3 サウナとの出会い
The Sauna(※長野県の野尻湖畔のサウナ好き憧れの施設)は、ベベ(※野田クラクションべべー氏。The Sauna支配人、サウナビルダー。以下べべ。高橋さんの会社の後輩にあたる)が会社に「資金はないからクラファンで集めます」ってプレゼンして、クラウドファンディングを行ったんです。The Saunaを作り始める前の、2018年8月に……ベベが、まだただのサウナ好きの頃に、北海道から九州まで車で移動しながら会社説明をする企画があったんです。そこに来る人たちって要するにLIGに入りたい人たちでLIGに興味ある人たちじゃないですか。ということは、LAMPにも来てくれるような人なんじゃないかな? と思って、パンフレットだけ持っていったんです。
説明会が終わって、みんなで打ち上げをやっているときに、「今日どこに泊まるんだ」ってべべに聞くと「サウナです!」と……。こちらは「はぁ(笑)?」ってなったのですが、「いやケンさん、サウナめちゃくちゃいいんですよ。一緒に行きましょう!」。「いや、サウナ嫌いだからいい、絶対嫌だ」、「いや、まじ本当に騙されたと思って1回来てください」ってやり取りののち結局行くことに。その時に行ったのがウェルビー福岡でした。「僕が全部入り方を教えるんで、ケンさん何もしなくていいです。まず、体洗ってください」」「じゃあ、からぶろに入りましょう」「大丈夫大丈夫、そんなに温度高くないです」「ロウリュやりましょう。ちょっとあつくなりますけど(笑)」「今度は水風呂入ってください」「この椅子に座ってください」みたいな感じで全部教えてくれて。初めてのロウリュは、何をするのかも分からないから、ドキドキしながら待つわけですが、ほんのりアロマの香りがしたなと思ったら、タオルで熱風をバンバン送ってくれて魅力を知りました。……このときはサウナを3、4回入ったんですよね
上がった後に2人ですこし漫画を読んでいたら夜も遅くなったので、眠くなり帰ろうとしたら、べべに「ケンさん今、超いい顔してますね。その顔が見たかったんですよ」って言われて。「うるせぇよ」って言ってその時は帰ったんです(笑)。
――2人の会話のやりとり、なんかいいですね。
車で大分へ帰っている途中でやっぱり眠くなってきて、サービスエリアへ寄ったときに、まだ体がポカポカしていたんです。サウナ気持ち良かったな、めちゃくちゃいいなと思って、それ以降、教えてもらった入り方で1人で入るようになりました。ちょうど自宅近くの竹田市長湯にある、かじか庵のサウナに出合いましたね。一説によるとロウリュができる日本最古の現存するサウナらしいですけど。
4 おんせん県いいサウナ研究所発足、サウナのまち宣言へ
2019年の2、3月頃LAMP豊後大野は閉めていたので、同じ町のカフェパラムでぼーっと川を見ていたんです。そうしたら「水風呂が流れているじゃん」ってハッとして。店主の小野さんに「水風呂が流れてます」って伝えたのですが、最初はわけの分からないことを言い出したなって思われていたと思います。「最近サウナにハマっているんですよ。あの川を水風呂にできたらめっちゃ良くないですか」って話したら「それ、めっちゃいいな」って盛り上がって。
――そこで思いついたわけですね?
そうですね。小野さんがその後に「なんかテントサウナっていうのがあるらしい」って調べてくれたんです。さらに、その時にベベに紹介してもらったのが鹿児島県伊佐市に協力隊として入っていた林峻平くん。インドへサウナテントを持っていく企画に出て、雑誌に載るくらいサウナーの中では名が知れているだけではなく、全国でテントサウナが普及する前……九州でも当時数人しか持ってなかったSavottaとMobibaのサウナテントを持っていて。そんな峻平くんに「テントサウナのイベントやりたいんです」と話したら、5月に初めてLAMP豊後大野に持ってきてくれたんです。「イベントの前に1回入ってみてください」と言われて入ったら、めちゃくちゃよかったんですよね。
そのときはこのREBUILD SAUNAがある場所が五右衛門風呂だったので、お風呂に水溜めて水風呂にしたんですが、めっちゃくちゃ良くて7月にイベントやることに。「カフェパラムの向かいにある宿泊施設のロッジ清川も一緒にやるのどうですかね」って小野さんに言ったら「やりましょう」ということになり、LAMP豊後大野、ロッジ清川、カフェパラムの3社で、リバーサイドサウナというテントサウナのイベントをやりました。
――そのイベントに人はたくさん来たんですか?
全然。だってドラマ「サ道」始まる前で、サウナなんてまだ全然盛り上がってなかったですし。サウナの啓蒙のために、マンガ「サ道」を峻平くんが配ってるぐらいでしたから。そしたら小野さんが「サ道」読んでハマって。イベントには結局、10人~15人来ました。知り合いが遊びに来てくれて、テントサウナに入って、めっちゃくちゃいいなって。
――その10人は満足して帰ったって感じでした? 気持ちいいなって?
気持ちいいなーって感じでした、嫌いだった人が好きになっちゃったりとかしていましたね。何よりも川が、ちょうど温度が20℃ぐらいだったので、ずっと入っていられるねという話にもなり、これは多分めちゃくちゃいいコンテンツになるなと……。冬にLAMPを閉じている間に何か新しいものを作るっていうコンセプトなんで、じゃあ冬はサウナやろうということになりました。
――その決意が「おんせん県いいサウナ研究所」にも繋がるんですね。
(豊後大野)市長が2019年の年末の挨拶にLAMPに来た時に、実は我々の中で、サウナでどうやったら面白くなるかなーって、“サウナのまち”の構想がすでにできていたんです。せっかくやるんだったら、LAMP豊後大野も作るから、全国の名だたるサウナ施設とどうやってたたかうかなーって。人気サウナ施設はウェルビーとかThe Sauna、熊本には湯らっくすがあって、佐賀にはらかんの湯があって、長崎にはサウナサン、鹿児島にはホテル ニューニシノ、福岡には天拝の郷……。こんなに強いところがあるのに、どうやってアピールしようかと話し合いになった時に、小野さんがいつもの悪ノリで、「稲積水中鍾乳洞を水風呂にしたら面白そうじゃね?」って言い出したんです。その他にも何個かキャンプ場が川沿いにあるので「これ全部にサウナあったらめちゃくちゃいいんじゃね」って。
これで、”サウナのまち”として全部の施設を回れるってなったらめちゃいいなと思ったんです。うちはいろんなアウトドアサウナがあります! って掲げられるし、飲食店にもサウナ飯などで協力してもらって、サウナ土産も出したら経済は回る。最終的にフィンランドと姉妹都市協定結べば、箔もつく(笑)。さらには、その姉妹都市協定を結ぶことによって、市民の幸福度が上がるのかなあ……と。(フィンランドは)幸福度も高いから、「どうやって幸福度上げているんだろう?」って考えたら、教育と福祉かなって。それで“サウナのまち構想”が出来上がって……と考えてたタイミングで、市長が年末の挨拶に来たんです。
市長とはいつも挨拶くらいで終わってしまうのですが、その時はすこし時間をもらって、このサウナのまちの構想をワーッと話したんです。最終的に市民の幸福度が上がれば移住者も増えてくる、教育も福祉も充実してたら、親子世代が入ってくる。で、福祉がいいとなれば団塊世代も入ってくる。それで、住民が増えるってことは税収も増える。税収が増えるってことは、公共事業にお金使えますよね。それでインフラが整って、みんなが今住んでるところから一点集中しなくて済みますよね。そうなれば、公共事業にお金が落ちる。ってことは建設業の人たちにもお金が入る。で、消費が増えればお店が儲かる。結果、住民の幸福度が上がるってなったら、みんな出ていかないですよね。そこで、例えばコワーキングスペースがあって、豊後大野にいながら仕事ができるってなったら、もはや豊後を出て行く必要なくなりますよね。だから“サウナのまち”宣言して、フィンランドの町と姉妹都市協定を結びませんか? って言ったら、「それやろう!」となって。
――その時はすぐに分かってくれたんですか?
もう早々に理解してくれました。ただ、いきなりフィンランドっていっても、大使館と繋がらなきゃいけなかったみたいで。だから僕がフィンランドサウナアンバサダーになれば、フィンランドの大使館と繋がりますよね。そこまで持ってきたら、“サウナのまち宣言”してもらえますかと話したら「分かりました」って言って、そのまま帰られました。
その後すぐにサウナイベントで出会った人を通じて、フィンランド大使館の方に会い、サウナアンバサダーからの推薦と書類選考を経て、フィンランド大使館からサウナアンバサダーに任命された。2020年7月18日に川野文敏市長が「サウナのまち」宣言をしました。