高い天井からゆっくり、やさしいアツさが降りてくる「やまごやサウナ」
では、大浴場「黒部や」の2つのサウナ室から入っていきましょうか。
まずは、露天エリアに建つサウナ小屋が「やまごやサウナ」です。
扉を開くと、昼は窓から陽光も差し込んでくる、やさしいあたたかさに満ちた空間。
シンプル&美しいデザインのストーブはかなりパワフル。積まれたストーンから、やわらかな熱が室内の隅々まで届いてきますね。
大きなラドルでセルフロウリュすると……明るい光の中で、蒸気が立ち上っていくのがしっかり見えます。
そして数秒すると、アツい空気が、あえて高く作られた天井からゆっくり時間をかけて降りてくるのがわかります。
換気も実にいい感じで、しばらくするとあのアツかったロウリュがス〜ッとフレッシュなエアの中に消えていきます。
「あぁ、いいなぁ……」。思わず目を閉じてしまいます。静かな時間。う〜ん、気持ちいいですね。ココ、ずっと居られちゃうなぁ。
気づくと体の芯まであたたまりきっています。やさしく至福の時間が過ぎていたのでした。
絶妙な温湿バランス。静寂と唯一無二の没入感を味わえる「あなぐらサウナ」
続いてこちら。山腹に掘られた隠れ家のような、その名も「あなぐらサウナ」は、「やまごや〜」とはまた異なる静寂を味わえるサウナ棟。
扉に設けられた明かりとりの小窓と間接照明、そしてストーブ内の炎以外は光も少なく、入った瞬間から没入感が味わえます。
ちなみに、入口側から少し明るめに室内を撮影するとこんな感じ。壁や天井はコンクリートで熱を逃がさず、湿度もしっかりと保たれています。
ベンチに座り、アツさの中で目を瞑ると、すぐに汗が出てきます。そして、耳にストーブの炎の音とともに、かすかな水音が。
実は、ストーブ下に水が張られ、流れているんですね。
室内の温度はおよそ70〜75℃ほどになるように設定されているそうですが、そうは思えぬアツさで発汗が止まらないのは、この水だったり、約10分に一度のオートロウリュによるセッティング調整によるものなんでしょう。
そのオートロウリュは、調湿効果だけでなく、見た目も楽しく特徴的。なんと350ミリもの水が、“鹿おどし”スタイルで、ストーンの上にほとばしるんです!
気持ち良さも雰囲気も抜群! ほんと「1/fゆらぎ」だらけ! 大げさではなく、たぶん世界でもこんなサウナ室は……唯一無二なんじゃないかと思います。
実はこの「あなぐらサウナ」、今年2月上旬に、天井内部で煙がくすぶる小事故が発生(サウナキーパーのスタッフが常に見回りをしていることもあり、早期に発見。発火などの大事には至らず)。
原因調査と改善・改修工事のため1カ月半ほど稼働していませんでしたが、それらが無事に完了。3月20日(水)より再開されるそうです!
(筆者も含め)待っていた方、実に朗報ですよね。
全身で名水を味わう3つの水風呂のあとは、極上の外気浴で……しばし放心!
水風呂は2つのサウナ棟を出てすぐのところにスタンバイしています。冒頭でも記したように黒部の名水……地下130メートルから汲み上げた天然水が、常時オーバーフロー!
水温は年間を通じておよそ13〜14℃前後ですが(夏はそれでも、配管をとおる間にで1〜2℃ほど温度上昇してしまうそうですけど)、とにかくやわらかくまろやかなので、非常にやさしい肌あたりです。冷たいけれど、痛さなどはまったく感じないんですよね。
男性浴場、女性浴場ともに、水深160センチと90センチの大きな土管タイプの浴槽が2つ横並び。深いのが好きな人も、「足がつかないと不安」って人も、みんなニコニコですよね。そして、またがずに入れる普通のタイプの水風呂浴槽もスタンバイしていて……「老若男女にやさしいな」と、ちょっとほっこりもしちゃいます。
露天エリアなので、もちろん外気浴も心ゆくまで堪能できます。パティオとでも呼びたくなるような空間には、アディロンダックチェアやベンチと、腰をかけたり足を伸ばして休憩できるスペースがあちこちに。
海から、そして山から吹いてくる風を受けながら。植栽のグリーンを楽しみ、葉や枝のざわめきを聴きながら。そして空を流れる雲や、夜にはきらめく星々を眺めながら。しばしの放心タイム。う〜ん、ゆらいでます、ゆらいでます。実にサイコーです!
あ、もちろんお湯の浴槽、少し深めの炭酸泉の浴槽も完備しています。サウナ後の「仕上げ」は湯に浸かって締めたいといった方にも、実にうれしいですよね。