「喜助の湯」成長の立役者は3人のサウナ好き社員だった!

四国・愛媛県のJR松山駅から徒歩1分のところに今回紹介する「伊予の湯治場 喜助の湯」。ファミリーで楽しめるスーパー銭湯でありながら、サウナランキングや温泉ランキングで上位に入る本格サウナ施設でもあるんです。その人気の秘密を探るべく、「伊予の湯治場 喜助の湯」を体験してきました!

目次

ふたつの「鬼サウナ」が待っていた

男性浴場でひときわ異彩を放っているのが「鬼サウナ」。サウナとしては珍しい武家屋敷のような見た目。ここには蒼(あお)と炎(ほむら)、2種類のサウナ室があります。色で言うと、青と赤……まるで青鬼、赤鬼です。

青鬼サウナ室(蒼)から見ていきましょう。室内も青一色。室温は90度前後で、30分に1回オートロウリュがあります。青は心を落ち着かせる作用があるため「瞑想サウナ」とも呼ばれているんだそうです。心を鎮めやすい青一色の空間づくりと、室温・湿度のバランスがちょうどよく、まさに心の底からどっぷりハマれるサウナになっています。

一方、こちらの赤鬼サウナ(炎)は見た目からアツい! サウナ室の温度も110度と熱い!

「朝は120度くらいあるんじゃないかな。本当に熱いですよ。さらにこちらのサウナ室も30分に1回オートロウリュがありますからね。『炎』は熱さの限界を目指しているんです。なぜかというと、熱さで邪念を払ってもらうサウナを目指しているからです。『蒼』が『瞑想サウナ』なら、『炎』は『禅サウナ』です」(伊予の湯治場 喜助の支店長・臼意さん)

扉を開けて入った直後から、熱さが体をまとわりつく……でも、時間が経つごとに、じんわりと体の芯まで浸透するような熱さに心地よくなり、サウナ室から出た時の爽快感も相まって、”アメとムチ”のクセになるサウナです。

鬼サウナと呼ばれる所以は、見ての通り鬼のモチーフがあるからです。この鬼モチーフは地元に名産地がある「菊間瓦」で作られているんです。鬼モチーフだけでなく、天井などいろいろな部分で菊間瓦が使われているんです。過去の記事(「みかんサウナ」 「しまなみ温泉 喜助の湯」)でも紹介していますが「喜助の湯」は地元を大切にしている会社で、地元・愛媛の特産物をサウナに取り入れるのが得意。地元を盛り上げたいという“キスケ魂”がグッときますね。

菊間瓦はサウナストーンにも取り入れられています。「菊間瓦の窯元の『かわらや“菊貞”』さんにお願いをして作ってもらったのが『鬼丸』と『鬼玉』の2種類のサウナストーンです。いきさつは、サウナを作ろうと思った時に、サウナストーンを調べたら国外輸入しているものがほとんどだったんです。国内にサウナストーンはないか。いや、地元愛媛でサウナストーンを作れないか、それを日本のサウナ施設で使ってもらえたら素晴らしいことだな、と探したときに『菊間瓦だ!』とひらめいたんです。菊間瓦は鬼瓦で有名なので、鬼を取り入れることにしました」(執行役員・田中さん)

できあがった菊間瓦のサウナストーン「鬼丸」と「鬼玉」は今治市菊間町にある「やくよけ大使 遍照院」へ持って行き、厄除け祈祷をしてもらっているんです。毎年1月に「厄除けロウリュ」イベントを行っているのですが、たしかに祈祷をしたサウナストーンから蒸気は、ご利益がありそうですよね。

北欧をイメージさせるミストサウナ小屋

女性浴場の露天エリアに2022年6月登場したのがミストサウナ「霞」です。鮮やかなブルーの建物に四角窓、小さなドアは、絵本から飛び出してきたよう。室温はだいたい50度。季節によって異なる香りを楽しむことができます。(取材のときはシトラスのさわやかな香りでした)

男女ともにあるフィンランドサウナ

スタジアム式のフィンランドサウナは男女とも設置あり。男性側は90度、女性側は80度、オートロウリュと、男性はセルフロウリュもたのしめます。ここのサウナ室の特徴は段差が多いこと。熱さが苦手な方は下の方に、熱いのを好む方は上の方の段へ……と自分の好みや体調に合わせて蒸されることができるのです。実際に入ってみると、この高低差が温度にも直結していてかなり体感も違います。そして、解放感があって広いので、みなさん思い思いの場所に座って、下段の方でくつろぎながらじっくり入る人もいれば、上段でひたすらサウナを堪能している人など、楽しみ方もさまざま。仕事での疲れから、サ旅での移動疲れなど、いろいろな疲れもすべて多幸感へと変わっていくサウナです。

水風呂は男女とも2種類!

サウナ室でしっかり体を温めたあとは、2種類の水風呂で体を締めることが出来ます。「しお清泉」は23度くらい。塩成分を多く含む泉質で、保湿効果や、湯冷め防止の作用があります。

もうひとつの水風呂は「清冷泉」。こちらは水温16度と。温度違いの水風呂がふたつあるので、水風呂ハシゴをたのしむことができます。

やっぱり水風呂のハシゴができるのはうれしいですよね。サウナも3種あるなかで、赤鬼サウナなどシャキッとしたいときには清冷泉でメリハリつけてもいいですし、ゆっくり楽しみたい場合は、しお清泉から清冷泉へのはしごや、しお清泉から外気浴、そして清冷泉へのはしごなど、そのときの自身のコンディションによって楽しめます。

地下1700メートルからくみ上げた温泉

この施設、名前の「伊予の湯治場」のとおり「現代の湯治場」をコンセプトに作られています。「湯治場」ですから、もちろん「温泉」も素晴らしい! 塩化物泉(壱号泉)にアルカリ性単純弱放射線泉(弐号線)が加わった唯一無二の泉質で、ミネラルが多くふくまれているので保温効果が期待でき、湯冷めしにくくいという。さらに、アルカリ性成分がお肌の古い角質を除去する作用があり、クレンジング効果が期待できることから「美人の湯」と言われています。はいもちろん、お風呂もしっかり入りました。

しかも10種類以上あるすべてのお風呂に温泉が使われています。

<お風呂の種類>
・漢方薬湯
・歩行の湯
・炭酸の湯
・信楽壺の湯
・源泉かけ流し 椿の湯
・電鼓の湯
・白濁 寝ころびの湯
・痩身の湯
・ほぐしの湯・清冷泉(冷泉)
・しお清泉
・あひる池
・「納涼の湯(ぬる湯)」※6月~9月期間限定

男女で利用できる汗蒸幕(岩盤浴)

「伊予の湯治場 喜助の湯」のなかに、愛媛県最大級の岩盤浴施設「喜助のじょう(蒸)」があります。こちらは館内着で楽しむエリアで、男女で一緒に入ることができます。

中に入ると全部で5つの部屋があり、それぞれに個性がありました。壁面に炭が敷き詰められた「炭の蒸」。炭が放つ遠赤外線で芯からあたたまることができ、しっかり汗をかくことができます。
天井から薬草の袋がつるされている「薬草の蒸」。つるされている袋のなかには生姜や陳皮など10種類の薬草が入っています。薬草の香りと有効成分が発汗効果を高め、よりリラックスすることができると言われています。岩盤浴というと広いエリアに横になることが多いですが「薬石の蒸」はカプセルサウナのような半個室になっていて、人目を気にすることなく体を芯まで温めることができます。「美の蒸」は壁に岩塩加工を施し、高い美肌効果やデトックス効果を期待できるのは女性専用エリア。男性と同室に抵抗がある方もここなら心ゆくまで汗を流せます。ほかにも、白いナノミストが全身を包み込み、肌をやさしく労わる「雲海の蒸」。まるで霧のなか、雲海にいるような気になる岩盤浴部屋です。そして、最後5つめの部屋が、熱くなった体をひんやり冷やす「涼の間」です。6度の冷気でしっかりクールダウンできます。

次々サウナをリニューアル&オープンし日本一に

「ニフティ温泉 サウナランキング2023」で日本一を獲得した「伊予の湯治場 喜助の湯」。日本一獲得の報告をしに愛媛県知事を表敬訪問した際には中村知事から「今後も地元の人への貢献に加えて、県外からお客様が訪れる新名所として地域の活性化につなげていただきたい」と期待を寄せられました。「伊予の湯治場 喜助の湯」はどのようにして日本一に選ばれるまでになったのでしょう(ちなみに「しまなみ温泉 喜助の湯」も5位に選ばれているんです)。

はじまりは3人のサウナ好き社員

「喜助の湯」がサウナに力を入れ始めたのは2021年。現エンターテイメント事業部長で当時「伊予の湯治場 喜助の湯」支配人だった田中さんが「日本一、サウナ好きを応援する施設を作る」と2021年4月に発足したのがksc(キスケサウナクラブ)です。そのメンバーが現「伊予の湯治場 喜助の湯」支配人の臼意さん、現「しまなみ温泉 喜助の湯」支配人の土居さん、そして田中さんの3人でした。

「3人でこれからどうしていこうか話しました。最初は設備投資ではなく、まずは、環境がそもそも、サウナが好きな人の目線で作っていなかったので、動線とか、サウナ好きな人の目線で、サウナ好きな人が満足できるものってどうなんだろう、というところからスタートしました。『照明が明るかったらととのわないよね』とか、基本的なところを変えてみたんです。そしたらお客さんがちょっと増えたので、これいけるのではないか、というので会社にプレゼンをして予算をもらい、サウナストーン作ろうとか(それが鬼丸、鬼玉)、少しずつ成果を出しながらちょっとずつ改善していきました」(田中さん)

四国のサウナシーンを引っ張る施設に

「ある取材を受けたときに『四国のサウナの聖地になってきていますね』って言われたんです。それで『四国』で何かできないか…と考えたときに、四国にはお遍路さんがある! と、またひらめいたんです。お遍路さんも世界中から来ているので、それとうまく何かできたら、と考えて「サウナ神社」を作ろうと思いつきました」(田中さん)

田中さんの構想が形となり「鬼サウナ神社」が6月17日に建立されることが決定。建立費の200万円をクラウドファンディングと店頭にて募集したところ、合計2120名から、300万円を超える支援を獲得。サウナファンの期待度をうかがい知ることができます。

「愛媛はサウナの盛り上がりが東京や大阪ほどでなかったのですが、最近はサウナーの増えを感じます。おかげさまで松山(伊予の湯治場 喜助の湯のこと)は、愛媛や四国を越えて認知度がでてきているところですが、松山でしたことを、ちょっとずつ他の施設も、取り入れてくれているんですよね。サウナのイスを増やしたりだとか、水風呂の温度を気にしたりとか、サウナでロウリュできるようにしたりとか。そういった意味では愛媛のサウナの発展に関して、引っ張っていきたいと思っています」(臼意さん)

自分たちが努力することで、愛媛のほかのサウナ施設も底上げしていこうという志しも、地元を大切にする「キスケ魂」なのかもしれません。家族連れでも、カップルでも、友人同士でも、ひとりでも、楽しめる「伊予の湯治場 喜助の湯」。愛媛県に行ったなら絶対に訪れるべき施設と言っていいでしょう!

伊予の湯治場 喜助の湯
■住所/愛媛県松山市宮田町4
■営業時間/前5:00~10:00(サービスタイム)、前10:00~深2:00(最終受付 深1:00)
■料金/月~金:一般700円、会員・学生・シニア会員600円、子ども300円 土・日・祝:一般750円、会員・学生・シニア会員650円、子ども300円
※詳しくは公式HPをご覧ください

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