただいたお客さまに、どう満足していただけるか、ですよね。そのためには、お迎えする側の“おもてなし”も重要で。『TOJIBA』であれば、“温泉旅館がサウナをやる価値は何だろう?”ということを考えて……。例えば、スタッフは常駐して、火の管理やロウリュなど、すべてお手伝いします。さらには、小諸産の果物や野菜など、ちょっとした補給食もお出しします、といった日本の旅館ならではのおもてなしを行うようにしました。サウナ小屋の建材、ストーブ、浅間山の湧き水を使用した水風呂、この森で採れた白樺の葉を使ったヴィヒタ水など、小諸を感じてもらえることにもこだわりました。地元産にこだわる理由は、『TOJIBA』訪問をきっかけに、小諸を巡っていただきたいからです。また、巡ることで地元の経済も回ります。古くからその土地に住んでいるお年寄りの方々とのコミュニケーションも生まれるかもしれない。にぎやかになれば、地元の若い人たちもうれしいと思うんです。いろんな意味で、地元全体が潤ってほしい。

浅間山の湧き水を使用した水風呂。飲むこともできる

私は単なる田舎の旅館のおじさんなので、できることといえば、地元の商店街などに顔が利くことくらい(笑)。私は小諸のいい景色も美味しいものもたくさん知っているので、どんどん聞いて、みなさんに利用していただきたいな、と」

――近年、全国の地方都市でアウトドアサウナやグランピング施設が誕生していますが、「TOJIBA」は地産地消と言いますか、ちょっと方向性が違いますよね。

「先ほどの『あの夏で待ってる』では“小諸”の文字は出てこないのに、多くのファンは“なつまち”という作品の背景に興味を持ち、アニメの世界を探して、小諸までたどり着いたんですね。

つまりは、テキストのデータではなく、“作品のバックグラウンドがどこなのか”が大事なんだということ。“どういう人たちが、どういう思いで作っているのか”が大事なことも学びました(※チーフプロデューサーの大澤信博が長野県の長和町出身であったこと、スタッフに同県佐久市出身の者がいたことで、小諸市が舞台となったそう)。

サウナ施設も同じだと思います。リスペクトする野尻湖の『The Sauna』さんがそうであるように、『TOJIBA』も、そこへ行きたい。そういう人たちが携わっているサウナに入りたいと思われる施設を目指して努力したいです」

日が落ち始める頃には焚き火が! 焚き火に使用されている薪も小諸市で採れたもの

前編では「湯治場のように人々が交流する場を提供したい」との思いを語っていただきましたが、その意味がよく分かる後編のインタビューでした。都心の銭湯やサウナもしかり、いい施設、長く愛される施設には、熱のある経営者が必ずいます。その情熱が施設の質を高め、いい常連客を作り、そして彼らがさらなる新しい客を呼び込むのだと改めて実感します。

浴場「雲の助」から歩いて向かう際の景色も楽しい「TOJIBA」

TOJIBA
■住所:長野県小諸市菱平762-2 菱野温泉常盤館
■営業:第1部=前9:00〜11:00、第2部=前11:30〜後1:30、第3部=後2:00〜4:00、第4部=後4:30〜6:00、第5部=後7:00〜9:00
■定休日:火曜日、水曜日※12月〜3月は水曜日も営業
■料金:1人=4,400円(税込)。貸切利用は26,400円(税込)
詳細は公式HPからご確認ください

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