大人気の薪サウナも復活!湯屋FUROBAKKA②快適さの秘密

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元日の能登半島地震から間もなく3カ月。北陸の施設として、いま伝えたいこと

――2024年1月1日。「令和6年能登半島地震」が発生しました。

「大晦日まで営業をしていて、たまたま元日だけが休業日だったんです。とはいえ、翌日の営業に向けた準備もあったので、出社して業務にあたっていたところ、午後4時すぎにあの衝撃がきました。

『ドーン』という大きな縦揺れのあと、かなり長く横揺れが続いて。揺れが収まったあと、急いで建物や設備を見て回っていたら、津波警報が発令されて。本社からの指示もあり、戸締りだけして、急いで避難しました」

――「FUROBAKKA」では、大きな被害はなかったそうで。翌日から予定どおり、営業を再開されましたね。

「そうですね。2日の朝には警報も解除されたので、避難先から戻ってきて。あらためて施設中をすぐに点検しました。建物も設備も大丈夫で、井戸水もほんの少しだけ土を含んだものが最初は出ましたが、すぐにいつもの澄んだ状態に。問題がないことが確認できたので、その日から営業を始めました。

お正月期間だったので、その日(2日)だけで50件ほどの貸切予約が入っていたこともあったんです。ただ、その半分以上……30数件はキャンセルになりましたね」

――施設の周辺も、大きな被害はなかったということですが。

「そうですね。黒部市内全体ではケガをされた方が何人かいらっしゃり、半壊した建物などもあったようですが、この施設の周囲は概ね被害を免れて。電気やガス、水道などのインフラも止まることはありませんでした。

ただ、富山県内でも、富山市の以西……特に石川県と隣接している氷見市や高岡市の海沿いの地域、小矢部市などでは被害を受けたエリアも多かったようです」

――高岡市には、「FUROBAKKA」と同じく光陽興産が運営しているスーパー銭湯「陽だまりの湯」もありますね。

「はい。その『陽だまりの湯』も被害じたいはなかったんですが、地震の影響は少なくなかったようです。と言うのも、石川県からの入浴のお客さんが、その後、数週間、かなり増えたそうで。

最も被害が大きかった能登半島の方々が、周辺の市町村で入浴支援を行っている施設を利用される。もともとその市町村に暮らしていた方々は、一番困っている方に配慮して、自分たちはさらに近辺のエリアへ……というように、皆さん、入浴に関しても助け合いの精神で行動される方が多かったようです。能登の方が七尾市や羽咋市の銭湯や温浴施設に行かれ、七尾の方たちが氷見市や高岡市の施設にいらっしゃる。すると氷見や高岡にお住まいの方は、射水市や砺波市、富山市の施設に行ったり、というように」

――そうなんですね。災害時の日本人らしいエピソードですね。

「そういった話も耳にしたので、『FUROBAKKA』でも、一応、お店は開けておこうという思いもありました」

――あの震災からまもなく3カ月ほどになります。その後の利用客の増減はいかがですか?

「地震後の数週間はやはり予約のキャンセルも多かったですし、予約以外の来訪の方もだいぶ落ち込みましたが、もうかなり元に戻りつつあります。ただ、県外からのお客さまは……やっぱりまだ、少なめですね」

――皆さん、「いま北陸へ行ってもいいのかな?」「まだ不謹慎かもしれない」なんていう気持ちもあるのかもしれません。

「同じ北陸でも、エリアによってフェーズは異なりますので、一概には言えないですが……。たとえば石川県内でも能登半島エリアと、被害が限定的だった金沢市や加賀市などの地域ではまったく状況は異なります。

金沢・加賀などではあまり声を大にしては言いにくい方もいらっしゃるようですが、被災地を応援するつもりでぜひ訪問してほしいと思っている方は多いはずです。

富山県内……特に富山市から東側は黒部も含めて、混乱も問題もまったくありません! ぜひ来れるところまでは遠慮せずに来ていただけたら。陽気も暖かくなりますし、ここから遠くない新潟県内などにも特色のあるサウナ施設はたくさんありますので。

黒部を拠点にしていただいても、富山を拠点にしていただいても……いい『サウナ旅』を、楽しんでいただけると思います」

隣接エリアにホテルも開業。「あなぐらサウナ」も復活。今後も目が離せない!

――そう言えば、「FUROBAKKA」のすぐそば……徒歩1分以内の場所に、今春に宿泊施設ができるんですよね。

「そうですね。4月17日(水)に『FUROBAKKA』や『道の駅KOKOくろべ』と隣接する形で、『HOTEL R9 The Yard 黒部』というコンテナを改装したホテルがオープンします。コンテナといっても中は広くて、大きなベッドやエアコン、冷蔵庫などももちろん完備。十分に快適なので、本当に黒部というより、この『道の駅KOKOくろべ』を拠点に旅を楽しんでもらうことも可能です」

まさに「隣接」するように、スタイリッシュなコンテナホテルが開業!

――また、2月上旬に壁〜天井の煙突付近から煙がくすぶるという小火が発生したため休止中だった「あなぐらサウナ」も改修工事が完了。3月20日(水)に再オープンしたという嬉しいニュースも届きました。

「男性側の『あなぐら〜』で、めがね石(煙突を通す石製の部材)の周囲に、何らかの原因で隙間が出来てしまっていて。そこに熱が溜まり、壁内でくすぶってしまったようなんです。

ご利用客の皆さまにはご心配とご迷惑をおかけしましたが、男性浴室側はもちろん、女性浴室側でも、該当する箇所を安全性を増した強い部材に替えて強化するなどの改修・改善工事を無事に終えました」

――約1カ月半での改修工事の完了と再稼働。そのスピーディーな対応にも驚きました。

「春の行楽シーズンや、来たるべきゴールデンウイークなどで楽しみにしていただいている方もいらっしゃると思い、安全に留意しつつ迅速に作業を進めました。女性側浴室には男性の職人が入れないため、ある期間は“男女入れ替え”形式にして、均等なスピードで工事が進められるようにしたり。なんとか春分の日に間に合って、良かったなと思っています」

――私を含め、再開を心待ちにしていたサウナ好きにとっては、朗報です!

「本当にご心配とご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。でも、無事に再開できて、私たちも本当に嬉しいです。

昨年夏のオープン以降、一つずつ季節を重ねて、最大の難関である冬をなんとか乗り越えることができました。ここから先の、春〜初夏にかけては、一年で最もいいシーズンの一つだと思います。

薪(木)と炎。黒部の名水を使った水風呂。そして爽やかな空と風。

自然はときに想定外の厳しさを見せますが、それ以上に素晴らしい、最高のサウナ体験や癒しをくれる存在でもあります。

『(遠くから)はるばる来た甲斐があった』と言ってくれる若い世代のサウナーにも、『俺が今まで入ってきたサウナとは違うけど、薪サウナってなんか気持ちええな』と微笑んでくださる、地元の“ベテラン”の皆さんにも。さらに心地よく過ごしてもらえるよう、これからも引き続き、工夫とアップデートに努めていきたいです」

支配人の水越勇人さん
オーバーオールも実にお似合いです!

湯屋FUROBAKKA
住所:富山県黒部市堀切951-1 
営業時間:年中無休(※メンテナンス等、不定休あり) 前10:00〜後11:00(最終受付=後10:00) 
料金:大浴場「黒部や」=大人750円、小人=350円 / 貸切サウナエリア利用(1棟利用)=バレルサウナ 150分:8,000円〜(4名まで)、コンテナサウナ 150分:10,000円〜(6名まで)、サムライサウナ<小=2名まで> 120分:10,000円〜、<大=6名まで> 120分:14,000円〜 
(※2024 年3月現在。最新情報はHPやSNS等でご確認ください)

撮影/佐藤佑一(一部写真は編集部撮影)

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