マグ万平さん、柳橋弘紀さん(「のちほど」チーム)とSAUNA BROS.編集部で制作を進めている「ノスタルジックサウナ写真集」。今春より取材・撮影を始めつつ、4月29日(昭和の日)にはクラウドファンディングもスタートさせ、たくさんの方からご支援をいただいています。サポーターになっていただいた皆さん、メッセージを寄せていただいた皆さん、本当にありがとうございます。
当初、9施設から取材・掲載にOKをいただき、撮影を続けてきましたが、皆さんの応援を受け、継続していくつかの施設に撮影のお願いをしてきました。そして、このたび新たに大阪市淀川区の「サウナシャン」さんに取材をさせていただくことが決まりました!
そんな「サウナシャン」さんの“グッ”ときてしまうポイントを、今日は綴らせていただきます! お読みいただいたあと、もしよろしければ皆さんからも「こんなところが好き」「ココがたまらない」という声をぜひお聞かせ願えればと思っています。よろしくお願いします!
(このページで便宜上何点か掲載している写真は、編集部員がスマホで撮ったものです。念のため。写真集では、プロによる思わず息をのんでしまうものを、あますことなく掲載します!)
・煌めくネオンから感じる華やかさと哀愁と愛おしさ……もうたまらない!
サウナシャンさんは昭和47年(1972)の創業。そう、今年で50年になるそうです。淀川区と書きましたが、エリアとしては十三(じゅうそう)。関西にお住まいの方はピンとくるかもしれませんが、下町の繁華街、歓楽街にあります。
その土地柄にもマッチしたネオンの電飾看板は壮観。近くにあるキャバレーなどの看板にも同様にネオンのものもあるのですが、それらの中でもダントツの華やかさ。
でも、煌びやかなのに、味わいというか哀愁を感じてしまうのは、ポップだけどレトロなデザインや書体が、隠しきれない“歴史”というか年季を感じさせるからかと。個人的には、電飾が点灯されていない、昼間のこの看板も大好きです。
さて、そうした、味わいもありつつ華やぐ外観の一方で、館内に一歩足を踏み入れると、そこはもうノスタルジックワールド。昭和47年というといわゆる高度成長期の最晩年。その後も日本経済はゆるやかな成長を続けたあと、一気にバブルの好景気に突入するのですが、そんな幸せだった時代の面影が色濃く残ります。
・「最高級なものを丁寧に手入れして、お客様をお迎えし続けてきた」
館内のあちこちに、ミッドセンチュリーな味わいのものや、見るからに上質なもの(デザインはクラシカルだけど)が今も残り、現役で使われています。カーペットの肌触り、照明器具のやわらかくあたたかい光……すべてがレトロながら丁寧に手入れされていて、とても落ち着きます。
たとえば、リクライニングシートとは別に数脚が設置されている、休憩室のソファもめちゃくちゃ重厚で格調高いんです。どこかの大企業の応接室にあっても良さそうだな、と思っていたら支配人さんがこう教えてくれました。
「“国会議事堂にあるものと同じレベルのものを”とオーダーして、取り寄せた……そんな記憶がありますね。せっかく来てくれるんやから、お客さんには最高のものを用意しておもてなししよう、そういう考えやったからね」
はい。この言葉にすべてが詰まってる気がします。お客さんを迎えるにあたってめちゃくちゃ質の良いモノを、日々、丁寧に磨き上げてきたんですから。グッとこないわけがないんですよね。時代や流行を超えて「ああ、いいなぁ」と思わされるのも当たり前です。トイレの壁のタイルに‘70年代~‘80年代の世界を席捲した「ピエールカルダン」のロゴが入っているのには、ちょっと驚きました! (ファッションブランドであるピエールカルダンがタイルを作っていたことも、そして、その壁がめちゃくちゃピカピカなことも含めて!!)
・もうここでしか見られない……「サ界遺産」級のものが続々と!
浴室もそう。入口のドアからして上部はアーチ型に丸みを帯びています。浴室フロアのあちこちに、このように丸みを帯びた装飾が施されているんですが、これらも「高級感をお客さんに感じてほしかったんですよね。イメージは、ほら、アルハンブラ宮殿とか、そんな感じ(笑)。もう時代が変わったから今の若い人には古く感じるかもしれんけど、いいでしょ?」と支配人さん。はい。当時も今も変わらぬ、お客さんに満足してほしいというその思い。十分すぎるほど伝わります。
メインのサウナ室も、実にクラシックなデザイン。分厚いガラス張りで、いかにも熱そうな様子が外からも一目瞭然なのですが、こちらのお店も、上段の背中があたる部分にバスタオルをかけていてくれてます。少し目線を上に移すと、一部がステンドグラスになったはめ込み窓も。あぁ、美しい。あぁ、安らぐ。そして……あぁ、熱い。
もうひとつあるサウナ室も、水風呂も、お湯の浴槽も、マッサージコーナーも、とにかくレトロなんだけどとても快適。そして浴室を出た後の休憩スペースも、軽食や飲み物を頼めるコーナーも……すべてがフォトジェニック。こちらも他の掲載施設と同様、グッとくるポイントを挙げていけば本当にキリがありません。
そして、このサウナシャンさんで特筆すべきなのは、今はもうどこにもないものが、現役で使われていること。それも、いくつも! 本当に初めて見るようなものもたくさんあるんです。
たとえば――入館して受付をするとロッカーキーが手渡されるのですが、フロントでは、その番号を書いた紙をある機械に通します。退館時に再びその紙が同じ機械に通されるのですが、見ると、そこには時間が打刻されていて……。そう、これはタイムカード式の機械なんです。「昔は、多くの施設で使ってましたけどね。もうウチだけでしょうね、こんなん使ってるの(笑)」と支配人さん。
また、食事処で飲み物や食事を注文すると、その伝票がある機械にかざされます。機械は一瞬、ピカッと光るのですが……これは何でしょう?
「我々は“ファックス”って呼んでるんですけどね。ここで読み取って、フロントに伝送されるんですわ」
えっ?と思ってフロントに行くと、たしかに、先ほどの伝票のコピーのようなものが、ある機械からプリントされているではありませんか。そんなシステムというか機器も初めて見ました。はい、ここには世界遺産ならぬ、こうした「サ界遺産」と呼びたくなるようなものが、ほかにもいろいろあるんです……。
あ、そうそう。浴室のマッサージコーナーの上に、やっぱりこれまでどこでも見たことがない照明器具があったんです。支配人さんに「これ、点けてもらうことはできますか?」と聞いたら、“たぶん、もう点かへんと思います。あ、やっぱり点かんわ”と。よくよく聞いてみると、こちらの機械は「日焼けマシンの走りみたいなもんですわ。割と使っていた方、好きな方も多かったですよ(笑)」(支配人さん)と。
はい。またしてもざっくりになってしまいましたが、とにかくワクワクとジーンという思いが絶え間なく心をよぎる「サウナシャン」さんのたまらなさを、じっくりと隅々まで撮影し掲載させていただきます。ここまでに記したような、目に入るものはもちろん、誰も見たことのないところにも足を踏み入れさせていただいたりして。自分たちで言うのもなんですが、そうしたカットのいくつかに、きっと皆さんも胸が熱くなるんじゃないか、きっと驚いてしまうんじゃないか・・・と思っています。
もし皆さんも「こんな写真があれば見てみたい」「掲載してほしいのはこういうところ」などのご意見があれば、お聞かせいただけたらと思います。この記事に関するTwitterのつぶやきなどへのリツイート、インスタグラムのコメント欄や引用ストーリーズなど、ぜひお待ちしています!
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この「ノスタルジックサウナ写真集」プロジェクトでは、クラウドファンディングも実施しています。期間はもう残りわずかですが、この記事や、こちらのクラウドファンディングのページを読んでいただいてご興味やご共感をいただけた方は、ぜひ応援のほど、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!